王宮で海賊船退治の真相が腹黒王太子によってバラされてしまいました
王妃様の言葉に私は唖然とした。帝国の皇帝に天誅を下した母のことを連想して言っていると思うのだが、私は基本的に侵略するつもりなんて全然ないんですが・・・・
でも、この雰囲気はとてもまずい。
周りの騎士なんて陛下の一言で剣を抜いて切りかかるつもり満々なんだけど。
「妃殿下。彼女はそんな事は思っていないと存じますぞ」
陛下の後ろに控えていた老人が庇ってくれた。
私はそのおじいさんをどこかで見た記憶があった。
「リャネス。何を言うのです。その娘はあの破壊の魔女の娘なのですよ。学園では騎士団長の息子を傘下に収めて着々と勢力を伸長しているとか。アルメリアと組んで国家転覆を図っているに違いありません」
なんか王妃様に酷い言われようなんだけど、私は単に学園で楽しい留学生活を送りたいだけなのに・・・・。アルメリアって海洋国家のアルメリアだと思うんだけど、海賊と裏で組んでいるとか良い噂を聞いたことがない。でも、この前この海賊を退治したのは私なんですけど、全ての功はダニエルに譲ったけれど。そんな私がそのアルメリアと組める訳ないじゃない!
「フランソワーズ嬢にそんな腹芸は出来ないと存じますぞ、妃殿下。何しろ、ルートン山でも名物の三本杉の一本を切り倒したくせに、三本杉の看板をマジックで消して二本杉と書いて誤魔化せると考えておられたくらいですからの。そんなのに引っかかるのは我が国の姫様くらいですわい」
おじいさんは笑っていってくれた。
そう、この笑いは
「ああああ! ルートン山で私たちの鍋を勝手につついていたおじいさんだ」
私は思わず指さして、思いっきりフェリシー先生にその手を叩き落されていたのだけど。
「その節は世話になりましたの。陛下の御伽衆のリャネスと申します」
老人があいさつしてくれた。
痛む手を庇いつつ、そうか、この老人は王宮の人だったのか。それでシルビアとかと親しかったのだ。先生に怒られている時も勝手にしゃしゃり出て私が植林することとで許してくれたのはそう言うことか。
「なんじゃ。リャネスはルブラン公爵令嬢と知り合いか」
「はい。とても破天荒なご令嬢で」
なんかこのおじいさんもムカつくことを言う。
「ちょっとリャネス。いくら私でも、あんなので引っかかる訳無いでしょ。やっても無駄だと言ったのに、ディオとフランの二人で誤魔化していただけじゃない」
「いや、俺も誤魔化せるとは思っていないけれど」
シルビアの声に隣のディオがつぶやくんだけど。
ふんっ、どうせ。単細胞ですよ。単純で悪かったですね!
「まあまあ、フランソワーズ嬢。嘘が付けないということは外交においてとても大切なことなのです。まあ、お隣の王太子殿下も嘘は苦手なようですが」
「リャネス殿。私は誠実だと言ってほしいですな」
私は隣を見るとアドはムッしていた。
「まあ、後ろの腹黒お二方が企んでいらっしゃれば話は別ですが」
「そうよね。グレースもピンク頭も悪巧みが好きそうだもの」
私が振り返って言うと
「はあああ、何言っているのよ」
「そうよ。単純なあなたに比べれば誰でも腹黒よ。と言うか腹黒は私達の前でしょ」
二人が言い返してきた。でも、二人の前って私の可愛い弟たちしかいないんだけど・・・・
「皆さん、ご静粛に」
フェリシー先生が注意してきたのでやむなく私は前を見た。
「ちょっと皆、何を言っているの? 私はまだ、公爵令嬢を信じた訳では無いわよ」
王妃様が言ってくるんだけど。
「何を言っているのですか。母上。彼女がアルメリアと組めるわけがありませんよ」
王太子が私をニコリと笑って見た。なんか不吉な予感がする。
「何しろ彼女は留学生一行を襲った海賊をほとんど1人で退治したのですから」
「えっ、それはダミアンがしたのでは」
「そうです。英雄ダミアンに助けてもらったのです」
王妃の言葉の尻馬に乗って私は必死に誤魔化そうとした。
「まあ、フランソワーズ嬢、あなたの謙遜する態度は素晴らしいが」
王太子は傍らにいた係の者に合図した。
「あああああああ」
そこには大写しで雄叫びとともに、片手に恐怖の叫び声を上げるダミアンを持ち、ターザン宜しく海賊船に向かって飛んでくる私が写っていたのだ。
その画像には海賊相手に獅子奮迅の活躍する私がはっきりと写っていたのだ。
私は頭を抱えていた。
その画像を見て唖然とする王妃様を始めとするルートン王国の貴族たちと怒り狂っているフェリシー先生と呆れた他の同行者がいた。何かアドの視線も怖いんだけど。
変だな、いつものガサ入れの時の私と同じなのに!
いや違う、それよりもフェリシー先生の顔が怖い。これは下手したら3時間コースか・・・・
本当に王太子の奴、なんてことをしてくれたのだ! そもそもどこの海賊だ。こんな画像を残していたのは。
こんな事ならばあの海賊船、拿捕せずに燃やしておけば良かった・・・・
そう考えたが後の祭りだった。
後悔、先に立たず、フランの運命や・・・・
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