王宮に陰険王に会いに連れて行かれて王妃にこの国を攻めに来たのかとあらぬ疑いをかけられました
「ちょっと兄上、義姉上にくっつきすぎです」
「そうです。殿下。殿下はまだ姉上の婚約者にすぎないのですから」
私の隣にベッタリとくっつくアドに二人の弟が噛みついたのだ。1人は今後義理の弟になる予定の王子だったが・・・・
馬車の中の雰囲気は最悪だった。
行きたくないオーラ満載の私は仕方なしにメラニーたちと一緒の馬車に乗ろうとしたら、アドに拉致されて王宮から派遣された立派な馬車に乗らされたのだ。
でも、そこにはすでにヴァンとジェドの二人が乗っていた。
「何故お前らがここにいる?」
不機嫌そうにアドが言うと、
「私も第二王子ですから、この馬車に乗るように言われました」
「じゃあ、ジェドは?」
「それを言うなら、姉上もですよね」
「フランは俺の婚約者だから」
「じゃあ、私は姉の付添の保護者で、ということで姉上は私の隣に」
「何故婚約者の隣を他の男に座らせねばならない?」
「アド、何言っているのよ。ジェドは私の弟よ」
私がジェドの隣に座ろうとしたら、強引にアドの隣に座らされのたのだ。
そして、冒頭の二人の言葉に戻るのだ。
「で、この国の陛下ってどういうふうに陰険なの?」
私はこの陰険な雰囲気をなんとかしたくて、質問した。
「えっ? さっきも変に思ったんだけれど、陛下は人当たりの良い方だぞ」
「私もそう言う風に聞いていますけれど。ルートン王国の者は皆、新参者と我々を見下す傾向がありますから、それじゃないですか」
アドに続いてヴァンまで言うんだけど。
「違いますよ。この国の陛下が学生の頃にエルグランに交換留学で来ていて、母に言い寄ったら振られたので、それを根に持っておられるって聞いていますけど」
ジェドが真相を教えてくれた。
「フランの母上に振られたのか」
「母上もおきれいですもんね」
「余程、こっ酷く振られたんじゃない。母も後々の事を考えてやればいいのに、考えなしに手ひどく振ったのよ」
私の言葉に残りの三人は顔を見合わせた。
「とすると余程根に持っているかもしれないぞ」
「うちの母も姉上と同じで、怒ると見境なしですから」
ジェドの言葉に残りの二人が大きく頷くんだけど。
「ちょっと、それ、どういう意味よ」
私がムッとして言うと
「いや」
「別に」
「さあ」
三人とも明後日の方見るんだけど、何故に?
王宮に着くと、まず、アドが馬車を降りて、その後、ヴァンに降りてもらおうとしたら
「フラン」
アドが強引に私をエスコートして降ろしてくれたんだけど。
私は公爵令嬢の正装じゃなくて制服だって言うのに・・・・
「じゃあ、アド、私は後ろからついて行くから」
「何を言っているんだ。そんなことしたら逃げるだろう」
「逃げるわけないでしょ」
「いや、昔、王宮でやってくれた」
「いくつの時の話しているのよ。六歳の時の事持ち出さないで!」
本当にアドは根に持つ。私はつまらない細かい説明を延々として王宮を嬉々として案内してくれるフェリシー先生からアド1人を残して逃げて、厨房でお菓子を食べていただけなのに!
「俺の婚約者だから俺がエスコートしても問題ないだろう!」
「でも、私は今は制服を着ているのよ」
「ということで姉上のエスコートは私が」
ジェドが言うが
「いや、第二王子のこの私が」
なんか三人で争いが始まったんだけど。
なんか、さっさとしなさいというフェリシー先生の視線が怖いので、仕方なしにアドの手を取った。
でも、制服で外交用の正装の王太子の横を歩くなんて最低なんだけど。これなら家から持ってきた唯一のドレスを着てくれば良かった。
いつも自国の王宮で制服で歩くのは慣れているだろと後でアドに言われたけれど、自国の王宮は行きたくはないけれど、もう日常茶飯事で子供の頃から慣れさせられているから良いけれど、他国は別なのだ。それも私の母に敵対心を燃やしている陛下の前に私が目立って行くことはマイナスなんじゃない!
嫌がる私の意見は誰も聞いてくれず、私達は謁見の間に案内された。
そこはさすが1000年の歴史を誇るルートン王国だ。
壁には教科書に出てくるような有名な絵が飾られていたし、絨毯は細かい模様の描かれた豪勢なものだった。何から何まで一級品が揃えられていた。そして、王太子始めシルビアなど王族と大臣や要人らが一同揃っていたのだ。
でも、私はその中の一角の柱にキラキラ光る剣が突き刺さっているのが気になった。なんで剣が刺さったままなんだろう?
私の疑問をそのままにして、私達はアドを先頭に十名強が中に入いった。
「これはようこそいらっしゃった」
陛下が椅子に座って歓迎の意を表した。
見た目は中年のでっぷりした人のいいおじさんだ。
その横の王太子を見て、今はスラリとしてイケメンの王太子も将来はこんなでっぷりしたおじさんになるんだと私は思わず不敬なことを考えてしまった。
「お久しぶりです。陛下。この度は我が国の留学生がお世話になっております」
「何を仰るのやら。こちらの留学生もお世話になっておりますからお互い様でしょう」
アドの挨拶に陛下は鷹揚に頷いた。
「殿下のお隣の方が留学生の代表のグレース・ラクロワ公爵令嬢かな」
「いえ、彼女は私の婚約者のフランソワーズ・ルブラン公爵令嬢です」
「はじめまして陛下」
私はカーテシーをした。
「おおおお、ルブランとは」
「よく来れたものだ」
「流石に図太い」
外野が何か色々煩いんだけど。
それも高位貴族がだ。でも、私はまだ何もしていないと思うけれど。
「陛下、ルブラン公爵家がどうかなされたのですか」
「これは王太子殿下もご存知ないのか」
陛下が目を見開いて驚いている。何だ?
後ろからメラニーらの視線が冷たいが、私はまだ何もしていないはずだ!
「まあ、これは王家ないし高位貴族だけに伝わる言い伝えであるが、エルグラン王国が王権を取る前に我らはその前の王朝を応援しておったのはご存知よな」
アドは頷いた。それは私も知っている。悪政名高きエルグランの前王朝の元宰相だったエルグランの始祖が反旗を翻して、エルグラン王朝を打ち立てたのだ。
その前王朝とルートン王国は同盟国で当時騎士団長で宰相派についた我が公爵家の初代もルートンとは戦ったと聞いている。そんな前の話なの?
「ルブラン公爵令嬢。あなたは今そんな昔の話と思われたな」
「は、申し訳ありません」
なんて感の鋭い陛下だ。陛下に指摘されて私は謝るしか無かった。
「いやいや、普通はそうなるのだ。しかし、我々には今も続いているのだよ」
そう言うと陛下は先程の剣を見たのだ。
「その時攻め込んだ時残されたルブラン公爵の剣がそこに残っている」
陛下が指さしたのは最初に私が目に止めた剣だった。
「この剣は呪いの剣と言われておってな。未だに我が国に禍をもたらしていると噂されておるのだ」
「さすがフランのご先祖様。300年も呪い続けるなんて」
この声は絶対にピンク頭だ。
「いや、流石に300年も呪いが続くというのもどうかと思いますが」
アドが言ってくれた。
そうだ。基本的に我が家は熱しやすく冷めやすい。ムカついたら思いっきり殴って後は許すのが基本だ。こんな遠国、呪ったところで何の益もないと思うのだけど。
「そう、殿下はおっしゃいますが、いろいろなものがこの剣を取り去ろうとしましたのに、誰も出来ませんでしたの」
隣の女性が言うのだが、おそらく王妃様だろう。
「それだけではございませんわ。更に言い伝えがございまして、初代公爵はこう言われたと『我が血を引きし者が再びこの地に参りし時にこの国を滅ぼさん』と」
「なに、ただの噂だ」
王妃様の言葉を即座に陛下が否定されるが、
「噂ではありませんわ。最近の海賊共の暗躍もこの剣の呪いのせいですわ。ルブラン公爵令嬢。あなた、王立学園でも色々暗躍してくれているとのことだけれど、この国を乗っ取りにいらっしゃったの?」
王妃様が立ち上って私を指差したんだけど。
ええええ! これはひょっとして大ピンチなんでは。
周りの騎士たちもこちらを睨みつけているし。でも、噂で弾劾されるのはちょっと待ってよ!
敵だらけの王宮で弾劾されているフラン。果たしてどうなる?
更新は今夜です







