英国の旅 - 11
―― 10月1日 ロンドン アーサー宅
清々しい朝の空気が、肺の中に満ちる。
昨日悠君が誘ってくれたロンドン探索に、これから駆り出します。
この時代に来てから、良くないことばかりだし。
先生の手がかりは何も掴めていません。
気分転換も兼ねて、街に先生を探しにいくことになりました。
今朝も紅茶を頂きました。
そのままストレートで飲むと、やっぱり苦く感じます。
蜂蜜をたっぷり入れて飲んでいると、悠君に入れ過ぎだと怒られました。
あ、でも、その隣でアーサーさんと奥さんは笑っていました。
「悠君っ! はやく行こうっ! 」
アーサーさんの洋服に着替えた彼は、まだ紅茶のカップを手放しません。
私が時渡りで密かに楽しみにしているものの一つが、服。
悠君は黒いスーツにシルクハット。
ジェントルマンですっ。
私も奥さんのドレスを頂きました。
クリノリン(スカートの骨)が入っていて、腰の後ろに大きい、不思議な形のドレス。
色は茶色で、少々地味。
いやいや、この時代ではオシャレなのかも。
「ユウ、女性を待たせてはいけないよ」
アーサーさんは悠君に諭す様に言いました。
「……そうですね。友里、行こうか」
彼は漸くカップを手放し、テーブルに起きました。
「わかっていると思うが、あまり遅くなるなよ? 」
「ええ、日が沈む前に戻ります」
「いってきますっ」
目的地は、テムズ川。
川にそって歩く予定です。




