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暗殺者の影は最後に礼儀作法の先生を人質に取ろうとして胸に触ってしまって瞬殺されました

私は刺さったナイフを呆然と見ていた。


が、イネの悲鳴ではっと我に返った。


そして、慌ててこの場を立ち去ろうとしている5人位の男達を察知したのだ。


私はそのままナイフを手に取ると男たちに投げ返したのだ。


魔術では制御は難しいが、魔術以外の剣術は正確なのだ。

次々にこの場をさろうとした男達に突き刺さったのだ。


「ギャーーー」

男たちは叫ぶとその場に崩れ落ちた。


「動くな」

そして、1人現場に残っていた怪しいオーラを放つ黒ずくめの男に向けて叫んでいた。


「何故、貴様はナイフが刺さっても平気で立っていられるのだ!」

男は驚いて叫んでいた。


「フンっ、私、条件反射で障壁張ってしまうから届いてないわよ。このナイフ」

私は最後に残っていたナイフを手に取った。


でも、少し失敗して手に切り傷が出来る。やばい、手に怪我したなんてフェリシー先生に見つかったら、また怒られる。私は余計な心配をした。

「刺客に襲われながら、なんでそんな所気にしているのよ」

メラニーに後で注意されたけど。


それを見て男がニヤリと笑ったのだ。


私は胡散臭そうに男を見返した。私を前にしてそんな笑みを寄越すなんて、やっぱこの国の人間は善良なのだ。


これが我が国だったら、私が手に傷を負ってそっちに注意がいった隙きに、悪党どもは一か八か逃亡を図っているのだ。もっとも絶対に逃さないけれど。


でも、この男は笑うだけなんだ。どれだけ抜けているんだろう?


「どうしたの。笑ったりして。あまりの自分の間抜け加減に笑うしか無いわけ?」

「な、何を言う。貴様こそ……」

男は途中で私を不審そうに凝視しているんだけど。


「どうしたのかしら。あまりにも私の美しさに驚いているの?」

私が笑って言うと


「お前は馬鹿か。その馬鹿さ加減を地獄で笑うが良い」

男が言うんだけど。


本当に間抜けだ。私は頭を押さえた。


「ほら、そろそろ気分が悪くなってきただろう。そのナイフには龍でも即死するだけの猛毒が塗ってあるのだ」

男が高笑いした。


観客の皆は唖然としていたが、大半が演劇の延長線だと思っているのか静かだった。


「ふんっ、あなた馬鹿なの? 龍でも即死するなら、何故私が今生きているのよ。私は人間なのよ」

馬鹿にしたように私は言ってやった。


「何を言う。貴様は普通の人間ではないと聞いている。だから効き始めるのも遅いのだ」

男が必死に言ってきた。私は化け物じゃないっての! でも、絶対にアルマンとかにこの件で後で馬鹿にされる……


「そろそろ頭が痛くなってきただろう」

「あなたの馬鹿さ加減にね」

私は笑って言った。


「毒って言ってもね。

私、5歳の時に親に魔の森に放り込まれたから。食べ物無いし、そのへんの毒キノコとか食べまくったのよね。お腹壊したけれど。それに毒持っている魔物とかにも襲われまくったし。だからその時に耐性ができたんだと思うのよ」

私は平然と言い放ったのだ。


「何を言う。そんな馬鹿な」

男は唖然として突っ立っていた。


「あなたはアルメリアの手のものなの?」

私は聞いてやったのだ。


出来たらヴァンの薬で廃人にさせられる前に、色んな情報を言わせたかった。

私にも人の心があるのだ。


「そうだ。私はアルメリア国王陛下の命によって貴様を殺しに来たのだ」

「殺しに来ていて失敗していれば、話にならないわね」

「ふんっ、陛下は一度や二度の失敗では諦められない」

「そもそも私がアルメリア国王に命を狙われる理由がないのだけれど」

私は不思議に思って聞いた。


まあ、色んなところで顰蹙は買っているから、自覚が無いうちに買ってしまったかもしれないけれど。


「貴様が陛下の大切な部下のジャックを捕まえたからだ」

「はああああ?」

思わず私は男をガン見してしまった。


それは元々私を襲ってきた海賊ジャックを返り討ちにしただけだ。


私は何も悪くないではないか。


こいつら馬鹿なの?


普通、悪党は私を避けようと皆戦々恐々としているのだ。


帝国なんて私に手を出したばかりに、母の怒りを買って王宮が壊滅、皇帝も燃やされてしまったのに。


自分が勝手に私に襲ってきたのに、謝るでもなく、性懲りもなくまた襲ってくるなんて、馬鹿なんだろうか? これが帝国の皇帝ならば、今頃ここに来て平身低頭謝っているはずだ。

いや、私ではなくて母のところかもしれないが……


「貴様を辱めて許してやろうと思ったのに、貴様が言うことを聞かないからこのようなことになったのだ」

男が言うけれど、


「ふうん。あんたが追い詰められているだけだけど」

私は馬鹿らしくなって言った。


こんなの母が知ったら、絶対に怒ってアルメリア王国を襲撃するはずだ。

でも、喧嘩を売られて何もしなかったって言って私が怒られるかもしれない。でも問題は起こすなって陛下らには言われているし……

本当にコイツラは余計な事をしてくれたんだけど。

また、悩みが増えてしまったじゃない!


アルメリアの奴ら、帝国がどうなったか聞いていないのか?

田舎すぎて聞いていないとか?

でも、アルメリアって海洋国家、情報が命じゃないのか?

そもそも、皇帝の土下座している画像がコイツラのところには届いていないのか?

私には疑問しか残らなかった。


「今頃になって怖くなって来たのか? 愚か者め」

考えている私を見て男が笑い出したんだけど。


「あんた本当に馬鹿よね。あんた所のボケナス国王なんて全然怖くないわよ。それよりも母よ。どうしてくれんのよ」

私が怒って言うと、


「な、何だと、我が国の陛下をボケナスだと」

男が逆に怒ってきた。


「フランソワーズさん、流石にそれは言い過ぎでは。学園の演劇にしては言葉が過激すぎます」

あっ、やばい、フェリシー先生が出てきた。それまで黙って見ていてフエリシー先生が我慢できずに出てきたのだ。


「先生、ちょっと危ないですから引っ込んでいて」

私が叫ぶが間に合わなかった。


「お前、丁度良いところに来た」

男がフェリシー先生を人質にするために掴みかかろうとしたのだ。


そして、あろうことか先生のでかい胸に触れたのだ。

「何すんのよ」

男は憤怒の形相のフェリシー先生の怒りの肘鉄を食らって吹っ飛んでいたのだ。


男は壁にめり込んでいる。フエリシー先生怒らすと本当に怖いんだ。私も気をつけようと思った。


「フランソワーズさん! このような外部のいやらしい者を勝手に巻き込んで演劇するなど、どういうことですか」


ええええ! 何故そうなる?


激怒した先生に、これが本当の襲撃だと理解してもらうまでに大変な時間がかかってしまったのだった。



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