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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#7 タイミング・シート乱れ打ち!
87/213

出獄

 三日が過ぎ、市川はようやく解放されて、ヘロヘロの状態で引き出された。


 身動きがとれない、狭苦しい部屋での禁固刑が、これほど体力、気力を消耗するものだとは、思っても見なかった。今度、主人公が牢獄に閉じ込められるアニメの仕事があったら、リアルに作画できるなと能天気に思った。




 刑期を勤め上げた市川は、新庄の執務室に迎え入れられた。執務室には、すでに山田と洋子が待っている。


 長椅子にへたりこんだ市川の目の前に洋子が立ちはだかり、両手を腰にやって高々と説教する。


「馬鹿ねえ……。あんたが馬鹿だとは前から思ってたけど、あれほどの掛け値なしの、最低の大間抜けだとは知らなかったわ!」


 市川には言い返す気力は、一ミリグラムも残ってはいなかった。


「おい、説教もほどほどにしとけよ。市川君も、こってり身に応えたろうし」


 山田が相変わらずの、のんびりとした口調で嗜める。洋子は「ちっ」と舌打ちした。

「それで、王子様が三村君だってのは、確かなの?」


 市川はのろのろと顔を仰向かせ、洋子の質問に軽く頷いた。

「そうか」と山田は腕を組む。

 軽く眉を寄せ、何か考え込む仕草である。

「どうなるんだろうな……。これからストーリーは、まともに進行するんだろうか?」




 その時、ばたり! と大きな音を立て、執務室の扉を開いて、新庄がせかせかした様子で入室してきた。




「大変だ、大変だ! 大変だったら、大変だ!」

 まるで歌うように、奇妙な抑揚をつけている。「大変だ」と言う割には、表情は輝き、両目にはウキウキした態度が見られる。

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