表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#7 タイミング・シート乱れ打ち!
91/213

飛行船

 ふわりとした上昇する感覚が足下から達し、市川は客室の丸窓に顔を押し付け、外の景色を眺めた。


 飛行場は一面に芝生が植えられ、真っ赤な軍服を身にまとった軍楽隊が行進曲を奏でている。遠くには、王子の出立を見送る市民の群れが、盛んに手を振っていた。

 ぐうん、と地面が遠ざかり、細長い飛行船の影が落ちている。見る見る飛行場は小さくなり、遙か地平線近くに、ボーラン市と、王宮の建物が見えていた。




「さて、ようやく出発だ!」

 新庄が満面に笑みを浮かべ、宣言した。ストーリーが動き出し、前途に希望を見出したのだろう。

 山田も、洋子も、同じように思っているらしく、笑顔になる。

 三村は、ややぼんやりとした表情で、窓の外を眺めているだけだ。


 飛行船の、王族専用の客室である。判りやすく説明すれば、飛行船は御用飛行船であった。


 本来なら百人以上も乗船できる構造だが、王族が乗り込むため、定員は半分以下になっている。空いたスペースには、王族のための客室や、料理のためのキッチンが設置されている。つまり、空飛ぶホテル、というわけだ。


 市川は山田に尋ねた。

「これから向かう先は、何て場所だい?」


「はて」と山田は首を捻った。

「そう言えば、隣国としか聞いていないな。新庄さん、あんたは知っているかい?」


 新庄は目をギョロギョロと動かし、細かく首を左右に振った。

「おれも知らん! 三村君はどうなんだ? 何しろ、花婿なんだろう。相手の花嫁の名前くらい、聞いていないか?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ