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閑話 アド視点 婚約者の事が心配で海賊に襲われたと聞いて慌ててルートンに向かいました

俺はフランを1人で留学させる事がとても心配だった。


「何を言っているの。アドルフ。フランソワーズは一人ではなく、10名以上の同級生と一緒でしょう。弟のジェラルドとも一緒だし、クラスメートのメラニーもいるのよ。フランソワーズが何かしようとしても皆で止めてくれるわよ」

「そうだぞ。アドルフ。それでも、心配だからフェリシーまで行かせたのだ。それだけいれば、フランソワーズ嬢が何か問題行為をしようとしても、皆で止めてくれるだろう」

母に続いて父まで言うんだけど。


この二人の心配と俺の心配はぜんぜん違う。


俺はフランに何かあったらどうしようと心配しているのだ。


「何にを言っているのよ。私も陛下もフランソワーズが何かしでかしたら彼女の立場が大変だととても心配しているわよ」

「そうだぞ。アドルフ。何しろ彼女は大切な私達の義理の娘になるのだ。問題起こして大変な立場には立たせたくないのはお前と一緒だぞ」


「いえ、もういいです」

俺は諦めて部屋を出た。この二人と話していると、どこの問題児の話をしているのだと叫びたくなる。


フランは俺の婚約者だ。俺が婚約者の身の危険を心配してどこが悪いのだ。


俺がフランを見送って帰ってきた今日、外務からの報告で近頃ルートンへの航路の途中に海賊が出没するという事を聞いて、俺は心配していたのだ。


元々あの航路は問題は無いと聞いて、仕方なしにフランの留学を認めたのだ。

それが何だ。今頃になって、危険だと言われても。そう言う事は前もって俺にあげてこい!

俺はそう思い直ちに外務卿のアロイス・シャンポールを呼び出した。



「はい? 何故海賊の情報を上げなかったですと! このルートンへの航路に海賊がよく出てくるのは15年前のアルメリアの弑逆事件以来、ずっとです。現アルメリア国王は海賊と手を組んでいるというのが噂ですから。今更何を仰るのですか?」


「そうだったか?」

俺は海を挟んだルートンへ行くことなど無いだろうと気にもしていなかったのだ。それよりも帝国の動向が気になっていた。それを何をトチ狂ったかフランが行くなんていい出すから慌てて情報を集めだしたのだ。


「左様でございます。散々閣議でも上げておりますぞ。その海賊の暗躍を止めるには海軍の増強が必要だと口が酸っぱくなるほど申し上げましたのに、財務の守銭奴が首を立てに振らないのです。殿下が賛成頂ければ、多少は海軍の強化も出来ましたものを。今は、南部の港を哨戒するので精一杯のはずです」


「そうか、それは大変だな」

「商会からも海賊対策の強化の要請が来ておりますが、我が国は陸上貿易が大半で、海上貿易は力を入れていないと陛下も消極的でいらっしゃいます。海軍の軍船も五隻しかないのですぞ」


「ちょっと待て、船が五隻しか無いということはフランについた護衛艦はゼロということか」

俺は思わず聞いていた。まさか、護衛なしで出したのか? 

「それは軍に聞いていただきたいですが、おそらく、そうだ思われます。しかし、そもそも、フラン様に護衛など必要ないのではありませんか?」

「な、何をいうのだ。彼女は私の婚約者なのだぞ」

俺は外務卿にムッとして反論した。


「しかし、殿下。フランソワーズ様はこの前、我が国の最強騎士として名高く、帝国最強の騎士を倒した事でも有名な剣聖と立ち会ってボコボコにしたとの噂ですが。帝国最強の魔術師も一撃で倒したとか。たかだか海賊船の一隻や二隻敵ではないのではないですか?」

こいつは何て事を言うのだ。


「いや、もういい」

俺は半ば切れていた。


どいつもこいつも俺の婚約者を何だと思っているのだ。

俺は慌てて中央騎士団長のダンベールを呼び出した。


「ルートンへの航路に海賊が出没するそうではないか? 何故フランが船に乗る前に俺に報告しなかった?」


「殿下。海賊に対応するには現在、海軍の拡張の申請をしていますが、財務が中々首を縦に振らずにとても苦労しているのです。このまえの閣議でも殿下も賛成して頂けなかったではないですか」

ダンベールに冷たく言われてしまった。


「それは必要性を感じなかったからで」

「商会からの要請も来ているとお話したはずです。これを機にぜひとも、殿下から再度財務部へお話し頂きたいのですが」

「いや、それは後の話だろう。今はフランの安全の問題だ。直ちに護衛艦を派遣しろ」

俺はダンベールに命じたのだが、


「殿下。商船には我軍のエースが乗っていらっしゃっているのですぞ」

「おい、フランを勝手に軍に編入するな」

俺は怒って言った。


「しかし、帝国教の洞窟で呪いを物ともせずに教皇を一瞬で殴り飛ばされたそのお力は我軍一かと。はっきり言ってフラン様ならば百隻の海賊船に襲われても余裕で勝てるかと思いますが」

「んなわけ無いだろう」

俺は机を叩いて怒ったが、俺の近衛騎士も含めて、皆フランの事は全く心配していないのだ。


「それに諜報能力ではこの国で一、二を争う、シルヴァン殿下とジェラルド様のお二人も乗っていらっしゃるのです。何かあれば攻撃してくる前に情報を掴んで対処なさりましょう」

「しかし、彼奴等は戦力になるまい。フランの連れて行った騎士達もほとんど諜報専門だと聞いているぞ」

「まあ、戦力はフラン様お一人いらっしゃれば百人力かと。おそらく我が海軍全てよりも余程頼りになるかと思われますが」

「そんな訳はなかろう。そもそもいつもの陸の上でなく、海の上だぞ」

俺が言うが、


「なるほど、猿山のボスも海の上では力が出せないと?」

「誰が猿山のボスだ」

俺が切れたが、


「確かに猿山のボスなんて弱いことないよな」

「魔の森のフェンリルのボスか」

「いや、今は確か古代龍のギャオちゃんがフラン様になついているとか」

後ろで側近共が好きに言ってくれるんだが。


俺が後ろを一瞥して黙らせた。


「フラン様は泳げなかったか?」

前では騎士団長が騎士に聞いていたが、


「そんな訳ないでしょう」

「宮廷の池で素っ裸で泳いで王妃様に怒られたと聞いていますが」

「そもそも五歳で魔の湖の主マッシーを家来にされたとか」

「サメの化け物メガドロンでも一撃だよな」

「クラーケンが出て来ても丸焼きにして食べられそうだし」

騎士達も好きに言っているんだが、


「お前らな」

俺が鋭い視線で睨みつけて黙らせた。


「しかし、殿下。現に赤髪のジャックなる海賊が暗躍していると情報もシルヴァン殿下から受けています」

「何故それをすぐに知らせない。フランは知っているのか?」

「シルヴァン殿下からは余計な情報をフラン様に与えないようにくれぐれも釘を刺されています。

『そんなの義姉上が知られたら自ら退治しに行くと言い出されかねないからから絶対に言うな』とのことでしたが」

確かにフランが知ればそう言いかねないのは認めるが。


「しかし、フランも女の子で」

「それはそうですが、もし襲ってきたら嬉々として逆襲されるのではないかと推察いたしますが」

「しかし、何が起こるか判らないではないか」

俺はますます心配になってきたのに、誰一人一緒に心配してくれないのだ。


「海賊共も馬鹿だよな。フラン様を襲おうとするなんて」

「本当だ。この国のならず者もフラン様だけは避けようとするのに」

「俺は一撃で黒焦げに金貨一枚」

「切り刻んでクラーケン釣りの餌にされるに金貨一枚」

「貴様らな!」

後ろで賭けを始めた側近たちに切れた俺は悪くないはずだ。

しかし、俺の周りでは誰一人フランの心配をせずに、海賊の心配をし始める始末だった……



しかし、だ。


「ああああああ!」

俺は海賊撃退の報と一緒に送られてきたフランの雄姿に唖然とした。

な、何なのだ! これは?


フランは、いつの間に捕まえたのか、ルートンのイケメン騎士と一緒に飛んでいるし。


騎士や側近共はそれ見たことかと俺を見てきたが、俺はそれどころではなかった。


そうだ。フランは静かにしていれば、美しい御姫様なのだ。誰が何と言おうと!


それに誰にでもフランクだ。


ルートンには女たらしの王太子もいたし、俺はとても心配になってきた。


何か更にしでかすのではないかと心配した父母にも釘を再度刺して来いと言われて、俺は嬉々として反対する側近共を振り切ってルートンに向かったのだった。


フランの周りの男どもに釘を刺しに行かねばと!


ここまで読んで頂いて有難うございます。

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しばしお待ちください。


フランを心配する王太子殿下でした

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