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船旅 - 10

 ――あの男の弟子?


 ……私が?


 男性は確かにそう言った。

 私が師と仰ぐ男の人は、――先生だけだ。

 もしかしたら、この人達は先生について何か知っているかも知れない。

 いや、それどころか。

 この荒っぽい手口。

 先生が誰かに追われていた(9章参照)というのは彼らのことかも……。

 

 私が思考を巡らせている間にも、彼らは話を続けた。


「……私が間違えるはず無いだろう」

 別の男性が答えた。

 薄暗い倉庫の中で、背中を向けている彼の顔を確認することは出来ない。

 けれど、もう一人の男、先に質問を投げた方の男性は薄目でぼんやりと顔を見ることが出来た。

 確証は持てないが、日本人の様に見えた。

 少なくとも、英国の人々のような彫りの深い顔では無かったと思う。

 船内で見つけた軍服の男の人とも雰囲気が違っている……と思う。

 

「此処にアイツは来るんだよな?」

 日本人であろう男は不安げに言った。

 アイツ?


「ああ、伯爵はきっと助けに来るだろう」

 背中を向けた男が言った。


 今、確かに、『伯爵』と言った。

 やっぱり。

 やっぱりこの人たちは先生のことを知っている。

 私が弟子であることも。

 彼らを問いただせば、何かわかるかも知れない。

 両手両足が使えない、こんな状況で、私の中に一縷の希望が芽生えた。

 さて、どうやって先生のことを聞こうか。

 意識があることを伝えようか……。


「部屋の外で話し声がする」

 背中を向けた男がそう言って、歩き出した。

 もう一人もそれに付いていく。


 話し声……?

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