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嘘吐き探偵の魔法戦記(エストラッテ)   作者: 篠風 錬矢
第1章 アルカディア編
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嘘吐き探偵の真の力

「アリシアの……第二魔法体系(セカンドグリモワール)……」

そういえば、消耗が激しいから切り札とか何とか言ってた気がする。

「行きます……」

アリシアの足元に“月”を連想させる魔方陣が展開された。

「アリシア・ライアータの名に於いて告げる。我が新月は真実を隠し、我が三日月は万象を欺き、我が満月は虚偽を照らし出す……今こそ出でよ、“真実を嗤う月(トゥルーハイドムーン)”」

アリシアが帽子を脱ぐと、帽子と前髪で隠れていた右目が露になった。

「“カレン会長は致命傷を負っていない”」

「え?」

直後、アリシアの右目が黒い輝きを放った。

「うわわっ」

僕は思わず目を覆った。

「な、何が……」

僕が目を開けると、カレンの傷が小さくなっていた。

「やはり、戦う為の魔力を残すと出来てこの程度ですか……結構使ったんですがね」

アリシアが帽子を被り直した。

「何をしたの?」

「私の嘘で真実を上書きしたんです。最も、私が死んだら解除されるので後でちゃんと治療するべきですが」

「上書き出来るなら、何で完治させなかったの?」

「それするとゲイル代理と戦う力が残らないので。それと、誤魔化してるだけで治してる訳じゃありません……しかし、傷を誤魔化せば、治療が間に合う可能性があります」

アリシアはハンカチをカレンの胸の傷に当てた。

「……最も、遅くなれば出血多量で手遅れになりますが。そうなる前に行きましょう」

僕は頷きかけ、大事な事を思い出した。

「でも僕、剣折れちゃったんだけど……」

いくら水の魔力を得たとはいえ、すぐに使いこなせるとは思えないので、剣が無いのは心許ない。

「剣ならそこにあるじゃないですか」

「え?」

アリシアが指差した先には、カレンが先程地面に突き立てた剣があった。

「カレン会長はマスミに全てを託したんです、使いましょう」

「……分かった」

僕はカレンの腰から剣の鞘を外し、地面から剣を抜いて鞘におさめた。

「待っててカレン会長……行くよ!」

「はい」

僕達は駆け出し、その勢いのまま二人で扉を蹴り開けた。

そこに、黒幕(ゲイル)はいた。

「覚悟しろ学園長代理……いや、ゲイル・ブライナー!」

「叩き潰されてから学園長の居場所を教えるか、学園長の居場所を教えてから叩き潰されるかは選ばせてあげます」

僕は剣を抜き、アリシアは人差し指をゲイルに向けた。

探偵らしく犯人に突きつけているのではなく、いつでも〈邪閃光(イビルレーザー)〉を放てるようにだ。

しかし、ゲイルは笑っていた。

「クハハ……魔法が使えない小僧と満身創痍の小娘に何が出来る?私を叩き潰すだと?面白い冗談だ」

「冗談なんかじゃないさ」

僕は剣に水を纏って地を蹴った。

「何っ!?その剣と水の力……そうか、やってくれたなカレン・クトゥリアム!〈風剣錬成(ウィンドソード)〉!」

ゲイルの右手に風が集い、剣となった。

「今だっ!」

「分かってます……〈邪閃光(イビルレーザー)〉!」

アリシアが放ったレーザーが僕を追い越し、ゲイルの右手に直撃した。

「ぬぅっ!」

風剣が弾かれ、霧散した。

「喰らえ、〈水魔斬(すいまざん)〉!」

真横に薙いだ水の刀身がゲイルの腹を捉えた。

「ぐぅっ……ふん!」

「がっ!」

ゲイルが僕を蹴りあげた。

「何で……」

「魔力装甲は戦いの基本だ」

ゲイルが風を纏った拳を振り上げた。

「やばっ……!」

しかし、僕は信じていた。

「エリンの技、お借りします!〈闇剣展開(ダークソーディアス)〉!」

無数の闇剣がゲイルに襲いかかる。

ゲイルはその拳で闇剣を打ち払った。

僕はその隙に距離をとった。

「おのれ小娘!〈風魔弾(ウィンドシュート)〉!」

四つの風の塊が放たれた。

「マスミ一私三!自分で対応して下さい!〈暗黒障壁(ダークファランクス)〉!」

闇の障壁が風の塊を防ぐ。

「〈水流槍(すいりゅうそう)〉!」

僕は水の槍を放ち、風の塊を貫く。

ゲイルは紙一重で水の槍を回避した。

「何故、力のみならず技までも……!」

「分かるんだ、力の使い方が。カレン会長は願いと共にこの力を託した。ならば僕は、それに報いるだけだ。〈水魔斬〉!」

その場で剣を薙ぐと、三日月型の水塊がゲイルに向かっていった。

「〈闇爆魔砲(ダークネスカノン)〉」

僕に合わせ、アリシアも攻撃を仕掛けた。

「おのれ……容赦はせんぞ!〈暴風の聖剣ストームエクスカリバー〉!」

瞬時に風の大剣を錬成し、振り抜いた。

すると、暴風の如き巨大な斬撃が僕達の攻撃を掻き消した。

「……決めます」

「!」

それだけ言って、アリシアは姿勢を低くして突撃した。

「貴様らの魔法など、私には通用せん」

「そうですか」

ゲイルが言った時には、既にアリシアはゲイルの懐まで肉薄していた。

アリシアは両手両足に闇の魔力を纏っていた。

「しまっ……」

ゲイルの顔がひきつった。

「魔法が効かないのなら!」

跳躍し、顎にアッパーを叩き込む。

打撃(コレ)で直接!」

アッパーを受けて上を向いたゲイルの顔に踵を振り落とす。

「ぶっ飛ばすまでですっ!」

空中で回転し、こめかみに回し蹴りを決めてフィニッシュ。

足に纏っていた魔力が爆発し、ゲイルを真横に吹き飛ばした。

「トドメを刺しますよマスミ!〈闇爆魔砲(ダークネスカノン)〉!」

「〈水流槍〉!」

壁にめり込んでいたゲイルに、全力の追撃が炸裂した。

「ぐぉあぁぁぁぁ!」

爆音と共に断末魔とおぼしき声が響き渡った。

「あ、あれ喰らってまだ意識あったんですか……」

「凄く頑丈だったね……」

僕達は壁にもたれ掛かった。

勝ったんだ、僕達はアルカディアのナンバー2を打ち倒したのだ。

「……でも、アリシアのデスコンボ喰らって意識あったんだよね」

魔力装甲を使っていた敵にアレでトドメが刺せたのだろうか?

「そう言ったじゃないですか」

もしあの断末魔が演技だとしたら。

「〈水魔斬〉!」

僕は直感、というか既視感で斬撃を放った。

「!」

アリシアも気付いたようだ。

僕達の眼前には、ゲイルの〈暴風の聖剣ストームエクスカリバー〉が迫っていた。

「〈暗黒障壁(ダークファランクス)〉!」

アリシアが防御魔術を展開するが、あっさりと破壊され、僕達は壁に叩きつけられた。

「がはっ!」

「まだ、そんな大魔法を使う余力があったなんて……」

アリシアが魔力の絶対量の差に舌を巻いた。

「私に土をつけた事は褒めてやろう……だが貴様らだけは絶対に許さんぞ!引き渡す前に徹底的に痛めつけねば気が済まん!」

ゲイルが汚れを払い落としながら歩いてきた。

「引き渡す、だって……?」

「まだ、上がいるのですか……」

「貴様らに今ここで教える必要は無い」

「……ごめん……カレン会長……!」

僕達は敗北を確信した。

そうだ、僕達なんかがカレンすら屈した相手に、アルカディアのナンバー2に勝てる訳無かったのだ。

ゲイルを倒せるのは、やはり……

「私の力が必要なようだな」

妖艶さと威圧感を孕んだ声に、僕達……ゲイルすらも固まった。

どうも、篠風 錬矢です。

いつも電車に乗ってから投稿しているのですが、今朝は執筆作業に夢中で忘れてました。

さて、ついにアリシアさんの第二魔法体系(セカンドグリモワール)が明らかになりましたね。

何というチート!

まぁ、流石に死者蘇生は出来ませんけどね。

さて、また明日お会いしましょう!

До свидания!

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