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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
番宣・その二
69/213

未練

 主人公のキャラクター表が、さっきの三人の顔に変わっていた。

 木戸は考え込んだ。これには自分でも想像がつかない、とんでもない訳がある!



 どう対処すべきか……。



 木戸は諦めて、鉛筆を握りしめた。

 とにかく描き進めるしかない。


 新しい絵コンテ用紙を取り上げ、机の上に広げる。鉛筆の先を白紙に押しつけ、さらさらと最初のカットを描く。

 あとは自動書記のごとく、勝手に手が動いて、カットを描いていった。

 ぱた、と鉛筆を握る手が止まる。




 白紙の動画用紙を取り上げ、ある一人のキャラクターを描いていった。描いたのは、女性のキャラクターだった。




 ほっそりとした身体つきに、挑戦的な意志の強そうな瞳の美少女である。

 木戸は、うっとりと自分の描いたキャラクターを見詰めていた。いつか『蒸汽帝国』のストーリーに登場させようと考えていたキャラクターである。


 美少女には、モデルがあった。木戸の脳裏には、モデルとなった少女の顔がハッキリと焼きついている。




絵里香えりか……」




 木戸は、ぽつりと呟いた。

 と、不意に自分が描いた動画用紙をくしゃくしゃと丸め、壁に投げつける。両手で顔を覆い、込み上げる悲痛に耐えていた。




 未練だ! 執着だ! いい加減、諦めたらどうだ? こんなキャラクターにして自分のシリーズに登場させても、本当の相手を振り向かせるなんて、金輪際できる訳ない!




 ぐいっと溢れた涙を拭い、木戸は再び絵コンテへの挑戦を続けていった。

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