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COMIC-MAN  作者: ゴミナント
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プロフェッサーD

プロフェッサーXじゃなくて良かった。そっちだと中途半端なヒーローになっちゃいますからね。


因みに、幹部たちのコードネームの由来はショッカーの幹部たちです。そのまんまですね。

 深夜。街中どこにでもある、ごく一般的な家庭。何となく喉が渇いて起きてしまったその家の母親が水を飲みにキッチンに立っていた。

 冷蔵庫から冷えた水を取り出し、一口飲む。その時、ふと誰かがドアを開ける音が聞こえて来た。彼女はそのことについて、家族の誰かが自分と同じように目が覚めただけだと思った。それが夫か息子かは知らないが、取り立てて気にすることもでもない。

 しかし、この時ばかりはそうは言っていられなかった。説明のしようが無い不安感が彼女の脳裏に過る。

 その思いに考えを巡らせている内に、彼女はキッチンに続く扉が開く音が聞こえて思わず肩を震わせた。

「!?」

 咄嗟に振り返ると、そこには息子が無表情で立っていた。見知った顔に思わずホッとする彼女だったが、息子は一切表情を変えることなく彼女を見つめ続ける。

「こんな時間にどうしたの?早く寝なさい。明日も学校でしょう?」

 しかし、息子は返事することすらしようとしない。ただただ無言で近づいて来る。

「な、何なの?」

 息子相手とはいえ、身の危険を感じて後ずさる彼女。普段は温厚で、学校でも音楽部で期待の新人と呼び声も高い自慢の息子。虫も殺せない様な息子相手に、なぜここまで恐怖を感じてしまうのか。

 その時、彼女は気づいた。息子のパジャマの裾に付く血痕に。

 その血痕が誰の物かは分かりようが無かったが、この家に居るのは彼女と息子と夫しか居ない。なら…。

「ああっ?」

 彼女の考えがそこに及ぶよりも先に、息子の姿が異形の怪物に変わる。右腕には刀があり、全体的な姿はどことなく白鳥を思い起こさせる。

「ひっ!?」

 彼女が逃げなくては、と思うよりも先に、彼女の体は異形と化した息子の刀によって両断されていた。

 噴水のように噴き出す血を浴びながら、怪人は元の姿に戻ることなく立ちすくむ。傍から見えれば自らの罪に恐れおののいているのかと思わせたが、その実は命令を忠実に待ち続ける人形だった。

「よくやった。第三号。実験は成功だ」

 どこからともなく暗闇から姿を現した天本教授。薄気味の悪い笑顔を浮かべ、元の姿に戻った第三号と斬られた彼女をじっくりと観察する。

「見たところは太刀筋の再現は完璧だ。だが完璧を期すためにも、後でじっくりと観察させてもらうとしよう」

 天本教授がそう呟くと、そのまま彼は再び暗闇の中に姿を消す。そして天本教授が姿を消したことを確認した第三号は、無言でキッチンのガスコンロを操作していった。



「…」

「…」

「…」

 非常に重たい空気の中、和也が作ってくれた朝食を食べる私達。お互いに顔を合わせれば、昨日の夜の醜態を思い出してしまうために、全員が視線を逸らしたまま黙々と食べ続けている。

 特に私は今も思い出しただけでも気絶してしまいそうなほど恥ずかしいんだけど、その一方でいつもよりも和也の視線が気になってしまう。お蔭でさっきからチラチラとこっちを見ている和也と定期的に視界があってしまって非常に恥ずかしい。

 その時、おじいちゃんが微かに揺れて和也が顔をしかめる。机の下で和也の足を蹴ったらしい。和也はジロッとおじいちゃんを睨みはするけど、蹴り返しはしなかった。昨日の夜のことを思えば、一発くらいは蹴り返す権利はあると思うんだけれども。

 そう思って私は和也の代わりにおじいちゃんの足を踏む。おじいちゃんがびっくりした顔でこっちを見るけど、こっちとしては担任の滝先生にあんな醜態を見せた挙句、滝先生と一緒に私のお風呂の伝言を和也にちゃんと伝えてくれなかったことについての文句は言い足りないものがあるんだから。

 私がちょっときつめに睨むと、おじいちゃんはしょんぼりした顔でため息を付く。だけどそんなことをしたって騙されないんだけど。

 結局その後は無言のまま。食器を片付けて、一足先に出社するおじいちゃんを見送った後で二人一緒に学校に向かう。

「…悪かったよ。不注意だった」

「ううん。私もだし、何より伝言を頼んだ滝先生が酔いつぶれてたのが悪いんだし…」

「いやでもさ。その後の洗面器は俺が百パーセント…」

「そ れ は 忘 れ て」

「はい…」

 咄嗟に出た一言に、和也がしゅるしゅると風船が萎むように小さくなっていった。まあ、確かにあれは和也が悪いけど。

「もうこの話は終わり!それでいいでしょ?」

「ああ。まあ、ヒカリがそれでいいんなら…ってあり?」

 私の言葉に和也がホッとしたような顔で頷く中、突然不思議そうな顔をして立ち止まった。

「どうしたの?」

「なーんか煙っぽいな。火事か?」

「火事?そんなのどこにも…」

 周囲を見渡して、どこにも火の手や煙が上がっていないことを確かめて言い返すけど、和也の嗅覚がナノマシンで異常強化されていることを思い出して口ごもる。

「時間はあるな。ちょい寄ってっていいか?」

「いいよ。でも、遠いんじゃないの?」

「いや。とっくに消した後だからそんなに遠くないはずだ」

「そこまでわかるんだ…」

 改めて和也の桁外れっぷりを見せつけられつつ、和也に連れられ道を外れる。すると和也の言う通り、そんなに離れていない所で焼け落ちた一軒家を見つけた。既に消火も終わって、警察の調査が始まっている。私達はそこで見知った顔を見つけた。

「あれ?千葉さん?」

「ん?」

 人混みをかき分けて規制線のすぐ傍まで行くと、ちょうど離れてペットボトルのお茶を飲んでいた千葉刑事が振り向いた。

「なんだ君らか。学校はいいのか?」

「千葉さんこそ、腹貫かれて一か月ですよ?入院してなくていいんですか?」

「私は刑事だからな。それよりも、ここに何の用だ?オフレコで言っておくが、これはただの放火殺人でヒーローの出番じゃない。警察に任せてもらおうか」

「そりゃ、こっちも見境なく首を突っ込むほど暇じゃないですよ…?」

 千葉さんの真顔の返答に呆れていると、和也が微かに首を傾げた。

「どうしたの?」

「いや、なんか居た気がしたけど気のせいだろ。それより、そろそろ学校に行かないとな」

「あ、そっか。じゃあ、千葉さん、またどこかで」

 片手を上げて捜査に戻っていく千葉さんに挨拶だけ済ませて学校に向かう。そんな私達を見つめる影が居ることに和也は気づかなかった。



「葦原和也と天龍寺ヒカリ…やはり嗅ぎ付けるのか」

 現場上空を徘徊するドローンからの映像を確認した天本教授はそう呟くとドローンに帰還命令を出す。そしてそのまま秘密の研究室に戻ると、そこには二体の同型怪人が動きを止めていた。

 天本教授はその二つの研究成果を見てにんまりと笑う。実験は成功し続けている。新型イマジネーター開発は確実に日の目を浴びることになるだろう。

『プロフェッサーD!』

 その時、研究室の壁に掛けられていたオブジェクトが怪しく輝いて誰かの声が聞こえて来た。天本教授はその声のした方を睨みながら言葉を返す。

「何の用だアンバサダーH。日本における活動の全権は、首領によって私に委任されたはずだぞ」

『そんなことは分かっている。だが、貴様の報告が滞っているだろう。早く首領に報告するだけの成果と内容をまとめるがいい』

「そんな物、あと一週間もすれば完成する。科学には時間が必要なのだよ。蛮族にはそれが分からんらしい」

 天本教授は渾身の皮肉と嘲笑を込めて言い放つ。案の定アンバサダーDは通信の向こうで怒り狂うが、その一方で予想よりも怒り狂い方が甘いことに天本教授は違和感を覚えた。

『いくら貴様が余裕ぶろうとも、首領の決定には逆らえまい。いいか、三日後に日本へ新幹部のキャプテンZが送られる。その意味が分かるか?』

 アンバサダーDの言葉に、天本教授の顔色がさーっと青ざめる。まさか、このタイミングで新幹部が日本に来るとは。あくまで名目は幹部としての経験を積ませることが目的だろうが、結果を出せなければ旧幹部への下克上は黙認すると言うことだろう。恐らく、首領はどっちが幹部としてふさわしいかを潰しあいで判断するつもりだ。

「三日以内に結果を出せばいいだけの話だ。この天才を甘く見るなよ」

『楽しみにさせてもらおう。では、さらばだ!』

 その言葉を最後に、アンバサダーDからの通信は切れた。

「ええい、若造どもめが…」

 天本教授は一人静かに怒りを爆発させ、二体の新型イマジネーターを起動させる。

「行け。そして集めるのだ。若く、強く、そして消えても問題のない人材を!!」

 イマジネーター二人は人間に姿を戻すと、そのまま研究室の外へ走り去っていった。



「よう。また来たぜ」

 手慣れた手つきで飛んできたペンをキャッチし、俺は泣きそうな顔で固まる水城さんを見る。

「また来たの?今度こそ、殺しちゃうかもしれないって思ってたのに…」

「でも、こうして殺されてないだろ?それだけでも十分さ」

 とりあえずペンだけは机に置き、周囲に何もない所で立ちすくむ水城さんを見つめる。うん。やっぱり相当顔がやつれてきているな。来る頻度がちょっと少な過ぎかな。

「まずは、この所の授業ノートと配布物だ。これが届かないと色々と不味いだろ?」

「…」

「そんで、ついでに漫画雑誌。見た感じ退屈そうな病室だからな。娯楽は一つでもあった方がいいだろ。少年ズバットしかないけどな」

 持ってきた本の束を一冊ごとに分けて置いていくと、水城さんの顔色が少し変わる。ズバットかな?

「まあ、この辺は俺が帰った後でもいいか。それより、何か聞きたいことはあるか?」

「そりゃあ、君が私と似たような病気ってこと…あれ、どういう意味?」

「ああー。ま、そのまんまの意味だ。ほれ」

 水城さんに促され、俺は懐から取り出した鉄製のボールペンを握りしめる。水城さんが目を丸くする中、ボールペンは俺の手の中で紙みたいにくしゃくしゃになっていった。ちょっと手のひらが痛かったけど、信じて貰えたみたいだな。

「正式な病名が無いけど、血液感染する特殊なウィルスがあってさ。感染すると身体機能とかが異常発達する。けど制御できなくなるから自滅したり、君みたいに人を襲ってしまったりする訳だ。俺は何とか制御出来る所まで来たから普通に生活してるけども…」

「じゃあ私も、制御できたら普通に暮らせるの!?」

「まあ、普通に暮らす分は問題ないだろ。ただ、剣道部を続けるか否かはちょっと分かんないけどな」

「え…?」

感想待ってます。

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