条件
──皆、黙りなはれっ!
〝声〟が、ぴしゃりと一喝した。
市川は言葉を呑みこんだ。〝声〟は、できの悪い生徒に諭すような口調になって話し掛けてくる。
──さっきも言うた通り、あんたらのせいで、わしは迷惑しとる。『蒸汽帝国』とかいう、漫画のせいで、仰山のファンがついてしもうた。尻切れトンボの、伝説の漫画のままで良かったのに、そこの新庄はんちゅうお人が、余計な、アニメ化の話を進めたから、えらい状態になってしもうたんや!
どうやら〝声〟は、心の底から迷惑を感じているようだった。とはいえ、話が見えないでいるのは、相変わらずだ。何が迷惑なのだろう?
──ええか、あんたら、このままでは大変になるんやろう? そやさかい、わしがほんの少し、手伝いをしよう、ちゅう話しや。ただし、それには条件がある。
条件?
市川の頭に疑問が浮かぶと同時に〝声〟は言葉を続けた。
──あんたらの仕事を続けはなれ。ええか、あっちへ行っても、あんたらの仕事は続くんやで。そうや、アニメのお仕事や!
あっち? あっちって、どっちだ?
訳が判らないまま、光は益々ぎらぎら強烈になった。もう、何も見えない。脳髄を貫くほどの強い光が爆発し、市川は意識が遠ざかっていく自分に気付いていた。