海賊王国の船員視点 貴族の娘を辱めようと思いました
俺はヒル、二十年前はアルメリア王国の船員だった。
当時、俺は新婚だった。二か月の航海が終わって、愛しい妻のいる我が家に喜び勇んで帰ってくると、誰もいなかったのだ。
買い物にでも行っているのだろうか?
だが、いくら待っても妻は帰ってこなかった。
俺は心配で近所に聞きに回った。
でも、誰も俺の顔を見るなり顔を逸らして話してくれないのだ。俺は不安しか感じなかった。
やっと頼み込んで隣の噂好きのおばさんに聞いたら、妻は王宮の貴族の屋敷に連れて行かれたというではないか。
なんてことだ!
俺は慌ててその貴族の屋敷に踏み込んだのだが、あっという間に兵士たちにボコボコにされて捕まってしまったのだ。
「どうしたのだ?」
そこにあの貴族の格好をした豚が通りかかったのだ。
「あ、お館様。この者が妻を返せといいがかりをつけてきまして」
「妻? ああ、この前街で捕まえてきた女の亭主か」
豚は笑って言ってくれたのだ。
「妻を出せ。妻はどこだ?」
俺は叫んでいた。
「あの女か。面白そうだから夜伽の相手をさせたのだが、泣き叫ぶだけで面白みもなかったな。その後兵士たちに下げ渡したはずだが」
「な、何だとこの豚野郎!」
俺は思いっきり貴族に頭突きを食らわせてやったのだ。
でも、それだけだった。あっという間に男たちに取り押さえられてしまったのだ。
「おのれ、俺様に逆らって俺様に手を挙げるとは良い根性をしている。ボコボコにしたら、こいつの家内と同じように海に放り込んでやれ」
豚は何か叫んでいた。そうか、妻は海に放り込まれたのか……。俺は薄れる意識の中で世の中の理不尽さを恨んだ。
俺はその後ボコボコにされて、そのまま簀巻きにされて海の中に放り込まれたのだ。
次に気づいた時はベッドの上だった。
「おお、気付いたか?」
そこにはいかついが気さくな男がいた。
どうやら俺はその男に助けられたらしい。
「大変だったな。酷い目にあって」
男は俺に大いに同情してくれたのだ。
俺は気付いたら、その男に全てを話していた。
「それは災難だったな」
男は俺にとても同情してくれた。
その男が赤髪のジャック、何と海賊だったのだ。
俺は航海ではいつも恐れていた海賊に助けられたのだ。
でも海賊の奴らは皆とても気さくで、妻を貴族におもちゃにされた俺としては、貴族の方が恐ろしかったし、憎かった。
後で調べると貴族達におもちゃにされた妻は死んでいた。
海に浮かんでいたらしい。
殺されたのか自殺したのか判らないが、俺は絶対に妻の仇を取ろうと決めたのだ。
それからは、ジャックらの為に陸で情報収集をしながら、仇を打つ機会を狙っていた。
その機会は案外早く、やってきた。
国王死去に伴って、宰相閣下が反乱を起こしたのだ。
俺はこの機にその貴族の屋敷にジャックらと突入した。
その貴族の豚やろうは、驚いて俺達を見た。
「何をしている? 俺はイエクラ様に忠誠を尽くそうとしているのだぞ」
貴族はそれを言いさえすれば許されるとでも、思っているようだった。
「それがどうした!」
俺にとってそんな事はどうでも良かった。妻の仇を取れるのならば悪魔に魂を売っても良かった。
ジャックを見ると、ジャックは頷いてくれたのだ。
これは邪魔が入ってはいけない。俺はジャックが気が変わって止められる前に、この豚を殺そうと思った。
「妻の仇!」
そう叫ぶと、ナイフを振り上げたのだ。
「止めろ、待ってくれ」
豚が何か叫んでいるが、関係なかった。
俺は豚をメッタ刺しにしていた。
ジャックは俺を止めるでもなく、それを笑いながら見ていた。
「あなた!」
そこへ女の悲鳴が響いて、女が飛び込んできた。
女はきっとして、俺を見ると、
「あなた達、貴族を殺すのは極刑よ。私達は宰相閣下につくと決めていたのに。必ず、宰相閣下に言いつけてやるわ」
女が金切り声を上げた。
「なんだ、邪魔な女だな」
ジャックが口に出して言った。
「新陛下は、俺達、平民の味方だ。そこの女、貴様の亭主は、罪もないこの男の妻を凌辱した挙げ句に殺したのだよ。それを見殺しにした、お前も同罪だ。亭主の代わりに、貴様が男に謝れ」
ジャックは言ってくれた。
「そんな、私達は貴族よ。お前らごときにどうのこうの言われる筋合いはないわ」
「そうか。判らないか? ヒル! 貴様の妻にこいつの亭主がやったことをやってやりな」
ジャックが言ってきた。
女はぎょっとして俺たちを見回した。
でも俺は、そこまでしようとは思っていなかった。
俺が躊躇していると、
「そうか、お前には出来ないか」
仕方がないと言う感じで男は首を振った。
「おい、野郎共、男は殺して構わん。女は皆でまわしてしまえ」
「へい」
「キャー」
「助けて!」
女達の悲鳴をものともせずに男達は女の衣服を剥いで事に及んだ。
妻はこんな感じでやられたんだ。そう思うと俺は手を上げられなかったが、やられるこいつら貴族の女共にも同情は湧かなかった。







