表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
#3 驚愕のアバン・タイトル
25/213

記憶

 呆然としていると、目の前に人影が差した。顔を上げると、さっきの親爺が腰に手をやり、渋面を作っている。


 完全にアニメのキャラクターだ。

 でっぷりと太り、髪の毛は後頭部で纏めて背中に垂らしていた。服装はラフで、腹の下に前掛けをしていた。



「おい、あんた! さっきから、そこに座ったばかりで、注文一つ、しやしねえじゃないか! ここは酒場だぜ。客じゃないなら、帰ってくれ!」



 親爺の顔には、妙に見覚えがある。アニメのキャラクターらしくディフォルメされてはいるが、もとの人物は、はっきりと特定できた。



「山田さん……じゃないか?」



 思わず口に出た言葉に、市川は驚いた。




 あっ! おれは市川努! アニメ制作会社【タップ】で『蒸汽帝国』というシリーズの作画監督をやっている……!

 洪水のように記憶が戻ってきて、じーんと痺れたような驚きが胸に満ちた。




 呼びかけられた親爺の顔が、驚愕に歪んだ。ポカンと口がまん丸に開き、両目が見開かれる。だらりと両手が下がり、がっくりと両肩が落ちた。


「山田……だって……」


 両目がキョトキョトと落ち着きなく辺りを彷徨い、ごつい手の平が、顔をずるりと撫でた。


「ああっ! そうだった! おれは、山田栄治……! 思い出した! あの時、【タップ】の演出部屋で妙な〝声〟が聞こえて……あとは、さっぱり判んなくなっちまって……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ