表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アニメのお仕事・改  作者: 万卜人
エンディング
210/213

誰?

 市川は、ぐっと目を近寄らせ、祠の中を確認する。


 幼児のような体型の彫像があった。幼児は裸で、尖がった頭に、吊り上がった両目をしていた。両足が前に投げ出され、足の裏が見えている。

 市川は「【タップ】のシンボル・マークそっくりだ」と、戦慄と共に思った。


 洋子が歓声を上げた。

「わあ! ビリケンさんや! 懐かしい……。そうか、【タップ】のマークはビリケンさんなんやね……」


 市川は洋子の関西弁に、吃驚していた。しかし、洋子がいつか、自分は関西の出身だと話していたのを思い出した。



 あれ、いつ洋子は、そんな話をしたっけ?



「ビリケンって……?」


 市川の呟きに、山田が応じる。

「大阪の、通天閣が有名だな。幸運の神様として、大阪ではよく知られているよ」


 山田の言葉に、新庄は大いに頷く。

「そうさ! 会社を興すとき、守り神も探したんだ。芸能の神様と言えば天宇受売命あまのうずめのみことが有名だが、こっちはテレビ・アニメだからな。もう少し、変わった神様を探していたら、ビリケン様に行き当たったんだ。何しろ祀られているのが、通天閣だ。少しはテレビの世界でも、共通するんじゃないかと思ってな!」


 新庄は機嫌よく宣言していた。両手を擦り合わせ、張り切って捲くし立てる。


「さあ、絵コンテが完成しているから、今すぐ打ち合わせだ! スケジュールは押しているぞ! 皆、気張って行こう! そうだ!」


 ぴしゃりと額を打つ。

「打ち合わせをするには、人数分の絵コンテをコピーしなきゃ! おい……!」


 誰かを呼ぶような顔つきになる。が、口は動くだけで、言葉にならない。

「ありゃ? おれ、誰を呼ぼうとしていたのかな? 担当の制作進行は誰だっけ?」


 ぎょろぎょろと大きな目を瞠り、市川たちの顔を眺め渡した。

 市川もまた、その場の全員の顔を見やり、奇妙な感覚に捉われていた。

 洋子、山田、木戸、新庄。皆、揃っている。足りないのは……ありゃりゃ?




 誰だっけ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ