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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#6 怒涛の香盤表
86/213

善処

 市川は勢いづいた。



「そうさ! おれたち五人──おれと、宮元さん、山田さん、新庄さん──それに、お前の五人で行動すれば、元の世界へ帰れる!」


 市川は、そもそもの最初の経緯から説明した。演出部屋で聞こえた謎の〝声〟から始まって〝声〟が

市川たちに理不尽な命令を下し、市川たちは不承不承承知した次第など、など。




「そうですか……」


 頼りない三村の返事に、市川は苛立った。

「どうしたんだよ! お前、まさか、この世界が気に入っているんじゃあるまいな?」


 三村は、ぎょっと顔を上げた。慌てて否定の言葉を口にする。

「ち、違いますっ! 僕だって、元の世界へ帰りたい……。でも、どうしていいか……」


 市川は、にんまりと笑った。

「それなら抜群の手がある! いいか、あの〝声〟は、おれたち五人が一緒になって行動して、エンディングまで辿り着けと命令していた。五人は揃った! お前が最後だ! とすればだな、お前が王子としての権威を利用して、おれたち五人が常に一緒に行動できるよう、命令すればいいんだ! 判るか?」

「ええ、何となく……」


 相変わらず三村の返事は、蜻蛉の羽音のように頼りない。

 これが三村の地であると、市川は思い出した。常に三村からは、自信という二文字がぽっかりと抜け落ちているのだ。


「判りました、何とか善処します……」


 朦朧とした表情で頷くと、足を引き摺るようにして、三村は出口へと立ち去った。

 三村を見送り、市川は「大丈夫か?」と思い切り首を捻っていた。




 あまりに捻りすぎて、首筋の筋肉が痛むほどだった。

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