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18、ケルサス大図書館・《現代魔法概論》

 「なるほど、これじゃ科学が発展したいのも無理があるな。」


 ケルサス中心部にある大図書館、俺はその大いなるホールに、あちこちに浮いてるホログラム映像に感嘆する。紀元前の建築風格をするこの大図書館は、雄大な半球形ドームが持つ、そのドームに過剰の装飾など一切ない、降り注ぐ陽の光すら侘びしく見える。それに反し、ホールの通路には多数の魔晶石が配置しており、その魔晶石の僅か上に、ホログラム映像が空気中に投影される、手で触ればノイズさえ生じる、正に時空の倒錯だ。


 映像の内容は図書館の掟及び最近のニュース、図書館故に無音だが、近くに寄れば音声が直接に聞こえる、使用人に聞いたどころ、どうやら骨伝導を応用したらしい。


 時は午前の11時、十分の睡眠と朝食を取ったので、そろそろ本題に入ろがと俺はここに来ました、受付の司書に個人情報を登録すれば特殊な紋様を彫った銀製カードが貰える、同時に「大図書館の通い人」の称号も獲得する、流石に細かいなこの世界。


 閲覧区の中央には大きな水晶玉がある、材質的には聖都の奴に似っていますが、アクセス用のインタフェースが出ない事から考えば、それほどの物でもないな。この水晶玉は、主に本の検索と基本情報の開示、銀製カードを提示すれば使える、一種のネットワークターミナルの様だ、俺はそれを起点とし、先ずは世界地図を開く。


 水晶玉に表す関連オプションをクリックすれば、魔晶石から放つ物より数倍大きなホログラム映像が空気中に投影された。一見俺が個人メニューで出した物と差がないが、全ての情報を開示した星全体図と違い、この世界地図は情報が曖昧な点が幾つある、未開拓地を表する大陸もまだある、要するに技術的に世界を認識するごとが出来るが、知り尽くす事までは至らない、そうなれば開拓の時代はいつか来るでしょう。


 誰得は分からないが、一応説明をしよう。


 この世界の構造は俺が元居た地球と大部違う、なぜなら世界地図の中心に、「ザ・メイルストロム」と呼ばれる大いなる渦潮があるからだ、何故かは分からないが、それを中心に、東南西北それぞれ計四つの大陸が配置された、現在俺が居るフェシエル大陸は東の方、西の方と同じ、開拓が進んた土地、故記された情報も比較的に細かい、北の方は万年雪の色で塗られ、黒塗りされた南の方と同様、曖昧な情報でしか無い。


 四つの大陸以外、「果てなき海」と呼ばれる海洋の上には数多な島が点在し、国家として成り立てる比較的に大い島も存在する、これもまだ大陸と同様、開拓に応じて情報量が違う。


 基本情報を把握した俺はホログラム映像を閉じて、本の検索に入る。


 研究文献は見てでも分からないし、一日の時間もそれほど多くないから、俺は目標を普及類の本にする、最後に出たのは《現代魔法概論》でした。


 現代魔法と言うのなら、それに対応する古代魔法や近代魔法がある、オークションで買った古代魔法大全がその一例であろう、そう言えば編纂者は確かここの魔導師だな。幻想的な生物や亞人、場合によって神さえもその存在を顕在化するこの世界、魔法と言うものの本質に関して、《概論》の冒頭に「世界の基本定義から生じた事象、それを書き換える行為或いは方法が魔法である」と書いてる、分かりやすい説明だな。


 簡単に言うと、この世界もまだ元世界と同じく物理現象や化学現象がある、其れ等を解析すれば、恐らく元世界と同じ定義に辿るだろう、故に既成の定義から見ればあり得ない事象を生み出すのが魔法。なら同じく魔法として、現代と古代の区別はどこに有るの?答えは体系だ。この世界に於ける古代、それは世界に対する認識がまだ曖昧の時代、魔法の存在を気付いたが、解明も研究も進まず、只々畏れて、儀式や祭祀のみに使う、効果はあるが効率は極端的に低い、しかもコントロールが難しい。重力に関する根源魔法や空間に関する空間魔法は科学知識が貧しき故に応用する道が少ない、現代に成っても体系が形成しておらず、只図鑑の一角に潜めるだけ。


 魔法理論が確立した後、生活、産業まだは戦争に応用面の広い元素魔法が真っ先にその体系を確立した、現代に至って四大元素を元に様々な技術が生まれた。


 それはそれどして、体系の確立には不可欠な物がある、それは即ち「魔法式」。《概論》は例として、世界で一番広く使われる治療魔法「ヒール」を挙げる、「ヒール」の魔法式は主に四つの部分で構成する、各部分は「工程」と呼ばれ、長い文章に見える、か、試しに読むと結構読みやすい。第一工程は魔力或いはマナを術者の体から引きずり出すの為のもの、その魔力は第二工程で細胞の活性化に用いて、第三工程で細胞再生中の感染を防ぐ、最後の第四工程は全ての文章を締め、魔法式を終わらせる。スキルレベルの高い熟練者は肝心な部分だけを取り出して詠唱を短縮する事ができる、その場合の魔法式は一般の使用者にとってかなり読み辛くなる、詠唱の失敗率も上がる。


 俺は数日前に復活魔法「リザレクション」を解析したが、その時出たものはプログラミング的でルーツが読みやすい、それに対し、《概論》が説明する魔法式は正しく祈祷文そのもの、体系的の研究と構築は可能だが、暗号的で根本に至るのは不可能に等しい。


 そもそもマナとは何なんだ?


 一般的なファンタジー小説ならば根源のエネルギーとかエーテルとか解釈していますが、この世界では違うらしい。《概論》によればマナは神々が賜りし恩恵、神を信仰しない者ではマナに恵まれない、俺的な視点から見れば、神を世界と言うシステムの権限をある程度掌握した管理者と考えれば、それを信仰する者に既成事象を書き換える恩恵を齎すのも道理の内、つまりマナは信仰を具現化した一種の通貨、引き換えにマナを表するMP値はFAI値――信仰の深さによって決まる。


 FAI皆無の俺のMPがオーバーフローのは論外だけどね。


 さらに魔法を根幹とするこの世界の文化に重役として買ったのは、やっぱり魔晶石。


 魔晶石、ファンタジー小説的にはありがちな名前、この世界に於いての魔晶石は其の名の通り魔力或いはマナを蓄える事が出来る結晶体、魔法式を嵌める事て様々な役に立つ。外見的に言うと、天然の魔晶石は無規則の結晶体、他の鉱物結晶と違い光学密度は完璧のゼロ、参考物が無ければ不可視に等しい、しかもその強度は現存のあらゆる物質を越え、魔法以外の如何なる手段でも加工或い破壊は不可能に見なされる。


 《概論》によると、魔晶石の原石即ち晶原石と言う物の発見は凡そ1200年前、発見地は現教国リンティス領内、発見した間もなくリンティスが建国した、そして数百年後、大陸各地も晶原石鉱が確認され、魔晶石の量産により魔法技術の応用が飛躍的な発展を遂げる。もしマナが神の恩恵と言うのなら、天然的にマナを内包した魔晶石は神と無関係に広まる事自体が考え難い、しかも数百年の時間差がある為、人は疑わずに済まないだろう。


 レアで無くなったとは言え、魔晶石は純化する度に内包するマナの量が上昇し、使用時の損耗率も低くなる、軍事的な応用に最適、故に人口数の少ないリンティスは純化技術の独占により大陸屈指の軍事力を持っていた。


 けど民は品質と言う物をとことん追求する訳が無い、例え品質が平凡でも、生活をより便利に成ると同時に値段も安くすれば、それで納得する。実際のどころ、この半ヶ月の旅にMP値ゼロの人も大勢居る、MP値ゼロはつまり神への信仰心が皆無に等しい、安い魔晶石で作った道具が普及したお陰で、別に生活の不便を感じない、だからFAIゼロの俺を見てもルーファスとモーヴァンが驚かない。


 逆に言うと、神々の存在と力は信仰に左右しない事、勿論信仰を故意減らす為に神々は魔晶石を創造した線もある、が、あくまでも俺の推論だ。


 大まかな解説文が終了し、《概論》は各類別魔法の紹介に踏み入る、最初に当たるのは民生から工業、軍事まで幅広く応用した元素魔法、その名の通り世界の元素に操る魔法、しかもスタンダードで地水火風の四大属性に分ける。とは言え、どの属性も既成現象の操作に止まり、現象の本質には辿っていない、火属性を例に、温度を操作する魔法以外ファイヤーボールなど典型的な攻撃魔法も存在する、けどどの文章もその現象の本質に触れていない。ファイヤーボール、燃焼物も触媒もなく炎が球状に成り、使用者以外の物と衝突すれば爆散する、魔法式から見れば極めて簡単の四工程構造ですが、「アルゴリズム」を選択し解析すれば、その本質は結構細かい事が分かる:マナと引替に空間中本来存在しない微粒子を生成して重力係数を書換え、発する光熱を制御し球状に成る、後は使用者との相対距離や起爆間隙を設定すれば一つの魔法として完成する。


 厳密に言うと、ファイヤーボールは重力、空間、温度及び物質操作を内包するかなり繊細な魔法、しかし魔法式の中では一工程に纏まり、サブプログラムにしか見えない、やはり便利過ぎる故に人は本質への探究心を失うのか。残る三つの属性も一通り見たが、どれも同じようなもの、高位と低位魔法は事象影響力の大きさにより区別する、具体的な魔法式は載ってないが、高位に成ると魔法式はより複雑に成りMPの消耗も激しく成る、っと《概論》が書いた、これも当たり前の事ね。因みに一通り見たのだが、以前の様にスキルを会得する事はない、やはり関係のある入門書が必要か。


 こんな時に、外から重くで鈍い鐘音が伝わってくる、従って周りの学生達は次々と座席から離れ、小騒ぎと共に食事に赴く、流石に若いね。時間は午後の一時、そろそろアイリーが来るどころ、栞を挿み、俺は《概論》を本棚に戻す。


 約束の場所は学院内にある噴水の広場、背を伸ばしながらと図書館外の並木道を通ると、噴水の側に座るアイリーの姿が見えた:「お待ちしておりましたご主人さま、昼ご飯、お持ち致しました。」籐製バスケットの蓋を開いたら、オリーブオイルの香りが漂って来る――フライドエッグ二つと揚げバナナ一つがちょっとした色が付いたライスに載せている、よく見れば、ライスにきつね色のニンニクが見える、お供はよく冷えて蜂蜜を掛けたヨーグルト、味からすれば、羊乳かな。


 「冷めでも美味しい様に味を調整しました、お口に合うといいですね。」


 アイリーの腕は昨日も拝見させていた、安定した旨さは実に俺好み、今日の昼ご飯も勿論その通り、しかも油っこくない為、冷めでも美味しく頂ける。


 「ってどうだった、初めての日常は。」


 さり気なく話をアイリーに投げる。


 「はい、この体が原因かも知れませんが、取り敢えず街の皆はとっても親切です、妾の事を詮索する者はない、久々に充実な一日を過ごした。」


 アイリーが語ってる間、顔に陽気が溢れる、昔ならもっと寂しげに見える、良い兆候だ。


 「あら~ご機嫌麗しゅう、可愛いメイドさん。」


 まるで機を覗いた様に、フリュがやって来る、勿論その後ろも騒がしい小娘たちが付いている、彼女を慕う男性も少なくないが、生憎女性たちの団結力に負けでフリュに近づく事が出来ない。


 どうでも良い事だが、ここの女子制服のデザインは結構可愛いと思う。


 って、先まで陽気だったアイリーはまだ冷たい表情に返り、フリュの挨拶に一目すら置かさない:「ではご主人さま、まだ晩酌の準備が残っているので、妾はこれで失礼致します。」俺に深くお礼をして、アイリーは小走りで帰っていく。


 「あたし、何か悪い事でもしたのかな?」


 フリュは俺に向けで話を投げてきた。


 「いや、特に何も。」


 俺の観察から見れば、感情的な共鳴が無い限り、アイリーは他人に余分な感情を寄らない、だから他人の生死を淡く見える。特例のライエを除いて、フリュの様に過剰な関心を示す者に対し、寧ろ警戒するだろう。


 「あれだけの光を持つのに、なんで平凡に甘んじるのかな。」


 フリュは不可解な目で俺を見る、流石に耳が痛い。しかし「光」と言う言葉はどうも俺の心を引っ掛かる、だから遠く去っていくフリュに俺は「鑑定」を使う、思惑通り、彼女は「霊視」の天賦スキルを持ち、対象の霊魂――アストラル光の強さを見る事が出来る。


 「超越者」の称号を表に出しなくでよがった。


 午後も引き続いて《概論》を読んていた、最新の魔法技術やその成果以外、あんまり有用な情報を得ていない、やはり普及類の書籍は限界がある。


 俺が求めていたのはこの世界の根幹たる系統に関する情報、それだけは「鑑定」の対象物に成らないから情報も引き出せない。考えが間違いなければそれも魔法の一つ、しかもとんでもない大魔法、何しろ神や外なる者まで系統内に統括しているから、そして俺が使っていたチートメニュー、それも同じ系統のものなのかを解明出来れば大いに役を立つだろう、無理だったらせめて称号システムでも解明して欲しいな。


 無理を悟る俺は大人しく《概論》を戻し、大図書館を出る。


 「痛ぃ~!どこ見て歩いてんだよ!!」


 女の子の声だ。


 「すまんすまん、ものを考えいたらつい。」


 間違いなく情報入手の仕方を考え歩く俺のせいだ、だからのほんほんと尻もちをした女の子に手を差し伸べながら謝るしか無い。


 地に座る彼女は銀糸に彷彿の長るる白髮、褐色の肌に尖る耳、白衣を纏ったがどこがで見たような幼くで華奢な体付き、そのダイヤらしき瞳は今も俺の顔を釘つけている。


 「あ!お前!幼女好きのド変態だ!」


 「人聞きの悪い事言うな!」


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