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第9話 イールス・ロシテンアンアム

 即座に、攻撃準備に入る俺たち。ていうか、《インビジブル》中のはずだが……見破られたのか!


「そう身構えなくとも、よいですよ。僕は、イールス。イールス・ロシテンアンアムです。以後、お見知りおきを」


『イールス・ロシテンアンアム……照合完了。エステル教会の枢機卿の一人です。戦力ランクはS+と推定』


 S……プラス?


『はい。近々、戦力ランクの細分化が開始されることはご存知かと思いますが。既存のランクに、-と+を追加する予定のようです。それらに基づいて、ランク付けさせて頂きました』


 なるほど……って、S+!? 枢機卿って……超大物じゃねえか。なんで、バレた? まさか、誘導されたのか?


「僕に敵意はありません。そこの彼とやり合いたくありませんからね。僕と同等……いえ、それ以上ですか。こんなところで死ぬわけにも、行きませんし」


「……」

「どうする? エリク君」


「お兄様っ!」

「ご主人様!」

「エリク様……」


「……俺たちの目的は、教会の不正を暴くことだ。麻薬ポーションの件は知っているな?」


「ええ、もちろん。ですが、僕個人としてはあれには反対ですね。薬漬けでは、自我を失っているのと代わりありません。そんな薄い信仰心では……神の心は満たされないでしょう」


 神ねぇ……俺は、神なんて信じてない派なんだけどな。

 あーでも、この世界には本当に神とか存在するんだっけ。


『はい。神と呼べる存在はいます。しかし、人間にとって都合のいい神は存在しません』


 ま、そりゃそうだ。信じるだけで救われたら、誰も困りゃしねえ。自分の意志で行動してこそ、救われるんだよ。


『正しい判断です』


 んで、こいつと真正面からやりあった場合のパーティーの生存確率は?


『エリク様の生存率はオールナイン。一番低いのは、ユーリカ様です。次がモニカ様。サリア様、セレス様の順です。ユーリカ様の生存確率は、58.3%となっています』


 普通にヤバイじゃねえか。パチンコで激アツをよく外すことを目にしてたらわかるぐらいの確率だな。俺はやったことねえから、あれだけど。ゲーセンとかで置いてあるのをやったことあったかもしれねえが。まあ、それはいい。大体二分の一ぐらいの確率でユーリカが死ぬ。てことは、避けたい。戦闘行為を。


「君は今、僕と戦った場合。彼女たちが死ぬかどうかを考えていただろう?」


「なっ……!?」

「図星のようだね。あまり、顔に出さないことをオススメするよ」


「……」


 読まれてる。マズイ。交渉材料に使われたら、俺は製造書よりも、ユーリカ達を優先するだろう。当然だ。


「君の名は?」

「……エリク。エリク・ユーファシア・ラディウス」


「なるほど。ラディウス家のご子息でしたか。通りで……ふふ、これは貸しにしておきましょう。その書類を持って、お逃げなさい」


「いいのか?」

「ええ。僕にとっても、それは邪魔でしたから」


 俺たちはイーリスに警戒しながら、立ち去ろうとする。

 そして、イーリスの前を横切った時。


「いずれまた、会うことになるでしょう。その時、僕が君の敵でないことを祈りたいものですね」


「……」


 俺たちはエステル教会の総本山から脱出した。


「ぜぇ……ぜぇ……」


 なんか、どっと疲れたわ……マジで。あれが強者ってやつか。マジで、緊迫感が半端なかったわ。完全にびびってた。飲まれてた。あいつに……。


「くそっ……!」


「まあ、全員無事だったのですから。よかったではありませんか、お兄様」


「そうね。あいつはヤバかったわ。私の直感がそう言っている」


「とにかく、これで教会の不正を世に公表することが出来るな。シュバルナ王国へ行こう! 国王陛下に謁見して、この書類を渡すんだモニカ!」


「はいっ!」


 そうして、俺達はシュバルナ王国へと向かうこととなったのだった。


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