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アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#3 驚愕のアバン・タイトル
28/213

雑学

 山田が右手を挙げ、テーブルの間を独楽鼠こまねずみのように駆け回っている少年を呼び寄せた。


 少年は真剣な顔付きで飛んでくる。

「はい、親爺さん。何でしょう?」


 少年の姿を目にして、市川は「ああ」と一人合点した。少年は確かに、市川が木戸の依頼を受けて設定した、酒場で働くボーイそのままである。


 山田は少年に料理と、ビールを持ってくるよう命令した。少年は生真面目に頷くと、再び独楽鼠のように早足で引き下がった。




 あっという間に注文の品を盆に載せて戻ってくると、てきぱきと二人の前に料理と、ビールが並ばれた。

 少年は一礼して、別の客の注文を取りに戻っていった。山田はビールのカップを持って、口を開いた。


「ともかく、一杯やろうや。こんな訳の判らない時は、これに限る!」


「うん」と生返事で市川はカップを取り上げ、口に近づけた。ぐい、と呷ると、やや酸味のある液体が喉を通り抜ける。

 酒精分は含まれているが、これがビールとは思えない。


「これがビールか? 別の酒じゃないか?」


 市川の疑問に、山田は首を振った。

「いや、これもビールさ。

 但し、ホップの入っていない高温醗酵の酒だ。おれたちが知っているビールは、低温醗酵菌による下面醗酵アルコールで、ドイツが発祥だ。

 こちらのビールは、もともとエールと呼ばれる上面醗酵の、イギリスが発祥地の酒だ。どちらも麦芽が原料だから、ビールと呼ばれている」


 時々、山田は妙な雑学を披露する癖がある。山田の講釈に市川は「ああ、やっぱり、山田さんだ」と変な感心を憶えた。

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