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夢の入り口

 目が覚めるとベッドの上だった。

 今はもう無いはずの自室に、俺は寝ていたのだ。

 中学時代、友人に誕生日プレゼントにもらった時計がカチカチ小さな音を立てながら時を刻んでいる。


「……嘘だろ」


 信じられない。

 何が起きたのかよくわからないが、あの男が何かしたのは間違いない。

 本当に過去に戻れたのだ。


 夢でもいい。

 夢の中でも、あんな思いは二度としたくない。


 火事を止めると言っても、わかっていることは多くはない。

 火元が隣の家の小野さん宅であること。

 発生時刻は三時三十分前後で、火災の原因は不明だということ。

 これくらいだ。


 火災の原因を調べ、火元を解決できたら一番いいのだが。

 万が一それが防げなかった場合、小野さんには悪いが二次災害の原因である家の調理場を何とかすれば朱鷺田家は大きな被害を受けないだろう。

 風で火が移り、建物に多少の被害はでるだろうが、父と母が無事なら家はとりあえずいい。あと猫もしっかり回収する。


 大学へは行かず、今日は家にいるべきだろう。

 ここでどこかへ出かけては戻ってきた意味がない。

 時計を見ると、六時半を指している。

 階段をあがる音がする。

 直後に部屋のドアがノックされ、少しだけ開いた。


「悠。起きなさーい。学校遅れるよー」

 母だった。

 自然と顔が綻ぶ。


「今日は講義無いから。もう少し寝かせて」と返すと、そうなの、と言いながらドアを閉め、再び階段を降りていった。


 母の顔をみて安心したからだろうか、急に眠気が襲ってきた。

 寝ている場合では無い。

 わかっているのだが……。


 抗えない眠気と共に、徐々に意識が薄れていくのを感じた。

 久しぶりに、ゆっくりと眠れそうだ。






『漸く、彼と出会えた。

 今度こそ、救い出してみせる』

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