適性
居並ぶ将軍の中で、もっとも派手な軍服を身に纏い、もっとも多くの勲章を胸に飾った代表者が、応募者たちを睥睨して口を開いた。
でっぷりと太り、口許にはブラシのような口髭を蓄えている。襟元の階級章は、大将であった。
「諸君! 我が蒸汽帝国軍外人部隊への応募、実に感謝の念に耐えぬ! 我が蒸汽帝国は、首都防衛と国内治安維持のため、諸君らの力を借りたいと思っておる。従って、諸君らの適性を知りたい。諸君らには、希望する部署の適性試験を受けて貰う方針になっている。よろしいかな?」
将軍はジロリと厳しい視線で、室内の応募者たちを見渡した。一瞬、室内が緊張に張り詰めた。
が、将軍は、すぐに笑顔になった。
「見るからに諸君らは、腕が立ちそうな、頼もしい面構えをしておる! 我が蒸汽帝国軍も、これで安泰というもの。期待しておるぞ!」
列の最後尾にいた新庄プロデューサー──今は軍服を身に着け、生まれながらの軍人らしさを現している──が声を張り上げた。
「それでは、応募者全員の適性を知るため、競技場へ案内する! 全員、起立!」
その声に、室内の応募者たちが立ち上がる。軍隊の規律を学んでいないため、動きは不揃いであった。
がたがたと椅子を引く音が室内に響き、将官たちは微かに顔を顰めた。多分、訓練を受けた兵士なら、起立の号令に対して一瞬に反応するのだろう。