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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#6 怒涛の香盤表
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営倉

 市川の処分は、三日間の営倉刑と決まった。


 新庄の説明では、これでも信じられないほど軽い処分なのだそうだ。新庄があちこち八方に手を回し、三日間の禁固刑に減刑したのである。


 王宮の地下に設けられた兵士の営倉は、立って半畳、寝て一畳を文字通り再現したものだった。

 この世界で畳は存在しないだろうが、きちきちに狭い室内に、やっと跨れるだけの小さな便器。横になると、両肩が、両方の壁にぴったりと押しつけられる。

 しかも、壁はすべて金属製で、触るとひやりと冷たく、天井は逆に高々として、十メートルは優にある。もし閉じ込められたのが冬であれば、確実に凍死する。


 ごろりと市川は営倉の床に寝ころび、両腕を頭の後ろに回し、ぼんやりと天井を見上げた。


 天井には、ぽつりと小さな電球が一つ、黄色い光を室内に投げかけている。




 電球か……。




 市川の放り込まれた『蒸汽帝国』では、蒸気機関と電気は日常の一部となっている。


 市川は、科学の歴史を思い出そうとしていた。

 マイケル・ファラデー、エジソン、フルトン、キャベンディッシュなどの科学の偉人の名前が頭に浮かぶ。


 市川はアニメ業界に飛び込む前の中学生時代、それら科学の歴史に興味があって、発明家や科学者の偉人伝などは図書館で貪るように読んだものである。

 この世界にもエジソンのような発明家がいて、電球を発明したのだろう。しかし、政治体制は、十九世紀以前の、王制が維持されている。市川は原作の世界設定を思い出そうとしていた。


 確か、帝国──ボーラン帝国という──が存在する大陸は、市川の元いた世界ではヨーロッパ大陸に酷似し、周辺には様々な王国が覇権を競い合っている。

 似た歴史を探せば、戦国時代の日本か、都市国家が群立する中世イタリア、あるいは統一前のドイツ・プロイセン諸王国か。

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