表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#5 衝撃のシリーズ構成
58/213

BGオンリー

 BGオンリーとは、背景画だけでワン・カットを見せる手法である。アニメでは、背景画をBGと呼ぶ。背景バック・グラウンドを省略した言葉だ。


 市川も苦笑を返した。山田も同じだと、共感したのである。


 正門前には、すでに数人の先客が並んでいた。皆、市川や洋子のように、腰のベルトや背中に、思い思いの武器を装備している。多分、兵士募集に応じた連中だろう。

 その連中を見て、市川は内心「はて?」と首を傾げた。


 今、市川が行動している『蒸汽帝国』の世界は、明らかに十九世紀末の科学文明を誇っている。蒸気機関による動力や、夜の照明などは、電気を利用している。

 それなのに、集まってきている連中の武器といえば、刀や斧、棍棒など、恐ろしく古めかしい装備だ。


 一人として、拳銃やライフルなどの火薬を利用した武器を持つ者はいない。刀や槍などの武器は、江戸時代の武士のように、ある種の権威の象徴なのかもしれない。


 集まっている応募者の中に、市川は見慣れた顔を見つけた。

 山田と洋子の注意を喚起する。


「おい、あの女……」


 市川がこっそりと指さした方向を見て、山田と洋子はあんぐりと口を開けた。

 山田が洋子を見て、尋ねる。


「昨夜、洋子ちゃんと……」


 市川が口を挟む。

「肉の取り合いしてた女だ!」


 市川の言葉に、洋子はさすがに真っ赤になった。食いものの争いとは、あまり外聞が良くないからだろう。


 相変わらず、肌の露出が多い衣装を身に纏っている。その代わり、足下まで達する、長いマントを背中から垂らしていた。

 腰にぶら下げているのは、長大な剣だ。他の応募者とは違い、あちこち傷だらけで相当に使い込んでいそうである。


 ほっそりとした肢体に、髪の毛は、やや亜麻色がかり、くるくるとウエーブが掛かっている。肌は小麦色の健康的な色合いで、きりっとした口許の、かなりな美人である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ