船旅 - 9
――。
揺り籠の様に揺れる船。
はるか遠くに聞こえる管楽器の音色が子守唄。
薄暗い部屋の中、私は目を覚ました。
大声が出せない様、口元は布で覆われ、両手は背中で、鉄製の柱・もしくはパイプに拘束されている。
足首をロープで縛られ、身動きの取れない様は、奴隷か捕虜のそれである。
ぼんやりとしか残っていない記憶を辿り、私が何故この様な状況に置かれているのかを考察する。
が、残念ながら大した結果は得られなかった。
この船に乗り、まずデッキで悠君と先生の影を探した。聞き込みの収穫はゼロだった。
その後はふた手に別れ、私は船内を遠足気分で探索し、人で満ちた部屋の圧迫感に酔ってしまった。
人気のない場所に逃げたくて、ひたすらに人気のない方へと歩みを進めた。
――えっと、そのあとは。
記憶に無い。
その次に覚えている場景は、今と同じ、薄暗い倉庫?の中だ。
倉庫の中には私の他に、少なくとも二人、男性がいる。
暗くてどちらも顔を見ることはかなわないが、時折小さな話し声もするのだ。
残念ながら、会話の内容までは聞き取れない。
身動きが取れない以上、彼らに向けて何らかの行動を起こし、反応を見るべきだろうか。
それとも、おとなしく悠君が来てくれるのを待つか……。
うーん。
悠君の事だ、必死になって探してくれているだろう。
余計な事をして、面倒な事になるのもなぁ。
前者のリスクを考慮した結果、信じて悠君の到着を待つことに。
そんな葛藤を終えた頃、男たちが話をしながら近づいてきた。
「本当にこんな少女が、あの男の弟子なのか? 」
男の一人が言った。




