船旅 - 5
「あの……。もしかして、日本の方ですか? 」
軍服の男性に言った。
しかし、私の声が聞こえなかったのだろうか、返事が無い。
……うん。たしかに、ちょっと声が小さかったかもしれないっ!
「貴方は、日本の方ですかー! 」
流石にこの騒音の中でも届いただろう、近くの何人かが私に注目した。
その後、すぐに視線を戻して笑い出す。
珍しく大声を出してみたのに、肝心の軍服の男性は何の反応も示さない。
「無視されている……? 」
なんでっ!? 何もしてないのに!!
いや、待てよ?
「日本人じゃあ無いのかな? 」
だとしたら、私は相当恥ずかしいことをしていた。
男性からしてみれば「日本人ですか」と母国の言葉で聞こえていただろう。
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調査は振り出し。
「他の人を当たるしかないかー」
ため息を付きながら振り返り、歩き出す。
人の海を掻き分けて、デッキから来た道を戻る。
すこし、人に酔ったみたいだ。
人気の無さそうな道を進む。
「お、階段だ」
下の階への階段がある。
都合のいいことに、人気はない。
少し、此処で休憩しよう。
後ろから話し声が聞こえる。
折角、静かな場所を見つけたというのに。もう。
聞き耳を立ててみたが、声が小さくて聞き取れない。
その直後、私は視界を何かで覆われた。
「えっ、ちょっと! なにこれ!? 」
そして何者かによって背負われ、運ばれていく。
「下ろしてっ!! 誰なの?! 」
暴れてみたが、効果はない。
何処へ向かっているのか。
というか、どうしようか……。
とりあえず、悠君。ごめん。




