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海賊退治を餌に迫ってきた王太子を避けていたら、密談を聞いてしまいました

でも、楽しかったのはそこまでだ。基本は今日は社交だ。婚約者といつまでも踊っている訳にはいかない。

「フラン、お前を他の男に預けたくない」

「何言っているのよ。高々ダンスで」

嫌がるアドを無理やり、シルビアに任せて、私は王太子と踊る羽目になったのだ。


「しかし、フランソワーズ嬢は本当に素晴らしいね」

踊りだすと王太子が海賊退治のことを褒めてきた。

「まあ、殿下はそんな事を言われて、本当は淑女はそんな事しないのにとか思っておられるんでしょう?」

「まさか、俺は本当に君を尊敬するよ。出来たらこの国に欲しいくらいだ」

「そう言っていただけると幸いですわ」

私が営業用の笑みで微笑み返すと、

「実は海賊対策の件は本当に頭が痛くてね。君の助けを借りられたらとても嬉しいんだが」

どこまで本気か、王太子は私の瞳を見ながら言って来た。


「おい、女たらしの王太子、フランに近付くな」

遠くからアドがなにか叫んでいるが、王太子は全く無視して、アドから離れるように踊っていく。


「でも、騎士の皆さんは船に慣れていらっしゃるから、まだ、私の騎士達よりも戦力になるでしょう」

「君の言っているのはダミアンのことだろう。彼は特別なんだ。家は代々我が国の海軍を率いているし」

「そうなんですね」

「その彼でも君の活躍には全然追いついていなかっただろう」

「まあ、私も特別ですから」

私は微笑んで誤魔化した。王都の反乱を未然に防いだし、帝国教の陰謀も1人でぶっ潰したし。


「だから、そんな特別な君にぜひとも手を貸して欲しいんだが」

王太子は私の瞳を熱く見つめてくるんだけど。アドには到底敵わないが、それでも見目麗しいイケメンに見つめられると私も赤くなる。

私が、答えようとした時だ。


「はい、時間切れです」

「えっ、いやちよっと」

なにか言っている王太子を無視して、強引に入ってきたヴァンによって、次の踊りに連れ出されてしまった。


「義姉上、王太子に心を許したら駄目だよ。兄上も煩いし」

ヴァンが注意してくるんだけど、


「別に気を許していないわよ。海賊退治を手伝って欲しいって頼まれただけよ」

「それを気を許すっていうんだよ。どのみち義姉上のことだから、もう一度暴れられるなら暴れたいって思ったでしょ」

「いや、そんなことはないわよ」

私はそう言って否定したが、ヴァンの言う通りだった。私の欲求不満の解消になって人々のためになるのならばそれで良いのではないかとは思った。

しかし、ここは、絶対にヴァンに頷いてはいけないのだ。


「目が明後日の方見てますよ。手伝う気満々だったでしょ」

「まあ、どうしてもって言われたら」

私は仕方なくうなずく。

「姉上。姉上がやったら洒落にならないでしょ。海賊団の5つや6つ、すぐに壊滅させちゃって、今度はその親玉と世間では見られているアルメリア王国と戦争になってしまうよ。このあたりで止めておかないと。そんな事になったらフェリシー先生のお小言だけでは終わらないからね」

そうだった。私がやると絶対にそうなるだろう。


戦争は良くない!


「そうね。その点が心配だから大人しくしているわ」

私は自重しようと思って私は頷いた。

「最も、もうすでにアルメニアに目をつけられているけど」

私は王太子の話をどうやって断ろうか考えていてヴァンがなんか言ったことをよく聞いていなかった。


それからジェドとは踊らされるし、チェルバ公爵と踊って息子の嫁に来いと再度誘われてアドとシルビアが切れてくるし、なかなか大変だった。


後から後から誘いに来る男性陣にいい加減に疲れたてきた。

他のクラスの貴族の連中と今後のクラス対抗戦で勝つためにもっと情報交換しておきたかったのだけど、学園に帰ってからでいいだろう。


外交の件でアドが外務卿に捕まった隙に、群がる男性陣を避けて私は中庭に出たのだ。一息つきたかったのだ。


しかし、外にも結構な人がいる。顔をうつむき加減に隠して人のいないところを探して歩いていくと、向こうからキョロキョロ誰かを探しているような王太子を見つけた。


まずい。今捕まったらまた、海賊討伐を頼まれそうだ。でも、今の私の最優先課題は王立学園のクラス対抗戦で勝つことで、この学園の留学を楽しくすごすことなのだ。たしかに海賊の討伐は大切だが、ヴァンの言うようにそれはルートン王国の仕事で私がやることではない。下手したらエルグランを巻き込みかねないし・・・・。


私は慌てて木陰に隠れた。


そこには誰もいなかった。ホッとしていると


「義姉上、こんな所で油売っていたんだ」

入ってきたヴァンが飲み物を差し出してくれた。

オレンジジュースだ。喉の渇いていた私はありがたくそれを飲ませてもらった。


「しかし、エルグラン以上に皆積極的だね」

本当にそうだ。学園では貴族と平民がいるからかまだそこまで積極的ではないが、ここでは皆積極的に絡んでくるというか、ナンパしてくる。大人になったら皆変わるのか、それとも私が平民と仲良くしているので、躊躇しているのかそこまで皆迫ってこないんだけど。

踊るたびにデートに誘われたりするんだけど、果ては静かなところで話そうと誘われるし、断るのも一苦労だった。最も傍のアドの怖い視線にみんな慌てて私から離れて行ったけれど・・・・



まあ、私が最初に騎士団長の息子をのしてしまって、怖れられているからなんだろうか。


「まあ、学園の義姉上の周りはオーレリアンらが護衛しているからね」

「ああ、それで皆、声かけてこれないのか」

でも、それじゃ親しくなれないじゃない!


私が少しムッとした時だ。


「しっ」

ヴァンが自分の唇に人差し指を充てて、私を制した。

木陰から反対側を窺っている。


私もその上からそうっと除いてみると男二人が話していた。

男女がキスでもしているかと期待して見たのに、男二人で何しているんだろう。

コソコソ話している。


こいつらゲイなの?


「我等の手はの者は騎士団にもある程度浸透しています」

「言うことを聞かない場合は襲撃してもなんとかなりそうか?」

暗くて誰かは判らないが、1人は聞いたことがある声だ。


「さあ、まだそこまではなんとも言えませんが、その時は我らも力をお貸ししましょう」

「問題はあのターザン女だな」

えっ、それってひょっとして私? でも何で今世でターザンって知っているんだろう? そうか、ターザンってサルの種類か何かだったっけ? 


私は更に詳しく聞こうとして身を乗り出した時だ。



「お前ら何をしている!」

後ろから怒っているアドの大きな声が響いたんだけど。


私は慌てて後ろを振り向こうとして、態勢を崩してヴァンを押し倒してしまったのだった。


怒り狂ったアドの前で、男を押し倒した痴女になってしまったのだ!



ついに修羅場到来か?


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