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嘘吐き探偵の魔法戦記(エストラッテ)   作者: 篠風 錬矢
第1章 アルカディア編
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アルカディア魔法学園へようこそ

「さて、ここが何処かという質問ですが……此処は“学園都市 アルカディア”、“シャングリラ公国”に属する都市です」

そう言えば、僕の最初の質問は『此処は何処』だった。

学園都市は国の領内に存在するが、円形の城壁に囲まれている。となると、ここは西洋のシャングリラ領らしい。

「学園都市……じゃあ、アリシアは学生なの?」

「いいえ、アルカディアの講師です」

「えっ、マジで!?」

「嘘です」

……またか。

「あのさ、アリシアって嘘吐きだよね?本当に探偵なの?」

「そこは誓って本当です。一昨日は迷子の子猫を見つけました」

それは探偵じゃなくても出来るだろう、僕でも出来そうだ。

「ショボい……」

「まぁ、嘘です。ちょっとした謙遜です、本当は強盗を捕まえました」

「えっ」

「そんな事より、これからどうするんですか?」

何だか凄い事言ってた気がするけど、本人が流すならそうしよう。

「……じゃあ協力をお願いするよ、僕が役に立つか分からないけど」

「交渉成立ですね、では早速行きましょうか」

そう言ってアリシアは立ち上がった。

「行くって、何処に?」

「決まってるじゃないですか」

アリシアは窓の外に見える要塞のような建物を指差した。

「アルカディア魔法学園ですよ」



僕達は街に出た。

この都市は学園を中心に8区画に分けられていて、アリシアの家は商業が中心である南東の区画にあった。

魔法の属性は火 水 雷 土 風 光 闇 竜の8つ。

それに準えたそうだ。

因みに、南東は風の“シルフ区”らしい。

「何で学園に行くの?」

「編入手続きの為ですよ」

「……編入だって?自分の使える魔法も分からないって言ったよね、魔法学園に入ったところで何も出来ないよ」

「私の家にずっといるつもりですか?今日は週末なので事務所に帰ってましたけど、私も基本寮ですよ。それに、何か手掛かりやキッカケがあるかもしれないじゃないですか」

確かに、色んな人や魔法を見れば、何か掴めるかもしれない。

「……そうだね、分かった」

僕達は週末に賑わう商業区画を歩き、学園に向かった。



正門の前に、衛兵が立っている。

「お疲れ様です、学園長に急用があって来ました」

そう言いながら生徒手帳を見せた。

「どうぞ」

衛兵が門を開けた。僕達は一礼して敷地内に入る。

「毎度学生証を見せなきゃいけないの?」

「基本寮ですので、必要ありません。当然寮は敷地内にありますからね」

「それもそうか」

目に入った施設等の軽い説明を聞きながら僕達は中央棟を目指す。

召喚用施設、戦闘訓練場、武器倉庫等があるようだ。

「週末だっていうのに、結構人いるんだね」

遊んでいたり、鍛練していたり、様々な学生がいた。

「……寮から帰らなかった人達ですね。彼らは暇なんです」

「ふーん」

「アリシアーっ!」

「あっ……」

「誰?」

金髪の少女が笑顔で駆け寄ってくる。

「週末にここにいるなんて珍しいじゃん!」

「……急用ですよ」

「誰、この男の子。彼氏でも出来たのかな?」

「はい」

「違うよ!?」

こんな嘘吐きと付き合うのは嫌だ。

「レイ・ニルヴァレンだよ!貴方は?」

「如月 真澄だよ、宜しく」

「えぇ宜しく!」

レイが右手を差し出したので、僕はその手をとって握手をした。

「レイはアリシアの友達?」

「そうだよ、大親友なんだk」

「そんな事はありません」

「またまた~、アリシアったらそんな嘘吐いて」

レイがアリシアの腕に抱きついた。

「やめて下さい」

無情に振りほどく。

「レイ、私達は学園長に用があるのです」

アリシアが呆れたように言ったその時、上から無数の氷塊が降ってきた。

「ちょ、何これ何これ!?」

「〈爆閃光魔弾(フラッシュボム)〉!」

レイが放った光弾は空中で爆発し、氷塊を消し飛ばした。

「危ないじゃないの、エリン!」

レイが叫んだ方向を見ると、水色の髪の少女がいた。

「……アリシアにまとわりつく虫を潰そうとしただけよ」

エリンと呼ばれた少女は淡々と応じた。

「アリシア、あの子は?」

「エリン・クリスタル、彼女が私の親友です。クールでよく私の為に行動してくれるんですが、思い込みが激しい上にやり過ぎるタイプです」

「……何かよく分かった気がするよ」

「アリシアの隣の貴方、今すぐアリシアから離れなさい」

エリンが僕に冷たく言った。

「違いますよ、エリン。マスミは私のお客さんですよ」

「……どういう事?」

エリンが首を傾げたので、アリシアと僕はエリンとレイに事情を話した。

「……勝手に使い魔と契約するのは禁止されてる筈だけど」

「ちょっと待ってエリン今何て言った?」

「だから、勝手に使い魔と契約するのは禁止されてるって」

「……ねぇ、アリシア」

僕はアリシアを白い目で見た。

「失礼ですね、許可は取りましたよ」

「……嘘。ならどうして学園の施設を使わなかったの」

エリンが瞬時に看破した。

成程、確かにアリシアの友達だ。

「……とにかく、それも含めて学園長のところに行くんですよ。行きますよマスミ!」

「ちょっと!?」

「ばいばーい」

「……また」

レイとエリンに見送られ、僕は引っ張られていった。



「ここです」

アリシアが扉の前で立ち止まった。

『入れ』

中から女性の声が聞こえた。

「失礼します」

僕達は扉を開けた。

「珍しいな、君が週末にここに来るとは。その坊やが絡んでいるんだな?」

赤い髪の美女が赤い目を細めた。

その全てを見透かすような眼差しに僕は寒気がした。

「はい。実は…………」

アリシアが事情を話した。

「成程な。まずアリシア、君には始末書を書いて貰うぞ」

「はい……」

「そしてマスミ、これも何かの縁だ。君の編入を許可する」

「有難うございます!」

「私はヴィロワール・アルカディア、この学園と都市を統括している」

アルカディア……その名が意味する事は一つ。この学園都市の創設者の子孫という事だ。

「アリシア、君はもう下がれ。明日、始末書を持ってこい」

「分かりました、失礼します」

アリシアは出ていった。

僕をこの威圧感溢れる人と二人きりにしないで欲しかった。

「えーっと……」

「さて、君は魔法を使えないそうだな」

「はい」

「魔法というより、魔力そのものを感じないな。魔力をそもそも持っていないという事だ」

「そうみたいですね」

「魔力とは、心臓を満たす血にその根源があり、血液と共に全身に供給される。つまり、君にはその回路が存在しない事になる」

魔力を持っていても、扱えるかは人それぞれだ。

だから僕には才能が無いだけだと思っていたが、もっと根本的な問題らしい。

「そんな人間は初めて見た。属性は基本親から継承するものだからな……剣術はどうだ?」

そう言って、彼女は壁に掛けてあった剣を僕に放った。

「っと」

僕はキャッチし、両手で構えた。左足を半歩下げ、剣を自分の中央に合わせる。所謂、“正眼の構え”だ。

「成程、その構えは確かに東洋の型だ。となると、君が東洋人というのは間違いではないだろう」

「……そうみたいですね」

僕は構えを解いて剣を執務机に置いた。

「案内役を用意する。今日中に学園の地図を頭に叩き込め」

微笑を浮かべ、無理難題を吹っ掛けてきた。

彼女が統括する学園で暮らす事になった僕。

一体どうなるんだろう……。

どうも、篠風 錬矢です。

まだなろう初心者故、至らない部分が多くあります。

投稿作業で盛大なミスをした為、再投稿させていただきました。

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