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ヒロインの演技指導のために聖女の男漁りの様子を見に行きました

なろうのメンテナンスが無事に終わったので、今日からまた一日二回更新に戻します。

お楽しみ頂ければ嬉しいです!

お昼休みの間中フェリシー先生に怒られて、私はお昼ごはんが食べられなくて最悪だった。


更にその上、五時間目の授業は何とフェリシー先生の礼儀作法の授業だったのだ……


もう最悪だった……



「フランさん。何ですか! そのふらふらした礼の仕方は? もっと姿勢を正してやるのです。それでも公爵令嬢ですか? 同じ公爵令嬢のグレースさんの方が余程ちゃんとしていますよ」

フェリシー先生の叱責が飛ぶ。一限目とお昼休みとこの五限目、何故、今日は三回もフェリシー先生のお小言を聞かねばならないのだろう!


これも全てはメラニーが五時半に起こしに来たからだ。私はムッとしていた。


やっと魔のような五限目が終わった時私はもうふらふらだった。


「もう死ぬ!」

私が机に突っ伏したときだ。

私の体の下からお菓子が差し入れられたのだ。

誰だ? この親切な人は?


私がガバッと顔を起こすと何とメラニーだったのだ。


「有り難う、メラニー」

今までの怒りも何のその。私はお礼を言うとそのお菓子を貪り食べたのだ。お菓子をくれるなんて、メラニーは思ったよりもいい奴だ。あっさりお菓子で懐柔される私は何なんだろうと思うんだけど。


「ちょっとフラン! さすがにその食べ方はないんじゃない?」

メラニーが指摘するんだけど、


「らっておはかかがすひすひて!」

「何を言っているか、判らないわよ」

口にいっぱいお菓子を含んで返答する私にメラニーが注意してくるんだけど、私はそれは無視して更に手を出した。


「ちょっとフラン、さすがにもう持っていないわよ」

「本当に仕方がないわね」

呆れて言うメラニーに代わって、テオドラが自分の店の焼き菓子を出してくれた。


「有り難う!」

私はお礼もそこそこにそれにむしゃぶりつく。


「本当にこれが公爵令嬢だとは到底見えないわね」

「本当に」

メラニーの言葉に皆が頷いている。


「えっ!」

さすがにこれは不味いかも………

私が焦り出した時だ。


「イネス判った? これが下品な平民の食べ方なのよ」

「成る程、フラン様は私のためにわざわざそのような食べ方をして頂けたのですね!」

イネが納得した様子で頷いてくれた。


「そうよ」

「そんな訳ないでしょ。フランの地よ、地!」

当然のように頷いた私をメラニーが即座に否定してくれたんだけど、何も否定しないでも良いじゃない!

私はムッと膨れたのだ!


次の数学の授業はメラニーとテオドラのお菓子で何とか乗りきった。


そして、放課後、練習の前に食堂に駆け込み、麺類で何とかお腹を膨らませたのだ。




私がお腹を膨らませて一息ついて演劇の練習が始まった。


「あ、あ、アルマン様」

イネはアルマンを呼ぶのに早速噛みまくっている。


「イネス、もう一度、最初から」

早速メラニーに注意された。


「アルマン様」

今度はうまく言えて、その後、アルマンに縋りつくはずが、縋りつかなかった…… 10センチくらい離れて止まってしまうのだ。


「な、何やっているのよ。イネス。そこはアルマンの手にすがりつくのよ」

「でも、そんな恥ずかしいこと出来ません」

イネスが真っ赤に夏ていうんだけど……


「何言っているのよ。これは演劇なのよ。演技よ! 演技! もっと平民イネスに感情を込めてやってよ」

「はい」

イネスは渋々もう一度やうとする。


「アルマン様」

叫びながらなんとかアルマンの指を握る。


少しだけ前進した、と私は思ったのだが、「全然ダメじゃない。腕に完全にすがりつくのよ」

メラニーが怖い顔でイネスに注意する。

「で、でも」


「フラン、ちょっとやってみてよ」

「えっ、私がやるの?」

私は嫌そうにした。


「散々見たでしょ。ピンク頭みたいにやればいいんだから」

「うーん、だから嫌なんだけど」

私は目をつぶって意識を集中する。


「アルマン様」

そう言ってしなを作るとアルマンに近寄ろうとしたら、アルマンが吹き出して逃げていったんだけど、どういうことよ!


「だって、フラン、それでピンク頭のつもりかよ。何かオカマに迫られて・・・・痛て」

笑って言い訳するアルマンに、靴をぶつけてやったのだ。


「うーん、これは難しいのよね。いくわよ」

仕方なしにメラニーが言うと両手を組んで中腰になって、


「アルマン様」

と言って叫ぶとしなを作ってアルマンの腕にすがりついたのだ。


「うーん、マアマアだけど、何かぎこち無かったわよ」

私が言うと、

「仕方がないじゃない。私もピンク頭のマネするの嫌だし」

開き直ってメラニーが言うんだけど。


「あの、メラニー、自分でもできないことを私にやらせるの?」

少し怒り気味にイネが言う。


「何を言っているのよ。私は単なる舞台監督だけど、あなたは主演女優なのよ。


すなわちヒロインなのよ。ヒ・ロ・イ・ン! 


判る? 

このクラスがクラス対抗戦で勝てるかどうかは全てヒロインであるあなたにかかっているのよ」

「ええええ! でも、私、そんなに演技上手くないし」

おだてられて少しイネの態度が柔らかくなる。


「大丈夫よ。あなたなら出来るわ。そう思うわよね。フラン」

メラニーが必死にウインクして私を見てくるんだけど。


「そうよ。イネなら出来るわ」

私が大きく頷いた。そうだ。ここでイネにやる気になってもらわないとA組に勝てない。A組に負けてシルビアに馬鹿にされるのだけは嫌だった。


「そうだ。実際にピンク頭を見ればいいんじゃない?」

メラニーが言ってきた。


「そうね、それが一番いいわ」

私達はピンク頭を見にA組に行ったのだ。




「おお、クラウディア、クラウディア、どうしてあなたはクラウディアなの?」

A組ではシルビアがディオ相手に必死に演技をしていた。私は危うく吹き出すところだった。ロミオとジュリエットの一場面だ。この世界にも似た演劇があるんだろう。何もそれをパクらなくてもいいのに。これは絶対にシルビアの趣味だ。


他の皆は賢明にもその演技を見ているんだけど、ピンク頭だけは暇そうに明後日の方向を見ていた。


「良い、イネ! あのピンク頭を見るのよ。今は暇そうにしているけど、ターゲットが入ってきたらガラリと変わるから、それを真似るのよ」

「聖女様を真似るんですか?」

イネが不思議そうに言うが、そう言えばピンク頭は聖女だった。でも、聖女があんな淫乱で良いのかと思わないでもなかったが…… あれを見たらエルグランの威厳が無くなるんじゃないだろうか?


そこに扉が開いてフラビオ・コフレンテスが入ってきた。


そのフラビオを見た途端に、くさいシルビアの演技そっちのけでピンク頭が近寄っていく。

両手を組んで、目をうるうるさせながら、「フラビオ様」そう媚を売るようにしなりながら、フラビオの腕にすがりついたのだ。フラビオもまんざらでは無いようで縋りつかれてニコリと笑みを浮かべた。


「イネス、ちゃんと見た?」

「ああいう風にやるのよ」

メラニーと私が言うと

「ええええ! あれは私にはハードルが高すぎるんですけど」

「そこを何とかするのがイネスなのよ。大丈夫、ピンク頭になったつもりでやれば出来るわ」

私達がイネスに助言を与えている時だ。


「ちょっとフラン、あなた、何、人のクラスに来て、私の迫真の演技を邪魔してくれているのよ」

そこへ怒ったシルビアがやって来たのだ。


「あーら、それは申し訳ありませんでしたわ。でも、殿下もまだまだですわね。私ならば横で叫ばれようが何されようが、自分の演技をし続けますわ」

私は早速悪役令嬢フランを演じだした。メラニーからは演劇までは平常の時も演技を続けれろと言われているのだ。


「な、なんですって。良くも言ってくれたわね。今度そうしてあげるからそのまま続けられるかどうか、見てあげるわ」

「それはご丁寧にありがとうございます。でも、人の邪魔をするよりも、自らの演技の練習をされたほうがよろしくてよ。横で少し、邪魔されたくらいで演技ができなくなるのは練習不足の証拠ですわ」

私は扇子を口元に充てて言ってみた。

やっぱり、私は悪役令嬢の才能があるのかもしれない。ワクワクしてくるんだけど。


「ぐぬぬぬ、ああ言えばこう言う。何しにここに来たのよ」

「ちょっとイネにピンク頭の演技を見せようと思って」

「ちょっと、ピンク頭って何よ。あなた、聖女様に向かって何てこと言うのよ」

「頭の中がピンク頭だからピンク頭で何が悪いのよ」

文句を言ってきたグレースに私が言い返す。


「グレース様。宜しいんですのよ。まあ、私の演技は天才的ですから」

ピンク頭がなにかトチ狂ったことを胸を張って言ってくれるんだけど。


「そうなの。とても参考になるわ。あなた、男をひっかけるテクニックはぴか一よね。毎回会う度に隣りにいる男が違うし」

私が嘲笑って言うと


「な、なんですって! そんなの演劇となんの関係もないじゃない」

ピンク頭が怒り出したんだけど。


「こちらの演劇にはとても参考になったわ。有難う」

私がお礼を言う。


「ふんっ、今のうちだけよ。でかい口を聞いていられるのは。絶対にあなた達E組には負けないわ」

「おーほほほほ。またまた、冗談が過ぎますわ。聖女様。冗談はその行動だけにして頂けるかしら」

「な、なんですって」

「男をとっかえひっかえしているってE組にまで話が広がっていますわよ」

私は言い切ってやったのだ。


「ふんっ、私はこころ清らかな聖女なのよ。だから怖れられているあなたと違って男の方にも人気があるのよ」

「ほうううう、毎夜ごとに男を引っ替えているの間違いではなくて」

「そんなわけないでしょ」

「そうよ。いくら勝ち目が無いからって、人のクラスにまで来て邪魔するのは止めてさっさと出ていって頂ける?」

シルビアがやっと会話に入ってきた。


「まあ、淫乱聖女様の行動をヒロインに見せられたから私達は退散しますわ。他の演技なんて見ても何の参考にもなりませんから」

私は憎々しげな悪役令嬢の演技をしてみせた。


「むーーーー。許さない。絶対にE組の連中はギャフンと言わしてやるわ」

「やれるものならやってご覧なさい」

シルビアと私の間に火花が散ったのだった。


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