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未婚の男女で密室に閉じ込められましたが、犯人諸共扉を弾き飛ばしました

私達は順調に練習に精を出していた。


「アルマン様」

イネは相変わらず、躊躇していたが、なんとかアルマンの腕にすがりつく事ができるようになっていた。


それよりも私の虐めが結構凄惨なんだけど。こんな事本当にやらないといけないの?


「そこのあなた。平民のくせにアルマン様の腕に気安く縋り付くなんてどう言うつもりなの?」

「でも、アルマン様は私がそうしてもいいとおっしゃっています」

「そんなわけないでしょう」

「そうよ。アルマン様にはフランソワーズ様というれっきとした婚約者がいらっしゃるのよ。本来ならばあなたから近付くのを辞退申し上げるのが筋というものよ」

取り巻き役のテオドラらが言ってくれる。


「そんな、恐れ多くて私からは言えません」

イネスが胸を張って言ってくれるのだ。


「えっ?」

私は思わず叫んでいた。


「カット! どうしたのよ、フラン?」

「どうしたもこうしたもないわよ。メラニー、脚本には反論するイネを引っ叩くって書いてあるんだけど。そんなの出来るわけないじゃない」

私が言い切ると、


「何言っているのよ。それやるのがあなたでしょ」

「そうです。フラン様。思いっきり引っ叩いて下さいませ」

イネが頬を突き出すんだけど。


「私がまともにやったらイネが死んじゃうじゃない」

私の言葉に流石にイネがぎょっとする。


「何言っているのよ。本気で引っ叩いて良い訳ないでしょ。軽くよ軽く」

メラニーが叫んでいた。


「でも、その手加減が難しいんだけど」

私が言うと

「そうよね。下手にやってイネスが重傷になったら大変だし、アルマン」

メラニーがアルマンを呼んだ。


「嫌だ。俺はまだ死にたくない」

「まあ、そう言わずに。殿下も死んでいないから」

「おい、洞窟ではフランにしばかれて重傷になっていたじゃないか!」

「まあまあ」

アルマンが逃げようとするのをメラニーは強引に捕まえて連れてきた。


「アルマンで、練習したらいいわ。アルマンなら多少の事しても大丈夫だから」

「いや、ちょっと待て、フラン。すまん、この前のお前のお菓子を食べたのは俺だ。謝るから許して」

「な、なんですって。あなた、私が楽しみにしていたテオドラのお菓子を、良くも食べてくれたわね」


パシーン


私の張り手がアルマンを直撃したのは悪くないと思う。私の大切なお菓子を食べたアルマンが悪い。


面白そうだと見学していた男性陣の中にアルマンが飛んでいった。十数人を巻き込んで止まったアルマンの頬は真っ赤に腫れ上がっていた。


ギョッとする男性陣を巻き込んで練習するんだけど……


エドガルドやセブリアンの頬まで、真っ赤に腫らさせて、やっと私の張り手はイネの頬に触れてはいけないという事がよく判ったのだった。


そもそも、軽く空をきるだけで、イネは吹っ飛んでいた。


本当に最初にイネを張らなくて良かったと私は思ったのだった。




その男性陣の半数くらいを実験台に使ったからだろうか?


私の周りで不審なことが起こるようになったんだけど。


クラスの男どもの恨みを買ったのかもしれない。ドミンゴあたりが怪しいんだけど……



何が起こるようになったかと言うと、私が歩いているとその直ぐ側に植木鉢が落ちてきたり、水が降ってくるようになったのだ。


まあ、基本私は障壁に守られているから問題ないんだけど。


一度など私の横を歩いていたメラニーが花瓶に当たりそうになって思いっきり押したら、勢い余って渡り廊下の木壁を突き破ってしまったというのがあって、フェリシー先生には怒られるし、メラニーにも恨まれるし、碌なことがなかった。


「あんた。誰に狙われているのよ?」

「うーん、いっぱい居すぎてわからないわ。だってうちのクラスの半数はこの前の実験で張り倒したし、シルビアとかには恨まれていると思う。グレースやピンク頭はもとより、多すぎて判らないわよ」

私はメラニーの疑問に答えた。


「まあ、確かに。でも、グレースやピンク頭は無駄なことはいしないと思うわよ。あなたにやってもうまく行くわけないのはエルグランの王立学園で散々やって理解しているでしょ。それを知らないのはこの国の貴族よね」

「まあ、そう思うし、そのうちにしびれを切らして正体を表すんじゃなくて?」


そんな時だ。お昼休みに、私はディオが呼んでいるとA組のフラビオ・コフレンテスに言われたのだ。


役立たずのディオが私を呼び出すなんてあり得ないと不審に思ってついて行くと、フラビオは資料室の扉の前に案内してくれたのだ。


「この中にいらっしゃるようです」

扉が空いていたので、中に入ると、中には会ったこともないイケメンがいた。


「あなたは、ルブラン公爵令嬢」

貴公子は驚いた顔で言った。


「あなたは?」

「これは失礼した。私はベルナルド・トルトサです」

確か伯爵令息。というか、元アルメリア国の王子殿下だ。


「どうかされたのですか? 私はクラウディオに呼ばれたのだが」

「私もディオに呼ばれたんだけど」

私達が目を合わせた時だ。


ガシャン!


大きな音と供に扉が閉まった。


この扉は結構がっしりとした扉だった。


「えっ」

私達は顔を見合わせた。


ベルナルドが慌てて扉に駆けよったが、鍵をかけられてしまったみたいで開かない。


「ベルナルド、退いて」

私は叫ぶと衝撃波を軽く扉にぶち当てていた。


ズカーーーーン


大きな音と供に扉が吹っ飛び、扉の横でほくそ笑んでいたフラビオ諸共一瞬で弾き飛ばしていたのだ。



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