異世界転生したらオタクと腐女子に分離してた LEVEL 1-5
LEVEL 1-5
「あの~、フェアリーさん、さっきから気になっていたことがあるんですけどいいですか?」
リンはいつのまにかフェアリーに対して敬語になっていた。
「構いませんよ、というか二人ともそんなに青い顔をしてかしこまらなくても平気ですよ。
さっきのは私も少し大げさに言い過ぎたのでそんなにおびえる事はありませんよ。
痛覚に関してはダイレクトに肉体に通しては戦闘に支障が出てしまうので、この世界がサーバーから切り離され独立した世界になった時に痛覚はある程度カットすることになったようです。
その証拠に貴方達の頭、大きなコブが出来ているわりにはそこまで痛くなかったでしょう?」
「確かにな、元の世界でこんなコブが出来るほど頭を強打されたら9倍は痛いのは確定的に明らか。」
ベルが自身の頭に出来た大きなコブをさする。
「はいィ!?これで1/9の痛みとかちょっと僅かにシャレにならないわ・・・。」
「うそだ、男の子は9って言葉が好きなだけだ。」
「わたしが痛覚知らないからって調子こきやがって!本気出してやろうかしら!」
リンが片膝をつき腕まくりをし、握りこぶしを作る。
「確かに9倍とはいいませんが貴方達が元いた世界ではもっと痛いのでしょうね。
ですがきっちりダメージは受けています、それを確認する為に、以前ゲームでこの世界を冒険していた時の感覚でメニューを開くことをイメージしてみてください。貴方達なら出来るはずです。」
二人はフェアリーに言われた通りイメージをする、すると目の前にゲームをしていた時と同じ画面が現れた。
「なんか近未来のSFのアニメみたいだな。」
ベルがメニューを操作する感覚をイメージするとその通りになった。
リンもこの世界に取り込まれるまでの記憶がベルと同じなので同様だった。
「・・・ちょっとHPが1/3減ってるんだけど、どういうことよ、このゲームPK出来ないはずよね。」
「そんなこと言われましても、殴られたら痛いしHPが減る、当たり前でしょう?ちなみに戦闘不能時の痛みはもっと痛いです。
冒険者全体に潜在的に危機感を持ってもらう為にそうなったようですね。
PKに関しましては攻撃や魔法等は故意に当てようとしない限り味方に当たるようなことはありませんから安心してください。」
「なんか釈然としないな、戦闘不能時のこともだけど。
まぁ、そういう風にしないと世界も冒険も成り立たないか。」
「元々体がなかったわたしにはイマイチ痛覚の方はわかんないけど、確かに戦闘ごとに死ぬような痛み味わってちゃ誰も冒険続けられないわね。」
「二人とも理解してくれたようで何よりです。
ところでリンさん、さっき聞きたいことがあるっていいませんでしたっけ?」
フェアリーがすっかり脱線してしまっていた話題を元に戻す。
「そうそう、忘れるところだったわ。
あのさ、なんでわたしたちの姿と名前ってこうなってるわけ?」
リンは立てた人差し指を頬に当て、小首を傾げた。