表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/71

船旅 - 13

 紙一重でそれを躱す事ができたのは、日本の歴史に名を残した武士達の戦いが、まぶたに浮かんだからだろう。

 腹部を狙い、放たれた拳は、空を裂き、男の表情は驚きに満ちていた。

 腕には自信があったのだろう。両目を大きく開き、親の敵を目の前にしているような表情を浮かべている。


 その感情は、本来、俺が持つべきものだ。

 友里を拐われ、伯爵に勘違いされ、突然殴られる。

 理不尽な事この上ない。


「友里は、この先にいるんだよな? 」

 再び同じ質問を、男に向けて言った。


「ああ、奥の倉庫で寝てるぜ」

 男は低く、力強い声で答え、再び此方に拳を向ける。

 

 信長の太刀筋は、もっと速く、鋭かった。

 男の手には当然、刃が無い。

 ……何を恐れる必要があるだろう。


 彼の右手首を左手で制し、正面にある太い首を右手で強く掴んだ。

 そのまま左側の壁に押し付ける。


 どうやら俺は、自分で思っていたよりずっと焦り、怒りを覚えていたらしい。

 何の躊躇もなく首を絞めている自分を、

 また、それを客観的に見ている自分も、非常に恐ろしく思えた。

 

 伯爵を追うため――。

 彼女を救うためなら――。


「は……ぐ……しゃ…………ぐ…………」

 男は声にならない声を上げ、泡を吹き、意識を失った。


 ふと我に返り、男の脈を確認した時、生きていることに安心できたのは、人としてまだ正常な部分があるのだと実感できた。


「おい」

 

 後ろから、男性の声が力強く響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ