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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#6 怒涛の香盤表
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軍服

 王宮内の、装備支給所で軍服や、装備品を受け取り、市川たちは着替え所に入った。洋子は女性用に入る。


「なんだ、おれの服は? こりゃ、どう見ても、コックの服じゃないか!」


 憤懣を顕わにして、山田は不平を洩らした。

 市川は自分の軍服を着用するのに手間取り、山田の着替えなど眼中になかった。


 支給されたのは十九世紀風の、肋骨服と言われるものである。色は目の覚めるような青に、ズボンは真っ白な中に、赤いラインが入っている。まるで玩具の兵隊のようである。

 頭に被るのは、天辺に羽根飾りのついた帽子であった。どう見ても、儀典用としか思われない軍服であった。

 軍服は、市川がキャラクター・デザインしたときに同時に描いたものだ。とはいえ、自分で着込む事態など、まったく考えに入っていなかった。様々なボタンや、ベルトがややこしく、実に手間取る!


 目を上げると、確かに山田の着ているのはコックの服装である。コック帽に、前掛け、足下は長靴であった。


 市川は、思わず吹きだす。

「似合うじゃないか、山田さん」

「受付の奴、おれが応募のとき、市内で酒場をやっていたと聞いていたから、おれをコックにしやがった!」


 山田はむすっと呟いた。じろりと市川の軍服を見やる。

「君はいいよな。なんだか、昔のグループ・サウンズの衣装みたいだが」


 市川には山田の言葉が判らない。

「なんだい、そりゃ?」


 山田は「聞き流してくれ」とでも言うように、片手をひらひらさせる。時々、山田は市川の知らない過去の思い出話に浸るのが癖で、それが少しばかり市川には鬱陶しい。


「そろそろ宮元さん、着替え終わったかな?」


 市川は、つい、洋子を姓で呼ぶ。山田は「かもな」と受けて、着替え所の出口へ向かった。

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