英国の旅 - 14
―― 10月2日
階段を降りると、既に友里も目を覚ましていた。
アーサーと奥さんの三人でカップに口をつけている。
髪型は変わっていないが、整えられた髪を嬉しそうに自慢している。
今日はどうしようか。
やはり、聴きこみを続けるべきだろう。
「友里、今日も街で聞き込みだ」
彼女は御機嫌に返事をした。
「あー、そうだ。君たちが探している男だが、先日の事件の被害者、エリザベス・ストライドと話をしているのを目撃されている。これは偶然なのか? 」
「手がかりがみつかったんですか!? 目撃者と話はできますか? 」
伯爵。あの女性とどんなつながりが……。
「ああ、目撃証言は同僚の男が掴んだものでね。今日、一緒に来ないか? 紹介する」
迷う必要はないはずだ。
「友里、予定変更だ」
「だねっ! 大きな手がかりだもん!」
……しかし、事件に関わっている可能性も否定出来ない。
「やる気になっている所申し訳ないが、今日は夕方から出勤することになっていてね。時間までは予定通り街を探すといい」
「そうします、協力していただきありがとうございます」
友里が髪を揺らしてお辞儀した。
伯爵、なにを考えている。
友里に納得の行く説明ができるんだろうな。




