神
「…………×××!」
うるさい…せっかく人が気持ち良く寝てるのに。
「……………きて。起きてくださーい!!」
「え!?」
いきなりの大声に、俺はハッと目が覚める。
飛び起きて、しかしそこが自分の部屋でないことに気が付いた。
そこは、何もない真っ白な空間だった。
ひどく殺風景。普段散らかしっぱなしの俺の部屋と比べると、少々寂しい。
俺は辺りを見回した。
天井を見ようと、顔を上に向けたその瞬間。
「こんにちはっ!!」
「うえぁああ!?」
見下ろすように笑いかけてきた誰かに、俺はまたもや仰天させられる。
「えへへっ♪お兄さん、驚きすぎですよぉ」
心臓バクバクの俺に、そいつは楽しそうに語りかける。髪も服も白い中で、唯一目だけが赤く光っている。
お前は誰だ、と尋ねようとしたとき。
「ボクですかぁ?ボクは神様ですよぉ」
俺の心を読んだかのように、自称「神様」は告げた。
「……は?神様?」
「そうです!」
えっへん、と胸を張るそいつ。
夢だ。きっとこれは夢の中で、この胡散臭い神様も幻なのだろう。
俺の脳は、この空間を現実と受け止めることを拒否した。
「んで?その偉い神様が俺になんの用ですか?」
夢なのであれば、恐れることもない。俺は神に質問した。
「あははっ!夢なんかじゃないよぉ?」
「俺の質問に答えろよ」
「んもー、わかったよぉ…」
まただ。こいつはまた俺の心を…いや、あり得ない。俺は現実主義なんだ。こんなやつが神でたまるか。
自分を諫める俺の目を、突然「神」が覗き込む。
「ねぇ、どうしてキミがここにいるのか解る?」
わかりっこない。だから訊いてるんだ。
「…そうだよねぇ♪じゃあ、ボクが教えてあげる」
「キミはねぇ、死んだんだよ」
目を細めて嗤った。
は?
「覚えてないんだよね?……思い出させてあげるよ」
「神」が俺を見つめる。次の瞬間、俺の脳裏を記憶が駆け巡った。