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COMIC-MAN  作者: ゴミナント
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白鳥怪人量産計画

ユニークアクセスがようやく1000突破。長かった…!!次は5000を目指しますが…いつになるやら。

「ついに…ついに完成したぞ!!」

 山間部に存在する『JACK』の秘密研究施設。その中でも特に薄暗い実験室に運び込まれた被検体A、水城さくらの体内から回収したナノマシンから得られたデータをメインサーバにインプットしながら、天本教授ことプロフェッサーDは狂ったように笑った。

「絶好調のようだな。プロフェッサーD」

「ほお?お前か、私の仕事の見学に来た新入りの幹部とやらは」

「そうとも。キャプテンZと呼んでもらおうか。して、貴方の研究成果とやらを見せてもらおうか」

 キャプテンZの催促を受け、プロフェッサーDは不敵に笑いながら実験室の電気を付ける。するとそこには、水城さくらが入れられているのと同じようなカプセルが。

「これがか…!!」

 驚愕の表情を浮かべるキャプテンZ。その反応に満足しつつ、プロフェッサーDは研究成果に新たな指令を下す。

「間もなく最終テストだ。この圧倒的な性能をその目に焼き付け、大首領に報告するがいい」

 体内の試作ナノマシンを除去され、代わりに正規の新型ナノマシンを注入されている最中の水城さくらの病院着のポケットに潜り込まされていた発信機を弄びながら、モニターに映る和也の姿を見てニヤリと笑う。

「…ならばじっくりと拝見させてもらうとしよう。その戦闘能力が、我らの望むものであることを実証せよ」

 キャプテンZは不敵に笑いながら宣言する。本部からの勅命を受けてここに来たと言うキャプテンZのその言葉は大首領の言葉と同意だ。

「行け、我が美しき軍勢よ。あの天龍寺の二流が生み出してしまった亜種を潰し、この真の天才たるプロフェッサーDの研究こそが絶対であると証明せよ!!」



 天川学園のある俺達の街から少し離れたとある山の奥。私有地ゆえに今まで立ち入ったことは無かったが、公安の三条警部補や爺さんからの連絡ではここに奴らの秘密基地があるらしい。

「山の奥に秘密の研究施設…いよいよ特撮じみて来たぜ。さて…」

 出動に様々な制約がある上、長野の戦いで装備一式を消耗してしまった公安の援護は期待できない。爺さんたちの援護は期待してくれていいらしいが、それでも準備が居るので少し遅れるらしい。まあ、その分一人で奴らの秘密基地に潜入できるんだが。

 なんてことを考えながら周囲を探ると、不自然なほどに動物の気配が無いことに気づく。誰かが頻繁に、それも悪意を持って動き回った証拠だ。

「っ!?」

 その時、強烈なナノマシンの気配と共に俺の足元に一発の銃弾が。

「外したか…」

「お前は…!!」

 姿を現したのは、あの水城さんと同じ白鳥型イマジネーター。しかし右手は刀ではなく銃で、それも何とオフロードバイクに跨っている。

「どこの誰かは知らないが…お前も洗脳されて操られたって口か?悪いことは言わねーから、さっさと正気に戻って家に帰った方が人生楽だぜ」

 原稿用紙を懐から取り出して変身しようとしたその時、横合いから二発目の銃弾が飛んできた。

「何だとっ!?」

 何とか回避するものの、四方八方から次々と銃弾が飛んでくる。微かにオフロードバイクのエンジン音も聞こえてくるあたり、何体かの同型怪人がバイクに乗りながら銃撃してきていやがると言う訳か。面倒な。

「そこだ!!」

「何!?」

 一瞬の隙を突かれ、目の前の注意を逸らす係らしき白鳥野郎の銃撃が俺の手を撃ち抜いた。

「しまった!!」

 原稿用紙に穴が空いたかと思えば、そのまま炎上して燃え尽きてしまう。俺はじんじん焼けるように痛む右手を庇いつつ後ずさる。痛みはすぐに消えるが、違和感は暫く残る。ただ、それすら気にならないほどにピンチだった。

「原稿用紙が無ければ変身出来まい!!これで貴様は終わりだな!!」

「よーく調べてくれちゃってまぁ…今の内にサイン貰っときたいなら言ってくれりゃいつだって書くのに、全く…!!」

「馬鹿め!!死人のサインなど誰が居るか!!」

 目の前の敵がそう言うと同時に、続々と森の中を走り回っていた同型怪人たちがバイクに乗って姿を現してくる。その数、数えたところ十二人。気配からして水城さんはあの中に居ないから、合わせて十三体と言うことか。

「って、数えている場合じゃないか!!」

 敵が一斉に銃撃して来たことに気づき、生身のまま森へと逃げる。このままじゃ勝ち目がない。何とか一時撤退して、変身してリベンジさせてもらわないと。

「あーばよー!!また来るぜ!!」

「逃がすと思うか!!」

 まるでマシンガンのように俺の周囲を正確に銃撃して来る十二体の怪人軍団。木や岩を盾にして何とか逃げ続けるけど、向こうはこの森を知り尽くしている上にオフロードバイクに乗っている。すぐに距離を詰められ、まるでいたぶるように彼方此方から銃弾が叩き込まれた。

「くっ…!!ちったぁ手加減しろ!!」

「変身されては厄介だからな。このまま再生できなくなるまで蜂の巣にする!」

 腕を撃たれ、脇腹を撃たれ、肩を撃たれ。隠し持っている予備の原稿用紙で変身しようにも、ここまで滅茶苦茶に撃たれ続けては立ち止まることすら出来ない。それに、いくらゾンビみたいな再生能力が俺のナノマシンにあるからって、頭まで撃たれて無事かどうかは分からない。それに、ここでそれを実験する訳にも行かない。何とかこのまま逃げ延びて、それで…。

 その時、俺の足をどいつかの銃弾が撃ち抜いた。

「うっ…!!」

 バランスを崩し、思いっきり目の前の茂みに頭っから突っ込む。するとそこは、何と崖だった為、受け止めてくれる地面が無く、俺はそのまま崖から落下していったのだった。



「ほう、最終テストも合格だな。これならば大首領も文句はあるまい」

「非戦闘員の子供を集めて何になるかと思っていたが…」

「確かに奴らはこのままでは役に立たん。ナノマシンを注入してもこいつらの想像力では碌な戦力にはならん。だが…この私が作った新型ならば話は別だ」

 モニターに映っていた一方的な戦いを目撃していたプロフェッサーDの言葉と共に、白鳥型のイマジネーターたちは十二人全員が全く同じタイミングで動きを止め、全く同じ動きで整列した。

「成程。機械化により性能を画一化すると言う訳か。だが、本来の性能を見る事は出来なかったな。一対一での戦いは想定していないと言うのか?」

 キャプテンZは少し不機嫌そうに呟く。モニターの向こうの余りに騎士道精神に欠ける戦いに不満を持ったのだが、プロフェッサーDはそんな感傷など一切気に留める様子は無かった。

「最終的に勝てばいいのだ。従来のイマジネーターはある程度の適正を必要とするため、強固な軍隊を作ろうと思えばそれなりの時間と労力を必要とした。しかし、このナノマシンならば…!!」

 プロフェッサーDの恍惚の表情に、キャプテンZは微かなため息と共に背中を見せた。言葉を失ったのか、それとも口を利くのも馬鹿らしいと感じたのか。どちらにせよ、今回のキャプテンZの任務はプロフェッサーDの研究報告だ。見たままのことを本部と大首領に伝えねば。

「大首領に報告させてもらおう」

「好きにするがいい。私の研究がいかに完璧か、お前にも良く分かっただろうからな」

 無言で部屋を出ていくキャプテンZの背中を眺めつつ、プロフェッサーDはニヤリと笑った。

 何が騎士道精神か。実戦至上主義者で時代遅れの青二才め。今までどんな戦場を渡り歩いてきたのかは知らないが、本来であれば戦場でそんな物など気にする必要などない。

 必要なのは、いかに低コストで強固な軍隊を作り出し、そして最小の労力と作戦で勝利を収める事なのだから。

 プロフェッサーDは心の中でそう呟きつつ、外に居る自慢の研究成果たちに通信を送る。

「もういい。死体確認役一人を残し帰還せよ」

 その通信を受けて十一人が基地に帰還する。そして残された一人がカメラの無い崖に降りていくのを確認し、プロフェッサーDは通信を切るのだった。



 山間部を流れるとある川で、釣りをしている一人の中年男性がある物を見つけた。

「あ!お、おーい!!大丈夫か!?」

 見つけたのは、川の上流から流されてきているズタボロの青年だった。全身ずぶ濡れだが、まだ血色は良い。死んでないぞ、と思った中年男性が駆け寄り、なんとか陸に引き上げる。

「ふう…ふう…何だって言うんだ。この制服、天川学園の制服だよな…」

 慣れない作業に肩で息をしつつ、流されて来た青年がまだ息をしていることを確認する。脈も呼吸もあるから、ついさっき川に流されたばかりだろうと辺りを付けて携帯電話を取り出した。

「ようし、待ってろよ。今救急車を…」

「待てぃ!!」

「なっ!?」

 その時、中年男性の目の前に白鳥怪人がその姿を現した。中年男性は初めて見る怪人に腰を抜かしてしまうが、白鳥怪人はそんなことなど気にすることも無く右腕の銃を突きつける。

「この俺の姿と、その男を見たからには容赦はしない!死んでもらうぞ!!」

「ワーッ!!お助けーッ!!」

 咄嗟に自分の頭を抱えて蹲る中年男性。そんな彼に、白鳥怪人は銃のトリガーを引こうとした。

 その時、目が覚めた俺は咄嗟に白鳥怪人にキックを叩き込んだ。

「おっさん。逃げな!!」

「な、なんだぁ!?」

「いいから早く!!これ以上変なことに巻き込まれたくはないだろ!?」

「あ、あああああ!!」

 俺の忠告通り逃げていくおっさん。助けてくれた人なんだから、ここで死なせるようなことにならなくて本当に良かった。

「おのれ!生きていたのか!!」

「残念だったな。俺は不死身だ!!」

 耐水パックに入れていた予備の原稿用紙を取り出し、俺はコミックマンへと変身する。

「とりゃあ!!」

 渾身のパンチが白鳥怪人の顔に当たり、痛みに呻き声を上げてくる。しかしそんなことに気を取られるような優しさは今の所置いておく。今は優しさよりも激しさが必要な時だ。

「でええい!!」

 まともな反撃の隙すら与えず、パンチとキックの連続攻撃で白鳥怪人を追いつめる。不意内ち攻撃で既にフラフラだった白鳥怪人は堪らず逃げ出そうとするが、俺はそんな奴の背中にボードブレードを突き刺した。

「がっ…!!」

 爆発四散し、がり勉っぽい男子高校生が気絶して姿を現す。どうやらこいつが洗脳され、素体にされていたらしい。

 しかし、ナノマシンの気配は消えていない。やはり、水城さんと同じで本丸を叩かないと元には戻せないらしい。

「…そうだ。良いこと思いついたぜ」

 俺は思わずそう呟いた。そして真新しい原稿用紙と、筆記具を取り出して一心不乱に書きだした。

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