異世界転生したらオタクと腐女子に分離してた LEVEL 1-7
LEVEL 1-7
「絶対納得出来ないんですけど!」
リンは今にもフェアリーの胸ぐらを掴みにかかりそうな勢いだ。
「この胸!この胸は絶対わたしが望んだ結果じゃないわ!確かに大きいのは戦闘の邪魔になるし嫌だと思ってたけど、こんな胸じゃ!!」
「見事な絶壁だと感心はするがどこもおかしくはないな。」
「あまりのデリカシーの無さにわたしの怒りが!有頂天に!!なったー!!!」
絶壁 という言葉を言ったベルにリンが容赦なく助走をつけてドロップキックをかました。
「フーッ!フーッ!で、どういうことなのよフェアリー!」
「えー・・・恐らくですが元が男の体だったせいで胸がある自分を想像したことが無かった、もしくは出来なかったのでは・・・。」
「やっぱりアンタのせいかーい!!」
ようやくよろよろと起き上がって来たベルにリンが再度ドロップキックをかました。」
「リンさんそれ以上いけない!デスペナルティでLEVEL1どころか0になってしまいます!」
―――――――――
ベルを数分かけて休ませHPを全快させる。
「はぁ・・・体と名前に関してはリンさんの例の件以外は大体しっくりくるでしょう?
本当に貴方達は・・・これではいつまでたっても冒険に出られませんよ。」
流石のフェアリーも少しお怒りの様子だ。
ベルという名前はいわゆるハンドルネームの一部から無意識につけたもの、シュヴェールトというセカンドネームは騎士が持つ守護の意味を持つ剣の名前だ。
以前はこのゲームでナイト本職としていたので付けたとおもう、とベルは言った。
ベルは現実世界でいうところの18歳ヒューマン族ながら185cm程と長身で肌はやや褐色みを帯び、いっけん細身に見えるものの筋肉質な体つきで、鈍い輝きを放つ銀髪に真紅の瞳の青年だ。
リンもハンドルネームの一部から無意識に女性らしい部分を切り取ったのだと思われた。
オニキスというセカンドネームは腰まで真っ直ぐ伸びる艶やかな黒髪が漆黒の宝石オニキスを想起させることから付けた、らしい。
リンは16歳、ヒューマン族で身長は160cm程とヒューマン族の女性としては平均的だが、その透き通るような白い肌をした身体はモデルのようにスラっとしている。だが目は真紅の色で怒ると目が怖い。
とても控えめな胸部以外は大体しっくりくるとリンは言う。
「それでは、質問は今のところもうないですね?・・・・・では最後の話になります。」
フェアリーは二人が頷くのを見て最後の話を始めた。
「これから貴方達は任意のジョブになり冒険者として力をつけ、魔族軍と戦っていくことになるのですが・・・。
それともうおわかりでしょうが貴方達が今までゲームの中のNPCとして接してきたストーリーの主要人物達もこの世界で生活しています。
いいですか、未来を知ってるからといって彼等の前では特に上手く立ち回りすぎないように注意してください。
感情を持ち、会話をし、心を通わせることが出来るようになった一般冒険者と同じ様に、接っすることが出来ます、しかし、いき過ぎた行為は貴方達の知っている未来と違う未来へと勧めてしまう可能性が大きいのです。
自然に物語を進めていけば彼等とは必ず共闘することとなるでしょうが十分注意してください。
もう一つ、先程少し触れましたが、貴方達二人は、この世界に転移してきてしまったイレギュラーであり、その為唯一プレイヤーとしてのシステム、”リンクシステム”を使うことが出来ます。
理由はこの世界で唯一プレイヤーとして造られた存在だからなのでしょう。
私のデータバンクにはリンクシステムを使えるのはデータから造られたある貴方達だけが出来る事だと記録されています。
メニューを呼び出す事や装備等の数値からHPやMPの数値を見ること、リンクシステムで装備を時々に応じて迅速に使い分けることが出来ること、全てがそれにあたります。
しかしながら、この世界のストーリーの難易度はプレイヤー全員がもてるスキルや技を駆使してようやく勝てるとレベルですから、貴方達が持てるスキルを使わなければまず勝つことは出来ないでしょう。
ですが貴方達がメニューを開いたりリンクシステムを使ったりしても一般冒険者からは見えることはありませんから、そこは安心してください。
元々ある機能ですがリンクシステムの”装備の見た目の固定化”を使えば戦闘中に装備を変えても分からないですし任意の状況で装備の見た目を反映することが出来ます。
最後に私が相当な矛盾したことを言っているのは承知の上ですが、くれぐれも目立ち過ぎないようにストーリーを在るべき姿へ進めて下さい。
私はいつでも此処に居ます。というか私は貴方達に今まで話した内容を伝える為だけに作られた存在なので放れられないですし、システムから切り離されているのでこれから先はこの世界がどうなっているのか把握すら出来ないのですけれど・・・。
此処は貴方達のマイルームなので毎日のように顔をあわせることになるでしょうが、これからもよろしくお願いしますね。
では行ってらっしゃい、良い旅を。」
こうしてベルとリンは冒険者として一歩を踏み出すことになった。
「んじゃまずは」
「仲間を探そう」
ベルは拳を突き出しリンは手の平を出した、ベルはしょうがなく拳を開き、リンがハイタッチをした。