ココロ。
BL表現があります。
苦手な方はバックしてください。
「今日、あいつに言ってくるよ」
少し照れくさそうに頭を掻きながら言った賢の言葉に笑った。
「そっか、頑張れ!」
拳を握り、ファイトのポーズ。
「おう、ありがとう!!」
嬉しそうに弾む声。きっと優しくて、カッコいいと評判の賢の恋は成就するだろう。
賢の幸せはすぐそこにある。
「お前にさ、言っておきたかったんだ…頑張ってくるよ!じゃあな!!」
言うことだけ言ってさっさと行ってしまった後姿を見つめる。
なあ、俺はちゃんと笑えてたか?泣いてなんかなかっただろう?
男同士。非生産的な関係。差別的な見解がこの世の中を闊歩する。
ゲイなんて珍しいものではないと言うけれど、まだ住みにくい世の中だ。
好きな奴に好きすら言えない。言った瞬間、気持ち悪がられるのがオチだ。
俺は意気地なしなのかな?それでも賢の傍に居たいって思うんだ。
例え、このココロが悲しみの刃で貫かれ、血を流そうとも。ココロがしくしくと涙を流そうとも。
「オッケーだってさ!!」
笑顔で駆けてくる賢に、俺はまた優しく笑うのだ。
「おめでとう。幸せにな」
そんな祝福の言葉を添えて…。