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プロローグ
プロローグ
綾瀬樹季。
「大事な時に大切な人一人守れないなんてホント情けないよな。こんな俺に人を好きになる資格なんてあるのかな」
桜咲契。
「人間誰にでも裏表ってあるじゃない? 表では善人でも裏では悪人みたいな。私はね、その典型よ。表では優等生に見える善人でも、実際は一生償い続けても償いきれないほどの罪を犯した悪人なの。だから本当なら私は人と関わりを持つことすら許されない。自分が行くその時まで罪を償い続けなければならないの」
浅水咲希。
「俺はただの臆病者だ。人と関わるのが下手くそで、傷つくのも傷つけるのも怖くて、だから人と関わることも避けてきたし、自分とだってまともに向き合うこともして来なかった。そのせいかな、こんなに臆病者になったのも。ああ、やっぱ怖いよ。このまま何もなくなって一人になるんじゃないかって不安になる」
紫雨棗。
「私は嘘吐きだよ。だから嘘は好き、人を幸せにできるから。でも嘘は嫌い。誰かが不幸になるから」
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これは、ちっぽけな俺達の最低でちょっと変わった日常の話。