表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/71

船旅 - 6

 さて、どうしたものだろう。

 熱鉄の如く輝く太陽は、日の輪を水平線にしまい込み。

 高く美しい空を宵闇が染めてゆく。


 友里との合流時間から、後数分で一時間が経過する。

 聴きこみという調査方法を取っている以上、多少の遅刻はあるだろうが。

 流石に異常だ。


 探しに向かったほうがいいだろうな。


 先刻、友里が軽快な足取りで下りていった階段を前に、息を呑んだ。

 もう一度、周囲を見渡し、彼女の姿が無いか確かめる。

 その行為も虚しく、やはり彼女は見つからない。


 よし、行くか。

 

 燭台には火が灯り、階段と俺の足元を怪しげに照らしている。

 身につけている黒いスーツは、黒曜石の様な高級感のある漆黒から、悍ましい黒血に染まった。

 金属で出来た手すりを滑らせ、追われる罪人の様に警戒しながら階段を下りて行く。


 辿り着いたのは船の中とは思えない巨大なホール。

 それ相応のシャンデリアを始めとする、綺羅びやかな装飾で目が眩む。

 デッキで行われていた立食パーティにも勝るとも劣らない賑わいだ。

 

 友里はここにいるのか?

 誰か友里の姿を見た人は……。

 

 燕尾服を身につけた男性。

 どこかの家の執事か。

 いや、ここのバーテンダーだな。

 背の高いスーツの男性。

 良家の長男って顔だ。

 どこかで見たような気がする。

 隣には黄金の頭髪を縦ロールにした女性。

 お、あの人は!

 昼間の女性だ。

 似たような髪型、服装の乗客は沢山いるが、隣に立っている男性にも見覚えがある。

 間違いない。


 あの二人、友里の姿を見ているかもしれない。

 

「失礼します。今、いいですか? 」

 彼女は俺の顔を覚えていたようだ。

「あら、さっきの方ね。今度はどうしたの? 」

 協力的で助かる。男のほうがギロリと此方を睨んだ。

「ええ、それが――」

「私が話を聞こう」

 背の高い男性が俺の前に腕を組んで立った。

「え、ええ。連れが行方不明なんです。栗色の髪を、肩まで伸ばしていて、ベージュのドレスを着ているんですが、見ませんでしたか? 」

 男は俺の目的がナンパで無いことを知ったからだろうか、その表情と緊張を解いた。

 友里の特徴をざっと説明すると、

「ああ、あの子か。ついさっきまで此処に居たよ。大声出して、随分目立ってた」

「あの子、貴方の彼女だったのね。あんな可愛い子、手を離しちゃダメよ? 」


 やはり此処に居たのか。


「それで、何処に行ったのか分かりませんか? 」

 自然と声が大きくなり、怪訝な顔をされた。

「なにかあったのか? 私で良ければ一緒に探そう。あれだけ目立っていたんだ、他の皆にも聞いてみれば何かわかるかもしれない」

「私も手伝うわ。貴方、日本人でしょ。手を貸す代わりに、ディナーの時、日本のお話を聞かせて頂戴ね? 」


 スーツの男性は右手を、女性は左手を前に出した。

「アレックスだ。彼女はレオナ、俺の主人だ」

「俺はユウです。ご協力感謝します」

「ユウ! よろしく! 」


 二人の手を握り、小さく上下に振った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ