表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

162/319

閑話 アド視点3 婚約者が心配で昼夜死にもの狂いで追いついたら、理不尽な理由で海の上まで思いっきり張り飛ばされてしまいました

俺は王太子の動きが心配だったが、フランの身の安全の事は安心していたのだ。


何しろ、俺の弟も将来の義理の弟もいるのだ。


海賊共の情報収集は完璧だろう。危険な事は前もって全て排除するはずだ。それにルートン王国も俺があれだけ気にしていたフランを危険に晒すことはないだろうと。


しかし、それが間違いだった。

フランの友人が拐われてフランが救出したと聞いた時に、俺は完全に切れてヴァンに怒りの連絡をしたのだ。


「ヴァン、どういう事だ?」

「兄上。どうされたんですか? そちらはお忙しいと聞きましたが」

魔道具の前の弟は平然としていた。


「どうしたもこうしたもないだろう! フランが拐われそうになったってどう言う事だ!」

俺は切れて叫んでいた。


「別に姉上のご友人が拐われてそれを姉上が救出されただけですよ」

「何が別にだ。お前なら、前もって止められただろうが」

「そんな事言っても、アルメリアの奴らは馬鹿なので、止めても止めても次々に別の手を打ってくるのです。面倒なので、そのまま実行させただけですよ」

平然とヴァンの奴は言い切ったのだ。


「何も、フランを危険に晒す必要はないだろう!」

「何言っているんですか? 友達が誘拐されたと知って、姉上がほっておくわけ無いでしょう。それは兄上が一番良く知っておられますよね」

ヴァンは逆に切れてきたんだけど。いや、そう言う問題か?


「いや、まあ、それはそうだが」

「それに姉上が対処して頂けたら、完璧なんですよ。こちら側のけが人はゼロでしたから。

向こうはけが人多発ですが、それは襲ってきた向こうが悪いでしょう。死人が出なかっただけ感謝してほしいですよ。

何しろ、騎士達に任せて、こちら側が傷つけばまた姉上が悲しまれるんです。後で何故、前もって知らせなかったとか怒られることもないですし、その上、姉上の鬱憤も発散できると一石三鳥以上の効果があるんですから」

いけしゃあしゃあと弟は言いやがったのだ。心配したこちらを馬鹿にしたように。


「それよりも兄上、良いんですか?」

「何がだ?」

「兄上がアルメリアの留学生と懇ろになっているとシルビア殿下が姉上にバラしていましたが」

「はっ? 何を言う。あれは情報を得るためにだな」

俺はヴァンの一言に慌てた。


新たに留学に来ていたアルメリアの王女から情報を得るために、王都のカフェで会っていたのがフランにバレたというのだ。


俺としては決してやましいところはないはずだ。


「そういう言い訳は姉上にされたほうが良いのではないですか? 怒っておられましたけど」


ヴァンの言葉に俺は慌ててフランに連絡したのだ。


しかし、怒ったフランは全く相手にしてくれなかった。


それも、最後は高価な通信魔道具を破壊してくれたのだ!


高かったのに……。


また財務に文句を言われる……


俺は散々文句をオーレリアンに言って鬱憤を晴らしたのだ。



でも、このままでは中々ヤバそうだ。ルートンの王太子も形振り構わず、フランに手を出そうとしているみたいだった。


こうなったら最後の手段だ。


俺は側近共を総動員して昔の映像を集めて、それを編集したのだ。


俺とフランの愛の10年だ。


そして、フランの友だちになったガスペルから魔道具を買い取ると、俺とフランの愛の10年をルートン国内で流すようにオーレリアンに指示した。


更にそれに並行して、フランの友達で文才のあるオリーブ嬢に、俺とフランの愛の10年の本の作成を頼んだのだ。偽名で出すことを条件にオリーブ嬢が納得してくれた。そして、それを我がエルグラン王国内はもとよりルートンやアルメリア、果ては帝国でも大々的に印刷させて流したのだ。


帝国では帝国の妨害にあって中々表ルートではうまくいかなかったが、他国では一躍ベストセラーになったのだ。流石オリーブ嬢。彼女は収益を一部しか取らなくてあとは孤児院に寄付してほしいと言ってきたのだ。まさに、聖女みたいな振る舞いだった。

俺はそれに国費と俺の資金の一部を足してオリーブ・フランソワーズ財団を設置して、孤児院に寄付すると同時に、読み書き算術を教える教師を派遣して学力の向上、孤児院出身者の王立学園や騎士学校への入学援助を行うようにしたのだ。



しかし、これでアルメリアもルートンもフランを諦めるわけはなく、フランの襲撃作戦が練られていると聞き、俺は慌てて、フランのところに向かったのだ。


その途中で、フランは演劇の本番にもアルメリア側から襲われてしまったという報が入り俺は気が気ではなかった。


俺は必死に船を急がせるように命じたが、海軍の操船技術もまだまだでルートンには中々着かなかった。


ルートンに着いた時には、襲撃してきたアルメリアの海賊船団をフランが殲滅した後だった。


そして、フランが拐われたシルビアを追ってアルメリア王国に向かったのを知ったのだ。


俺はフランが心配で、アルメリア王国目掛けて死にもの狂いでフランを追って行ったのだが、フランの船には全然追いつかなかった。


もう、海軍はイチから鍛え直しだ。フランの高速船のほうが余程早かったみたいだ。


俺がやっとアルメリアで追いついた時には、アルメリア王国はフランによって制圧された後だったのだ……。




だからフラン様はほっておいても大丈夫だと言ったのに。

側近共は呆れて言うのだが、そう言う問題ではないだろう。


「フラン!」

俺は久しぶりに会った婚約者に嬉しさのあまり抱きつこうとしたのだ。


しかしだ。


パシーーーーン

俺はフランの張り手をモロに頬に受けて海の中に吹っ飛ばされていたのだ。


何故? どうして?


俺は征伐された前国王がフランに留学生との有る事無い事吹き込んだなんて聞いていなかったのだ。


俺は海の上で沈みそうになりながら、そのフランの仕打ちの理不尽さに心の底で泣き叫んでいたのだ!



ここまで読んで頂いて有難うございます。

第四部開始まであと少しのはず……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いてありがとうございます。

【コミックシーモアで電子書籍化】

『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


このお話がコミックシーモア様で電子書籍として先行配信中(シーモアへのリンク)https://www.cmoa.jp/title/1101429725

お義兄様とエリのダンジョン冒険の2万字の新規書下ろしとシーモア特典ss付
表紙画像

表紙画像
「次にくるライトノベル大賞2023」https://tsugirano.jp/
に皆様の応援のお陰でこの私の書籍がノミネートされました。
なんと上から5つ目に!

【この話が書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』

全国1200以上の書店にて発売中です。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。

■アマゾンへのリンク


■楽天ブックスへのリンク


■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

つぎラノエントリー記念としてフランの子供時代の話書き出しました

新作

『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』魔物も王子様も魔王だって怖くありません。でも、王妃様とマナーの先生は苦手かも……』

https://ncode.syosetu.com/n6598im/
私の

次の小説

はこちら!

『推しの悪役令嬢を応援していたら自分がヒロインでした』

https://ncode.syosetu.com/n2714ht/

前世でいじめられていたシルフィは、ゲームの中で悪役令嬢タチアナに助けられたのだ。そして、そのゲームの世界に転生したと知った時からタチアナの力になりたいと思っていた。ゲームでは悪役令嬢タチアナは婚約者に近づくヒロインを虐めて修道院送りになってしまうのだ。でも、いきなり入学式でタチアナと婚約者に会ってしまったシルフィは、ゲームの中でしか知られていないタチアナの恥ずかしい秘密をバラしてしまい、二人に驚かれてしまうのだ。そんな中、シルフィが面白いと上級生のアルに興味を持たれてしまい、大変なことになっていく。シルフィも知らない秘密もあってそれが判明した時にのっぴきならない状況に追いやられるシルフィのシンデレラ物語。
時計の鐘が12時を打つ時にシルフィの未来はどうなる?
今回もハッピーエンド目指して頑張ります!
私の最近

完結した小説

はこちら!

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』

https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

【新作】

始めました!

『聖女として召喚されたのに王宮を追放されて我儘貴公子の奴隷にされました。でも、いつの間にか溺愛されるシンデレラストーリー』https://ncode.syosetu.com/n6661in/

新作


『転生したら地味ダサ令嬢でしたが、助けてくれた王子様に恋してしまいました。』

https://ncode.syosetu.com/n9394ik/
前世病弱のヒロインが地味ダサ令嬢(平民)に転生して王子様に助けられて恋してしまう話です。身分差を持ち前のパワーで知らぬ間に弾き飛ばす物語になる予感が……

そのサイドストーリーがこちら


『転生したヒロインのはずなのに地味ダサ令嬢に脇役に追いやられてしまいました』

https://ncode.syosetu.com/n3874il/
実は地味ダサ令嬢の親友がヒロインでしたと言うお話です。地味ダサ令嬢の凄まじいばかりの行動力の前に翻弄されるヒロインのお話です 私の

一番の大作小説

はこちら!

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』

https://ncode.syosetu.com/n8911gf/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ