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アマリアード剣魔術学園の落ちこぼれ  作者: セル・ライト
1/6

転生

更新遅めで進行していきます。気楽に読んでいただければありがたいです。

いつの日からだろう、何にたいしても頑張る事をやめたのは。


全ての事に嫌気がさし、全ての事から逃げ出したのは。


願わくは、次の人生こそは悔いのない生き方をしたい。


齢30にして、俺、牧野忠治はその身を深い谷底へと投げ出した。


『こ…、こい…。たの…、む…。来てくれツ!』


身を投げ、落ちていく俺の耳に聞いたこともない声が聞こえる。声からして若い男だろう。


疑問に思った俺は閉じていた目を開く。

真っ暗な谷底が妖しい輝きを放ち光っていた。


「なっ!?」


 驚愕する一瞬の間に俺はその光へと吸い込まれていった。



 ここ、アマリアード剣魔術学園に一人の落ちこぼれがいた。

 黒い短めの髪に、青い瞳顔立ちは悪くなく成長すればそこそこいい男になるだろう。165cmとこの世界では低めの身長だが、15歳という年のわりには筋肉質な体つきをしている。


 名をハルバートという。


 このアマリアード剣魔術学園は15歳になるとき強制的に3年間通わされる。


 この街、というよりはこの世界の人口は約30万人程でドワーフやエルフ、竜人等様々な種族が、全人口がアマリアードという一つの街で暮らしている。


 そうこの世界に街は一つしかない。別に土地が少ないという訳ではない。かつては広大な土地に、沢山の街があり今よりも沢山の人が住んでいた。

だが、今より200年前突如魔物が現れるようになり、強力な魔物に人類は抗うことが出来ず、三方を山に囲まれ一方は海のある街、このアマリアードを人類最後の砦とし何とか今も生き延びている。


 そんな状態で生まれたのが、このアマリアード剣魔術学園だ。この世界に産まれてきたものは、15歳になると必ずこの学園に入学する。そして、3年間の間に剣や魔術等の技を磨き卒業後、街を守る兵士、もしくは領地を拡げるための討伐隊に配属される。

まぁ、討伐隊に配属される者はほとんどが【ギフト】と呼ばれる特殊な能力を持つ者だ。


 能力といっても、身体強化や属性強化等がほとんどで正直強力な魔物が相手の場合ほとんど役にたたないのだが。それでも一般の兵士よりは遥かに強い。


 そんな世界で産まれたハルバートは、今年で16歳。学園で二年生になるのだが、剣も魔術も才能がなく、昨年の学園ランキング戦最下位の落ちこぼれだった。


「マジか…。」


 目が覚めた俺=牧野忠治は、学園の保健室にある鏡の前で、ペタペタと自分の顔を触り呆然としている。

 なぜここが学園の保健室だと分かるのか、それはハルバートの記憶を俺が引き継いだからだろう。


「…まさか転生するとは。」


 転生のきっかけは、この学園で行われる一生に一度のイベント、召喚の儀式だ。

 この学園では二年生に進級すると、自らのシモベである召喚獣を召喚する授業がある。その授業で召喚を行ったハルバートは、見事に失敗し爆発に巻き込まれその生涯を閉じた。はずだった。

ハルバートが行った召喚は、別の形、つまり俺を転生させるということで成功を収めていたのだ。

まぁ、ハルバート本人の自我は死に、記憶を引き継いだ牧野忠治の自我が生き残ったのだが。


俺が引き継いだハルバートの記憶は、その爆発までの記憶だ。もちろん、俺自身の記憶も引き継いでいる。

なんにせよ思わぬ形で第二の人生を歩むことになった。


「…すまないハルバート。そして、ありがとうハルバート。君のために、俺のために今度こそ悔いのない人生を送ってみせる!」


こうして、一人の落ちこぼれの物語が未来永劫語られる、英雄物語へと変わっていくのを当の本人でさえ知る由は無かった。

お読みくださりありがとうございました。

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