第1話 強くてニューゲーム
『貴方は死にました』
……随分と、唐突だな。急にどうした。お前は誰だ?
『私は貴方をサポートする存在です。貴方は異世界で転生することが可能になりました』
異世界? 転生? どっかで聞いたことのあるワードだな。それで?
『貴方が異世界に転生するに当たって、様々なスキルを取得することが出来ます。自身が生まれ変わったら何をしたいのかを念じて下さい』
そんなこと言われてもな。正直、何も実感がない。本当に俺は死んだのか? どうして?
『わかりません』
はぁ?
『私は、貴方が死んだ瞬間に起動しました。そして貴方という存在を感知し、サポートしているのです。よって、生前の貴方の存在については認識しておりません』
やれやれ……正直、『夢』だと思ってるんだが。まあ、いいか。夢なら夢で……付き合ってやることとしよう。
何だっけ……生まれ変わったらやりたいことねぇ。ま、取り敢えずモテたいかな。生まれてこの方、モテた試しがない。
『Sスキル・《イケメン》を習得しました』
Sスキル? ていうか、イケメンって……それ、スキルなのかよ。笑っちまうぜ。
『はい。顔は天性の物ですので。固有スキルに位置します』
へえ……まあいや。これで俺はイケメン男子になったわけだ。おっと、そうだ。女の可能性もあるんだっけ。
『はい。性別も自由に決められます』
凄いな……あー、どうしよ。女に生まれ変わるのも、面白そうだが……いや、せっかく『イケメン』になったんだ。男のままでいこう。
『畏まりました。性別は男性とします。他に何かございますか?』
何かって言われてもなぁ……あー、金持ちになりてえな。何不自由しない生活を送りたい。
『SSスキル・《大富豪》を習得しました。大貴族の息子として、転生される予定です』
もはや、なんでもありだな……どうせだから、どんどん行こう。可能な限り詰め込んでやれ。強さもくれ。
『曖昧な言葉では、反映されません。どの強さかを仰って下さい』
えぇ? んー、てか。その異世界ってどんな所なわけ?
『中世風のファンタジー世界とお思い下さい。魔法や、モンスター、神、天使、悪魔……様々な種族が存在します』
なるほど。よくあるラノベとかの世界なわけね。どうすっかなぁ……最近、やたら主人公が魔法系多いし、たまにはオーソドックスに剣士とか盗賊とかやってみるか? でも、大貴族が盗賊ってどうなのよ。いや、むしろ王道か。ありそうだもんな。貴族の息子が盗賊の頭で、悪党から金をふんだくる話とか。でもなぁ……んー、剣士でいいや。たまには、王道中の王道でいこうじゃないか。勇者ってやつよ。ハハハ。
『SSS称号・《勇者》を獲得。続いて、《聖騎士》の称号を習得しました。Sランクパッシブ・《オールステータスアップ》を習得。自身のみならず、パーティー全体の全能力を大幅に上昇させます。EXスキル・《魔法防壁》を獲得。対魔法使い戦時、全魔法攻撃を大幅に軽減、または無効化させます。また、SSスキル《聖なる加護》により、あらゆる状態異常を無効化します。Sスキル・《ライトニング・ソード》を習得。SSスキル・《ブレッシング》を習得。SSスキル・《ギガスレイヤー》を習得。SSSスキル・《ホーリー》を習得。伝説級スキル・《タキオン》を習得。そして……』
ああ、もういいっ! 多すぎて把握出来ん! もうこんなもんでいいから。十分すげーから。わかったわかった。
『では、転生を開始しますか?』
あー、うん。いいよ。……ん、ちょっと待て。転生って生まれ変わることだよな?
『はい』
てことは……0歳からやり直すのかよ!? それはちょっと……だるすぎないか?
『……検索開始。照合完了。伝説級スキル・《時間跳躍》を習得しました。これで、お好きな年齢で転生することが可能となっています。ただし、跳躍した場合、それまでの年月はこちらで推測される貴方様の行動パターンに基づいて行動し、年月が過ぎるものとします。また、この《時間跳躍》を用いて、過去に渡り、過去の出来事を変えた場合、《タイム・パラドックス》発生により、起こる現象としましては、未来の出来事が全て変更されます。では、過去や未来に飛んだ自身がどうなるかに付きましては、時間軸から、切り離された存在と見直します。よって、《時間跳躍》を行った存在については、《改変》されないものとします。よって、過去に戻り、自身の親を自身が生まれる前に殺したところで、現在の貴方に影響は発生しません。注意事項としては、以上です』
やべえ、難しすぎてよくわからん。まぁいいや。じゃあ、十七歳ぐらいで頼むわ。今の俺の年齢と同じで。
『畏まりました。では、十七歳の貴方様に《時間跳躍》した状態からスタートします』
うわっ! 急に画面が揺れるような感覚が……。うっ……。