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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#6 怒涛の香盤表
80/213

王族

 近づいてくる蒸気自動車は、絢爛たる装飾を施されている。


 車体は目にも鮮やかなロイヤル・ブルーで、ボンネットにはドーデン王室の紋章が描かれている。金のモールが車体を取り巻き、日差しに金色の光を帯びている。


 後席に話題の王子が座り、手を振る市民に愛想良く手を振っている。王族が通過すると、市民の間から歓声が上がった。


 自動車がついに市川の目の前を通り過ぎていく。


 後席の王族を見て、市川は「あっ!」と小声で叫んだ。


 ひょろ長い身体つきに、これまた長い顔。高い鼻筋、彫りの深い顔立ち。身に着けているのは真っ白な軍服で、肩の肩章が目映く光っている。




 しかし、あの顔は……。




 むらむらと市川の胸に怒りが満ちてきた。

 おれがこんな兵士の格好をしているのに、あいつは王族だと! 王子様だって?




 冗談じゃねえっ!




 市川は大きく息を吸い込み、叫んだ。


「おいっ!」


 王子の態度が急変した。それまで身につけていた王族らしい物腰が、市川の叫びに呆気なく剥げ落ちたようだ。

 きょときょとと、二つの目玉が、落ち着きなく辺りを見回している。

 市川は、もう一度、思いっきりの大声で叫んだ。


「三村健介っ!」

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