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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#4 衝撃のキャラ設定
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似顔

「へっ?」


 市川は混乱した。


「待て待て、山田さん。そりゃ、どういう話だ? おれが悪戯書きをすれば、あの二人がこの世界に登場するような口振りじゃないか。ちょっと待ってくれ……頭の中がグラグラしてきたぞ……!」


 山田が呟いた。

「まるで落語の『あたま山』だな。

 桜の種を飲み込んだ男の頭に桜の木が生えてきて、その下で花見の客がドンチャン騒ぎ。

 そのうるささに堪えかね、桜の木の根元にできた池に、自分で身投げした……。しかし他に、おれたちに見分けがつく方法はないよ」


 市川は立ち上がった。地面を物色する。

 あった! この場所に駆け込んでくる際に、目にしたのだが、地面にはあちこち石炭屑が散乱している。『蒸汽帝国』のタイトル通り、今いる世界は蒸気機関が盛んに使用されているらしい。そのせいで、石炭の屑も、あちらこちらに投げ棄てられているのだろう。


 石炭屑を手に取り、市川は漆喰の塗られた壁に向き合った。

「それじゃ、やってみるぞ」


 腕を伸ばしさっさ、と石炭屑を使って三村と新庄のキャラクターをスケッチする。


 二人の顔は、市川の脳裏に刻み込まれている。市川は人の顔を覚える際に、一旦アニメのキャラクターに変換する癖があった。そのほうが、ちゃんと人の顔を憶えやすい。




「そっくり!」

 描き上げると、洋子が歓声を上げた。



 漆喰の壁に、市川の手による、三村と新庄の姿が現れていた。

 ひょろりと痩せて、細長い三村の姿。鼻が高く、彫りの深い顔立ちながら、視線は今にも叱り声が聞こえてくるのではないかと、オドオドしている。

 その隣に、やや上目がちにこちらを睨みつける新庄の厳つい顔があった。二人の姿は、今にも動き出しそうな臨場感があった。



 山田は嬉しそうな声を上げた。

「うん! これなら、おれたちにも見分けがつくな!」


 洋子がぼんやりと呟いた。

「それにしても、木戸さんは、どうなったのかしら?」


 市川が半畳を入れた。

「絵コンテ描いているんじゃないのか?」




 三人は思わず爆笑した。

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