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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#7 タイミング・シート乱れ打ち!
99/213

渇望

 市川は、それまで、ずっと黙って立ち尽くしている三村に注意を戻した。




 出し抜けに聞こえてきた〝声〟が、三村の役名である「アラン王子」の名前を耳にした瞬間、態度が激変した。

 三村は全員に背を向け、窓の外を食い入るように見詰めている。

 市川は、三村の背中に呼びかけた。

「おい、三村!」


 びくり、と三村の背中が緊張し、首がぐいと捩じ向けられた。

「は、はい、何でしょう……」


 表情に、以前の気弱な性格が戻ってきている。視線が、おどおどと周囲を彷徨った。


「おめえは、どうなんだ。おめえも、元の世界へ帰りたいんだろう?」

「は、はい……」


 一応、市川の問い掛けには返事しているが、まるで上の空だ。

 市川は心中「三村には注意すべきだ!」と決意していた。〝声〟の命令が本当なら、五人全員が揃っていないと、現実世界への帰還は難しそうだ。

 が、三村の様子を綿密に観察するにつれ、断固として現実世界への帰還を願っているようには、思えない。


 確かに自分には、待ってくれている愛しい相手はいない。元に戻っても、相も変らぬアニメ業界の、忙しい日々だろう。

 しかし、市川は、それでも構わないと思った。今、市川は、猛烈に、アニメの仕事への渇望が湧いているのを感じていた。

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