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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#6 怒涛の香盤表
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覗き窓

 これから先、どうなるんだろう……。



 言い知れぬ不安に、市川の心は揺れた。


 がちゃり、と営倉の通路に扉の開く大きな音が響いた。

 次いで、こつこつ、と足音。足音は一人だ。

 市川は首をもたげた。


 かたん、と営倉の扉につけられた覗き扉が開いた。


「市川さんっ!」


 囁き声に、市川は驚き、寝転がっていた床から一飛びで跳ね起きた。覗き扉に縋りつく。


「三村か?」

「はい……」


 市川が覗き扉に顔を押し当てると、通路に立っていた三村が、ちょっと身を引いた。


 相変わらず、おどおどした態度だ。背後から、誰かに怒鳴られるのではないかと、両目をぐるぐるさせて、周囲に気を配っている。

 身に纏っているのは、豪奢な王族専用の軍服に、背中に翻した真っ赤なマントである。

 黙って立っていれば、周囲をひれ伏さんばかりの貴族的な顔立ちをしているのだが、今は、ただの臆病者でしかない。


 ごくり、と喉仏を動かし、三村は覗き扉に顔を押し付けている市川に視線を戻した。


「僕、三村健介、ですよね?」


 市川は嬉しさに、思い切り叫んでいた。

「そうだっ! 思い出したか?」

「ええ……」と三村は、あやふやな態度になった。市川は眉を顰めた。

「どうした? お前、元の世界へ帰りたくないのか?」


 三村は両目を見開いた。


「帰れるんですか?」

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