英国の旅 - 16
「何を言っている。今回も悲惨な現場なんだ。前回は仕方なく連れて行ったが……。ユリにこれ以上精神的負担を与えるわけにはいかないだろう? 君たちは家に帰っているんだ」
アーサーの言っていることは正しい。
だが、伯爵の手がかりを得られる可能性が一縷でもあるのなら……。
思い返してみれば今までの世界で、伯爵は事件の中心にいた。
今回も、その可能性が高い。
「私、行きます! 連れて行ってください! 」
友里だって同じ気持ち、同じ考えだ。
「もしかしたら、ジャックと俺達の探している人は何らかの関係があるかもしれない。だとしたら、行かなきゃならない」
「私達の旅の目的なんです。何か手がかりが見つかるかも……。お願いします」
俺たちは頭を下げた。
「いや、しかし……。本気なのか? 」
ジャックが危険な殺人鬼だというのは重々承知だ。
だが、町の人たちに聞いても手がかりは一件だけ。
それも今日は会えない。
それなら。
何もせずに家に居るくらいなら……。
「俺達も、行きます」
「私達も、行きます」
少しの沈黙の後、彼は大きくため息をついた。
「若いのに、なんて覚悟だ。君たちがそこまで必死に探している人物、一度会ってみたいね」
「勿論、ご紹介しますよ。無事に見つけることが出来たなら」
必ず、この世界で追いついてやる。
「さあ、アーサーさん、悠君。行きましょう! 」
俺たちはホワイトホールへと向かう。
アーサーの手配した馬車に揺られて。
英国編も終盤です。
もう少しお付き合いください。




