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第8話 突入

 エステル教会の総本山についた俺たち。しかし、すげえとこだな……なんて巨大な建物なんだ。さすが、総本山なだけはある。しかし、こんなことレポートにまとめるわけにもいかないしなぁ……実質何も行動していないことになる。まあ、これが上手くいけば、試験どころか、勲章物だと思うけどね……。


 いや、そうでもないか。教会と周辺国家は蜜月関係にあるらしいしな。余計なことをしやがってと、文句を言われるに決まっている。


 さて、どうするか。正面切って行っても当たり前だが、無理だ。そもそも、ブラックリストにすでに載っていたとするなら、異端審問にかけられて殺されかねない。


 となると、隠密行動が求められるわけだが……。


『コピースキルで《インビジブル》を真似てみるのはいかがでしょうか』

 そんなことできんの?


『はい。ただし、コピースキルはSランク以下のスキルでなければ、行う事は出来ません。《インビジブル》は、Aランクのフェイクスキルですので、コピー可能です。コピー条件は、相手のスキルを一度、確認する必要があります』


 めちゃくちゃ、条件ゆるっ。実質あってないようなもんじゃん。


『エリク様のスキル解析能力はSSランクとなっていますので、当然でしょう』


 ん……あのさ、そういえば途中で話切ったけど、もしかしてあの途中で切ったスキル関係の続きってまだ相当あったりしたの?


『はい。途中で私が発言することを遮断されただけで、エリク様に備わっている固有スキルの数はあんなものではありません』


 そ、そうなんだ……やべえな。まだ、沢山あったのか。あー、うん。必要な時に教えてくれればいいから。全部説明しなくてもいいよ。


『畏まりました。そうさせて頂きます』


 強くてニューゲームどころか、チート使用者だな、これじゃ。ま、楽でいいけど。


「というわけで、コピースキルを使って潜入捜査しようと思う」

「さすがお兄様。凄すぎますわ」


「そうね。正直、私達が同行したら邪魔になるだけなのではないかしら?」

「ユーリカもそー思いますぅ……」

「わ、私も……」


「かといって、外で待っていてもいつ刺客に襲われるかわからないだろ? 俺の近くにいた方がいいと思う」


『肯定です。エリク様が守られている場合とそうでない場合とで、パーティーの生存確率は大きな差異が発生します』


 具体的にどれぐらい?


『相手との戦力差にもよりますが……先程の編成部隊が相手の場合、エリク様なしでは、パーティーの生存率12.58%となりますが、エリク様が存在していた場合、99.999999……オールナインとなります』


 そりゃどうも。ようするに、俺がいればなんとかなるってことね。りょーかい。


『しかし、ご注意下さい。エステル教会の総本山ともなれば、司教や枢機卿など、かなりの使い手が存在しています。いずれも、A~Sランク以上の存在といえるでしょう。それが、解析情報では30名ほど点在しています』


 まともに戦ったらヤバイのはたしかだな。さすがの俺でも守りきれるかわからないって……なんか、さらっと凄いこと言ってないか、俺? 枢機卿連中とやりあって勝てるみたいな言い回しだぞ。自信家過ぎるだろう……。


『エリク様の潜在能力からすれば、おかしくはありません。ですが、経験は彼らの方が豊富です。エリク様は戦闘経験が極端に少ないため、不覚を取られる可能性は十分にございます』


 ま、当然だな……目的はそいつらとやり合うことじゃあない。製造書や、売買の書類関係だ。どちらでもいい。何かしらの証拠を掴んで、ここを離れたい。


 しかしこの《インビジブル》ってほんと便利だな……誰も気づきやしない。更衣室とか除き放題だぞ、これ。……随分とスケールが小さいな。いやほら、健全な17歳の男子なら誰もが思い描くだろ? ロマンだろ? 教室のドアについた窓をちょろっと除くと着替え姿が簡単に見えちゃったりするだろ? あれだよ、あれ。ロマンだよ。何いってんだ、俺は。


 そうこうしている間に、薄暗い倉庫のような場所にたどり着いた。

 開けようとすると……。


「ん、鍵がかかっているな」

「では、ここは私に任せてくれ」


 そういってセレスが鍵穴に向かって魔法を唱えている……すると、鍵穴に氷の鍵が……おぉ。すげえ。

 セレスはそれをくるっと回転させると、ガチャっという音が聞こえてきた。解錠出来たのだろう。

「氷系の魔法はこういうことにも使えるわ。鍵穴と同じ形に氷を形成すればいいだけ」


 簡単に言ってはいるが、相当技術力が必要な魔法であることはたしかだろう。ていうか、泥棒し放題の魔法だな、それ……。あれ、俺って剣士だよなぁ? 盗賊じゃないよなぁ? 転生する前に、盗賊もいいかなーとか思ってたけど、なんかマジでやってることがそれっぽくなってきちゃったぞ? おかしぃーなぁ。別に正義の味方でもないんだけどね、俺。


 中は真っ暗だ。何も見えない。


「あ、私が明かりをつけます。光よ、我の前を照らせ……《ライト》」


 お、ユーリカが光系の魔法で明かりを出してくれた。うんうん、ユーリカもちゃんと役に立っているじゃないか、よかったな。ユーリカ。


 ヒーラーだけあって、光系の魔法に特化しているようだ。

 倉庫の中には、沢山の資料や書類がまとめられていた。これは……ビンゴかもな。

 サリアは手早く書類を確認していく。すげえ流し読みだな。さすが学年トップの成績だけある。


「わたくしだけが活躍しておりませんもの。さすがにここらで見せておかなくてはいけませんわ! おーっほっほ」


 あんま、大声ださないでね。声は消えてないんだから……。


「! ありましたわっ! これですわ……麻薬の製造から、販売ルートまで、細かく記してありますわ」

「よし。やることは終わった。さっさと脱出しよう」


 その時だった。背後から声が聞こえてきたのは。


「そこで、何をしているんですか?」


「っ!」


 しまったっ! 見つかったかっ!?


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