1、マリシャス貿易中継点・一日目
「神とは一体どう言う事でしょ。」
呟きながら、俺は目の前に広がる青いメニューを閉めた。目一杯に広がる大荒野、それが俺の現在地、砂混じりの風が頬を掠める、肌の乾燥に気になるか、幸い痛くはない。
まるで映画やドキュメンタリーに見た北米荒原のような光景だ。
つい先まで下町にいるのに、視界が突然ノイズを生じ、前兆もなく歪め、景色も溶ける顔料のように沈めてゆく、こんな非現実的な現象を目撃した俺が飛行機酔いのような不快感に襲われ、気を失った、目が覚めた後こんな荒野に置かれた。
唯一の違いは、視界の前に展開したプログラミングメニューのようなもの、自慢ではないが、こう見えでも銀行員になる前にはプログラマをやってた。
「アセンブリ」、「アルゴリズム」、「バックトラッキング」、「デバッグ」の四つ。そもそも普通の言語エディターならこんなものはないはず、特に「アルゴリズム」の一種である「バックトラッキング」、だからあくまても「ような」を付けた。先ずは「デバッグ」を選択する――と言いても考えただけで下級メニューが出ました、「ゴッドモード」、「アイテムエディター」、「スキルエディター」、「キャラエディター」、「地形エディター」、「テレポート」。
まさにチートである、故に冒頭の呟きを馳せた。
取りあえず「ゴッドモード」をオンにした、すると視界の斜め上にダイアログが出現し、「警告、ステータスがオーバフローしました」っと、これもまた絶倒。ヒントに従ってステータス画面を開けば、数字か文字化けになってる、最大上限の65535からみれば、少なくとも現在値は4バイトの限界以上だね。
にしても此処はゲームの世界なのか?それとも異世界なのか?前者ならNPCが一定のパターンで動き、他のプレイヤーキャラがなければチートがあってもやり辛いでしょう、人気のない世界に長居すれば精神崩壊の可能性もある、後者であるごとに祈ろ。
回想はここまで、地図画面から見れば北東2キロには小さな集落がある、「マリシャス貿易中継点」と書いてる、「マリシャス王国と教国リンティスの貿易中継点、方円1キロ、自警団は少数、酒場、バザール、商人ギルドなどがあります。」たいした情報ではないが、これもまた便利のマップ機能だ。
アイデムエディター機能を開いたら、既に幾つかのショットカートが有った、「商人服」を選択したら青く光る幽かな粒子が集まって無から茶色の長ローブを生成した、聞いたどこ安ぽいエフェクトだか実際に見るとかなり綺麗。原因?まぁ、文明人どして裸はどうかと思うな、転移したとき服が紛失したそうで、幸い容姿や体型の変化がない――勿論「キャラエディター」を使えば多分変化することができる。結構動き易いだか触り心地は普通、着用すると「値切り」、「公国語」と「鑑定」の3スキルを獲得したっとダイアログボックスに文字が浮かび上げた、全部有用そうに見えるパッシブスキルなので取り敢えずスキルポイントをカンストまで振り込んだ。
元々オフィス作業専門の肥満体、2キロの荒野を地道に歩くのは結構辛い、日差しがそんなに強くないのがせめての救いだ、そしてイベントリから何度も水を汲んた陶製ボトルを取り出して飲んた途端、いつの間にか目的地に着いた。ちなみに「水」という不定形物は1リトル単位でイベントリに取り入るごとができる、1ストックは最大20単位で、重さも20キロ、ストック数には上限なし、ただしイベントリの許容量はSTRに関係あるらしい。取り出す時も粒子が集まってアイテムに成す、けど不定形物は相応の容器を使わなければ地に溢すので要注意。
「つくずく便利な世界だ。」
と思いながら中継点に足を踏み入った。城門らしい建物がないのて自警団が身分検証を兼ねている。
「行商人か、しかも初めてここか、くれぐれも事を起こさないように。」
自警団の男が入城料金として銀貨一枚をもらった後に俺を通してくれた、パッシブスキルが有効なのて言葉の意味がきちんと分かる、が、発音は俺が知ってるどの言語とも違う。アイテムエディタから見るとこの世界の通貨は大まかに金貨、銀貨、銅貨の三種に分けている、どれも紋様なしの円型、国分別がないため購買力の低下を心配することはない、鋳造の根源はわからないか機会があれば探りたい。
それにしても賑やかな集落だ、行商人たちのシャウトが絶えない、販売品の種類は食料から兵器まで、かなり充実している、さすか二ヶ国の貿易中継点のごとがある。
バザール頂上に張りめぐされるのは機能性高い亜麻製天頂、これを目印にしてバザールを抜けば石造建物が並べる市街地にたどり着く。先ずは泊場を探そ、と思いつつ俺は酒場の扉を押し開けた、無骨な外見と同じく、中の人々も放浪者の臭いが漂っている。
「よう旦那、注文は?」
俺が空いたテーブルに付いたらすぐ酒場娘がやってきた、15や16才の面影なのに営業上手だね。
「ハニー酒とビーフシチューをくれ。」
メニューに一目を置き、俺は注文した、異世界に着くはじめっての一食、変哲な食べ物は勘弁した方かよさそだ。
「毎度。」
瞬く間に、樽のような物に木製のコップで酒を汲んてきた、この対応の速さで客を招いたでしょう。ハニー酒の口応えはかなり軽い、アルコール度もそうなに高くないはず、酒というよりソフトドリンクのような物、実に庶民的。ビーフシチューの牛肉はそんなに多くはないか味はかなり濃厚、いかにも荒原スタイルな感じ、これじゃ付き物の乾パンよりご飯が恋しくなるな。
「うちにも部屋あるよ、銅貨6枚で一泊、勿論ランチ付き、良心的でしょ。」
長い赤髪を三つ編みにした酒場娘がまだ幼さが残る営業スマイルで俺に推薦した、まだこの世界の金銭感覚を把握していないが、先の料理は銅貨5枚なため、確かに高くはない、周りの建物も一廻りしたが、宿を提供しているのは此処を含めて三つしかない。俺もかなりの面倒臭がり屋なので、宿&食故にこの酒場を選びました。
「二泊ですね、毎度。」
余談だか、宿泊料を払った後店内で揉め事が起きた、どうやら酔っ払いの男達が互いに気を食わないらしい、喧嘩寸前のどころで酒場娘が潜り込み、各男に腹パン一発を食わせ、全員を気絶にした。俺は「鑑定」スキルを発動し、酔っ払い達はライフバーの約三分の一が減少したごとが分かった、しかも全員異常状態「スタン」付き、実に鋭い一撃であった。「鑑定」によると、酒場娘の名前はアニャー、レベル5、STR40、天賦スキル「力持ち」、効果は攻撃時STRを1.5倍にする、道理でVIT50の男たちが耐えない訳だ、そして野次馬達の歓声を背にして、アニャーが持ち場に戻った。
「しかし便利のスキルだね。」
二階にある部屋に入り、俺は思わず声を馳せた。部屋は4畳くらいの大きさ、家具は机や椅子、ベッドやクローゼットくらいしかない、幸い清潔さは保ている、居心地はまぁまぁでしょう。
「鑑定」というスキルの便利さは異常である、発動すれば、目標のあらゆる事が表示されている、アイデムと判定すれば品質や構成素材、生命体と判定すれば各種ステータスやスキル、そして「人物説明」まである、まるてアカシックレコードから直接データを取り出すような完璧さ、幸い俺は他人のプライベートを覗く趣味がなく、使う機会が少ないでしょうね。ちなみにスキルの説明によると鑑定効果はINTに関係あるらしい、それ以外はごく一般て日常的なスキル。
「夜七時か。」
メニューを呼び出せば時間がわかる、けど窓外の商売声はまだ絶えていない、そして電気のない街だか明かりが満ちている、活気がある証だな。
流石にアイデムエディターを使って金貨を増えるような事をやりすぎれば金銭感覚が狂うでしょう、だから敢えて1キロの金塊と銀塊を生成し、換金所に訪く事を決めた。娼婦が佇む約400メトルの歓楽街を抜けると三階建ての商人ギルドが見える、恐らくこれがこの街最大の建物でしょう、換金所はその中にある。
「いい品質だね、それにこの重さ、一体どうやって入手したのかな。」
換金所のマスターは目を細めて俺に尋ねる。
「失礼ですか、とてもあなたの様な行商人が入手できる品ではない様で。」
それは無理もない、マスターの商人服のデザインは俺と同じだか、材質はもっと滑らかて金銀糸の刺繍もある、品質の違いは一目でわかる。
「それは企業秘密。」
俺はあくまても無表情て言葉を返した。
「つまり余計な詮索は無用で事ね、商人として当然の返事だ。」
単眼鏡をかけながら古典的なソロバンを速やかに打つこの小太り男は話続ける、声が低くて濁りすら感じる。
「よし、金塊は金貨60枚、銀塊は金貨5枚で買い付けましょう、相場より多少低いですかルーツがわからない限りこれがいっぱいだ。」
「……わがった。」
俺は眉を顰めて提案を受けた。
「詐術」を会得した。
ロマン風溢れる内装をした商人ギルドを出て、いきなりダイアログウインドウに文字が浮かび上げた。どうやら先わざとやったあの演技がシステム上に詐術と認定されたらしい、スキルポイントに憂いがないため取りあえず振ってみた、説明によるとINTが高ければ自分の詐術がより上手く行き、逆に相手の詐術を見破るごとがてきる。
しかし流石に放浪者の集い街だ、出たすぐ地図画面に不審な赤点が点滅している、それは敵意をもつ対象であるごとっと地図説明でわがった。
そもそもなんてパニックが起こらないでしょう、俺か楽天的で前向きなのか、否、心のどこかて死を望めるかもた、この世界で死ねば元の世界に戻れるかもしれない、という可能性を信じたいからだ。そんな思いを抱えて、俺は集落の近郊に足を止めた。
「バカめ、悪くを思うなよ。」
覆面の夜行服を着た男が三人、そして一人はマスケットを取り出して無抵抗な俺の眉間を狙い定めた。
銃声が荒野に響く、けど俺はまだ立っている、ライフを表示するHPゲージはびくともしない。
「馬鹿な、はずれだと。」
彼は叫びながらマスケットを連発した、確実に急所を狙いに来た銃撃であった。
一体どうでしょうね、弾丸どいい、痛みどいい、俺はなんにも感じ無い、ライフゲージのせいなのか、それともステータスのせいなのか、俺は分からない。
とっちにしろ、死ぬごとは許されないだろう、俺は溜息ながらこの事実を痛感した。
「なぜ倒れん!」
いつの間にか三人のアサシンか俺を囲み、技を繰り出している。
「狙撃 を 抵抗した」
「喉きり を 抵抗した」
「脳天わり を 抵抗した」
「毒菱 を 抵抗した」
「こ…この化け物か!くたばりやがれ!」
ものを言いつつ一人のアサシンは俺の首を絞める。
「首絞め を 抵抗した」
ダメージどころが苦痛すら感じ無い。
「猿芝居はこの辺にしてもらいましょう。」
俺は開き直り、間近距離にいるアサシンに拳を打ち込めた。攻撃意識を馳せた途端、相手の動きがまるで時間が止まった様に見える、そして拳か命中する時、相手の体が螺旋状に捩じ込め、黒き光点になって空気の中に飛び散った。
「やりすぎだか。」
非常識な光景はともかく、グロディスクでないごとは幸いた。
「ヒィーー!!」
他二名のアサシンは落胆し逃走を試みる、俺は落ちたマスケットて狙いを定め、瞬く間にこの二名の背中をぶち抜く、前と違ってちゃんと死体が残した、しかも大した傷跡が残っていない。HPゲージの消滅を見て多少モラル的なストレスを解消した、そう、まるでネトゲーで敵を討てた気分だっと自分に示唆する。
「ガンマスタリー レベル1」を獲得したっとダイアログボックスからのメッセージ、説明によるとレベルの上昇によって銃器系武器のコントロールが上手く効き、DEXが高ければ抜き打ちも早くなる。派手に敵を撃つより控え目の方か俺向きかな、思わずカンストまでポイントを振り込めた。
鑑定によればアサシンのような男たちは盗賊らしい、レベル11左右、ステータスもそんなに高くはない、持ちのイベントリにも大したアイデムがなく、先のマスケットが一番の良質品、なんというつまらん結果だ。
酒場に戻った時まだ野次馬達の飲み会が終えっていない、無駄に元気なやつらだ。俺はベッドに背を付け、メニューから星の全体図を見る、改めてこの星の広さを感じた、そして面倒事を考えずにいつもネトゲーにやってたように気ままに観光すればよいっと俺は決断する。
これで異世界での初めての一日が幕を引いた。
仕事の隙に執筆するものなので、更新日時はかなり不安定、読者の皆様どうぞ了承してください。