異世界転生したらオタクと腐女子に分離してた LEVEL 1-2
LEVEL 1-2
「え?戻れないって何?どういうこと?」
「え?じゃあ私このまま女としてこの世界で生きていけるの?」
現実世界で男の身体をもつベルと現実世界では脳内でオタク脳とバトルすることしか出来なかったリンの反応は対照的だった。
「そうなのですが、正確に言いますと、そもそも、このエンジェルズ ガーデンはリメイクする際に使ったリメイク前のデータが何らかの原因で残ってしまった”バグ”なのです。
そしてこのバグの世界は貴方達が取り込まれた瞬間切り離されました。
そしてそのバグとして切り離されたこの世界は既に独り歩きしてしまっています。」
「今の貴方達の状態はわかりやすく言えば エンジェルズ ガーデン の住民そのものになってしまった、といったところでしょう。」
「ですがこの世界の住民になったといってもあちらの世界とは時間の概念が大きく違います元々エンジェルズガーデンの世界では、歳のとり方や1年の感覚が非常に緩やかです。元々はゲームだったので元の世界の基準で時間が経過しては冒険者が戦力になる前に年老いて戦えなくなってしまうでしょうからね。
元の世界ではエンジェルズガーデンが稼働してから15年経っていますが、年号等は進んでいませんでした。」
フェアリーは淡々と言うが、ようするにベルとリンはバグとして独り歩きしてしまった世界に完全に取り込まれてしまったという事だ。
「っていうことは、わたしはこのまま普通にこの世界で女として生活し続けれるってことね。」
「おまっ、自分に都合良いからって簡単に言いやがって!元の世界の俺達の体のこととか気にならねえのかよ!」
リンの言い草にベルが突っかかる。
「ベルさん、大変言いにくいのですが恐らくお二人が元の身体、元の世界に戻れることはないと思います。」
ベルは現実世界にいる自分のことを考えたが、現在の自分の身体を見て考えるのをやめた。
「それでリンさんの問いに対する答えですが、ただ生活していくというわけにはいきません。
サーバーから切り離され、元の世界でゲームとして存在していた状態とは違い、プレイヤーに合わせて進んでいた時の流れはもう存在しません。
既にこの世界の全てが自然化し人も魔族も自我や感情を持ち、時間の流れが発生し時代は緩やかにですがリアルタイムで進んでいます。」
フェアリーが告げた衝撃の真実に二人が「マジで?」と質問すると「マジです」という答えがかえってくる。
「私は唯一”中身”のいる冒険者である貴方達のサポートプログラムとして現状の全てのデータを持って生まれました。
説明しなければいけないことが多すぎますからね。」
二人はフェアリーの説明を黙って聞くしかなかった。
お二人共この世界のサービス開始時点の状勢は知っていますか?」
ベルとリンが頷く。
「よろしい。現在この世界は”最初期”の段階です。新エリアどころかアップデートもされてない、まっさらな状態です。
現代に至るまでの歴史をお二人はご存知ですか?」
フェアリーが2人に問う。
「いや、あんまり知らないな。
ストーリーとかクエストで過去の話が出てくるから、昔に魔族の侵攻されて酷い状態になったから、種族の垣根を越えた大国メルキセデクが出来て、現代は戦線が安定してるんだっけ。そのくらいの知識しかない。」
ベルの答えに「私も同じ知識よ」リンも同意する。2人共持ってる知識は同じだから当然だ。
「では、ことのはじまりから説明しましょう。」